しかし着ていた服は雨に濡れてしまった。
「うちの乾燥機ならすぐ乾くからちょっと待ってて」
そう言って、航河を自分の部屋に招いたひとみ。
航河は緊張した面もちでピンクのクッションに座った。
女の子の部屋に入るなど、初めてなのでまるで、少年の様に緊張。
「コーヒーでも飲んでて。30分ほどで洗って乾かすから」
脱衣所で洗濯機をまわすひとみ。
ピンクのマグカップからコーヒーのいいかおりが。
航河は一口飲む・・・。
部屋の中を見渡す・・・。
ピンクを基調としたカーテンに絨毯。
自分が好きな女の子が生活している場所・・・。
家具一つ一つが新鮮に感じる・・・。
「・・・」
でも一番気になったのは・・・。
ふかふかのベット・・・。
このベットでひとみはどんな夢をみているのか・・・。
航河はそっとベットに頬を寄せた。
陽の匂いがする・・・。
太陽の温かな・・・。
温かな・・・。
30分が経ち、洗濯して乾燥機で航河のジャケットを乾かした。
「航河、ジャケット、乾いたよ。こ・・・」
ひとみがジャケットを持って戻ると、そこには・・・。
体をくの字に曲げて、まるで母親のお腹にいる赤子の様にベットに眠る航河だった・・・。
「航河ったら・・・。寝ちゃったのね・・・」
そっと毛布をかけるひとみ・・・。
この所、レース続きだった。
たまにとれた休日を自分と会うために使ってくれて・・・。
「ありがとう・・・。航河・・・」
ひとみが航河の前髪にサラッと触れて・・・。
「・・・ひとみ・・・!」
「きゃあっ!」
パッと航河は目を開け、あっという間にひとみをベットに寝かせて、見下ろした。
「起きてたのね。もう・・・」
クスッといたずらっ子の様に笑う。
「このベット、いい匂いがして・・・。でも・・・。『本物』が一番いい・・・」
「・・・。明日レースじゃないの?いいの?」
「大丈夫・・・。一晩中、ひとみと一緒の夢を見たいから・・・」
航河はひとみのおでこに・・・
首筋にKISSをした・・・。
そしてひとみ全部に・・・。
二人で一緒に夢をみよう・・・。
甘い夢を・・・