海の星に願い事を ヨットで浅瀬を回遊中のアンジェとレイン。 「今日は・・・いい風が吹いているわね」 「ああ・・・」 風になびくアンジェの空色の髪に見惚れる。 空より 海の 青より ずっといとおしい。 「・・・。なあに?さっきから」 「やっぱりお前の髪って・・・。綺麗だなって」 「・・・。し、潮風にうたれたの?もう・・・」 照れくくて 嬉しくて ・・・大好きな人の顔が見られない。 「そっぽ向いてないでこっちに・・・来いよ」 「れ、レイン・・・」 グイっとレインがアンジェをひっぱった瞬間。 ガタン! 「きゃあ!」 ヨット全体が横に揺れ 白い帆を張っていたが端が破れて・・・ 「大丈夫か!?」 「う、うん・・・」 ヨットは横転しなかったものの・・・ 風をうける帆が破損。 「仕方ねぇ。ちょっと一休みだ」 岩場にヨットを泊め、新しい帆を張りなおす。 その様子を 砂浜に座って見守るアンジェ。 「相変わらず器用だね。レインって・・・」 「いやいや・・・。お前ほど器用じゃないさ。 星を救ったお前よりは」 「救ったのは私だけじゃないわ。みんなの力があったから・・・」 思い出す。 戦いの日々・・・。 (今は平和・・・。感謝しなくちゃ。守り続けなきゃね) 好きな人と 穏やかに海を回遊できる この世界を 「あ・・・!」 (可愛い・・・これってもしかして・・・) 波打ち際。 ”ブルー・スターダスト” 青い透き通った星型の貝殻だ。 滅多に見られない貝殻。 故にこの貝殻を見つけたたら・・・ ”願い事が叶う” 「・・・素敵でしょ?」 「女ってそういうの好きだな・・・。でも確かに 綺麗だ。ほら。出来たぞ」 ヨットの補修が終わったレイン。 貝殻に紐を通してネックレスをあっという間につくってしまった。 「ありがとう!ふふー。さー何をお願いしようかな」 アンジェは貝殻を握り締める 「レインは?」 「え?オレ?」 「私だけのお願いするのってなんか申し訳なくて ね?」 「うーん・・・。わかったよ」 (ったく・・・。些細なことなのに) たかが貝殻への願い。 だがアンジェの願いはなんだろう。 「じゃあせーの!で目閉じて心の中で3回唱えてね!」 「わかったわかった」 二人は同時に目を閉じて・・・ アンジェは三回どころか何度も願った。 (・・・。お願いしすぎちゃったかな) そうっと目を開けようとした瞬間・・・ CHUッ! 「・・・!??」 レインに唇を奪われて・・・ 「・・・な、ななな・・・」 「・・・オレの願い事・・・。三回唱えたぜ?」 ”キスがしたいキスがしたいキスがしたいってね・・・” 「もう叶ってしまったな。はは。確かにこの 貝殻、効力あるぜ」 「・・・強引に叶えたんでしょ。もう・・・ッ」 トントンとレインの背中を叩く。 恥ずかしくて 照れくさくて。 でも ・・・嬉しくて・・・。 「ごめんごめん・・・。 そうだ。アンジェ。お前は何を願ったんだ?」 「私・・・。私は・・・」 (・・・私は・・・) ”レインと一緒にいられますように” 「・・・。私も叶ってるかも・・・」 「え?」 「ううん・・・。叶えさせていく・・・。 私自身で。幸せな願いほど努力しないといけないよね」 力強い瞳 言の葉。 アンジェの全てがいとおしい。 「ふ・・・。知りたいけど聞かねぇさ。 願いは願ってるだけじゃだめだから。信じなきゃな・・・」 静かにアンジェの肩を引き寄せる。 「・・・ずっと一緒だ・・・。な?」 「うん・・・」 青い星型の貝殻が アンジェの胸元で風に揺れる。 海の星に託された願い 肩を寄せ合う二人の瞳に 青色に光って いつまでも輝いていた・・・。