永遠の指輪 「〜♪」 台所からアンジェの鼻歌が聞こえてくる。 (機嫌がいいな・・・。何かいいことでもあったのか?) 休日。 レインが朝起きる。 焼きたてのパンの香ばしい香りとアンジェの歌声につられて 台所へ・・・。 「〜♪」 白いエプロンのアンジェの後姿・・・ 自分のための朝食を 一生懸命こしらえている・・・ 可愛い横顔。 靡く髪・・・。 (・・・。ったく・・・。朝から・・・。 甘い台詞口走りそうになっちまう・・・) 背中から 抱きしめたくなる・・・ 初々しいエプロン姿に 吸い込まれていきそう・・・。 レインの両手が そうっと アンジェを包もうとして・・・ 「あ!?無い!!」 「わッ!」 振り返るアンジェ。 「れ、レイン!?どうしてここに・・・」 「え?あ、いや・・・///そ、それより 大声出してどうしたんだ?」 「あ、うん・・・指輪が・・・無いの」 「指輪?」 レインがアンジェに 持っていて欲しいと 渡した指輪だ 「レインから・・・貰った大切な指輪・・・。 なくしちゃったみたいなの・・・。ごめんなさい 探してみたんだけど・・・」 「いいさ。もういちど・・・一緒にさがそう」 「うん・・・」 二人は台所をくまなく探す。 テーブルの下、 お鍋の下・・・。 四つんばいになって懸命にさがすが・・・。 「・・・無いわね・・・。どこでなくしたのかな・・・。 洗面所かな。もしかしてパイプの中とか・・・」 焦るアンジェ。 「・・・もういいよ。アンジェ」 「え?でも・・・!」 「形あるもの、いつかは無くなったり壊れたりするものさ。 大切なのは・・・」 レインはそっとアンジェの手をとった・・・ 「大切なのは・・・。お前がそばにいること・・・。 お前がいなくなったり、消えたりしなけりゃ・・・ オレは・・・」 「レイン・・・」 「もう一度あげるよ・・・。オレからのリング・・・」 そうっと・・・ アンジェの細い薬指に ・・・キス・・・。 (くすぐったい・・・) 「見えなくても・・・。永遠に俺たちを 結ぶリングだ」 「・・・レイン・・・」 「ふふ、気障だな・・・。でもお前があんまり 可愛いから・・・。気障なことも平気になっちまった」 「・・・もう。レインったら・・・」 アンジェはレインの両腕に 収まってしまう 「ふー・・・。やっぱりアンジェは温かいな」 「レインたら・・・。あれ?」 ふと、アンジェはレインの上着のポケットの中に何かを見つけた。 アンジェの指輪だ。 「レイン・・・これ」 「あ・・・。なんでここに・・・」 「・・・あ!そうだ。昨日の夜・・・」 昨晩の夜。 寝室での二人の会話。 ”指輪したまま眠るつもりか?” ”だって。はずしたくないんだもの” ”けど・・・。”これから服脱ぐのに 肌を傷つけたらどうするんだよ” ”///や、やだ!変な言い方しないで。もう・・・///” と・・・ レインがアンジェの指輪をパジャマのポケットに入れたのだ。 「・・・。犯人は・・・レインだったのね」 「悪い・・・。忘れてた・・・。あんまり昨夜のお前に夢中で・・・」 「///んもうー・・・。でもよかった・・・。みつかって・・・」 指輪を薬指にはめるアンジェ。 「もう絶対なくさない・・・」 「・・・ああ。オレも・・・」 再び抱きしめあう・・・ (絶対に離れない・・・) 甘い空気が流れる ・・・が。 「・・・。なんか焦げ臭くないか・・・?」 「あ!お鍋忘れてた!!」 慌てて二人台所へ・・・。 新婚の二人の朝。 甘くあり ちょっと騒がしくもあり・・・ ささやかだけれど 温かな幸せが 満ち溢れる朝だった・・・。