昼でも夜でもT

何回目だろう。

珪をこうしてドキドキしながら待つのは・・・。

彼の好きなピュアな服を選んで、待ち合わせる。

羽ばたき駅の前で待つ

その隣で、腕時計を見ながらまつ女の子。

きっと自分と同じ彼を待ってるんだ・・・。

ドキドキしながら・・・。

そして彼氏登場。女の子はパアッと笑顔になって彼氏の腕につかまる。

「おう。待ったか?」

「ううん。全然・・・。ねっ。今日どこ行く?」

楽しそうに歩いていく二人の後ろ姿を見て・・・。

はなんだか微笑ましい気持ちになった・・・。

今、あの二人も『恋』をしているんだ・・・。

たった一つの恋を・・・。

「おう。何ボケッとしてんだ?」

「は、葉月くん」

何時も通り、ちょっとムスッとした顔で登場。

「・・・。なんだよ・・・。人の顔ジロジロと・・・」

「う、ううん何でもない・・・」

あのカップルの様なふわふわした楽しい雰囲気は自分達にはないかもしれないけど・・・。

「・・・。今日は公園を散歩でもするか・・・。ほれいくぞ・・・」

「あ、もう、ちょっと待って・・・」


スッと珪は腕をを差し出した。

「つかまってろよ・・・。さっきの二人みたいにはいかねぇけど・・・」

「え・・・。葉月君みてたの?」

「ほれ行くぞ・・・」

こうして腕を組んで歩く・・・。

組まれた腕はちょっと力まかせだけど、この不器用さがくすぐったくて・・・。

好き・・・。

二人は、公園の噴水を一周して、芝生の方で一休みする。

芝生は青々として、いい匂いがした。

「はー。気持ちいいー!なんか疲れたとれるねー」

「・・・。お前・・・おばさんくさいな」

「あー!なによ。自分だって趣味は昼寝なんておじさんくさいじゃない」

「悪いか」

珪、ちょっとムッとする。

その時、向こうから「あ、葉月珪じゃない!?」と数人の女達がこっちむかってきた

「やばいな・・・」

「えっ!?」


ドサっ!


珪に突然方を掴まれ、押し倒されてしまった・・・。


真上には珪の顔がアップで・・・。

「あ、あのっ葉月・・・。んぐっ・・・」

「シー・・・!暫くしずかにしてくれ・・・」

手で口を覆われ、は完全に珪に身動きをとれなくされてしまった・・・。

その間もは口をグッと押さえつけられてもう鼓動が早くなって・・・。

「あれ?今、この辺りに今、葉月珪、いなかったけ?」

女の子達は辺りをキョロキョロ探す。

木の陰では珪に体の動きをすべて封じられいる・・・。

何だか妙に興奮してしまう・・・。

完全に珪の全身がの体の上に覆い被さる体勢・・・。


首もとに息がかかる・・・。


そんな二人が木の後ろにいることに気付かず女の子達は、諦めて帰っていった・・・。


「行ったか・・・。ふう・・・」

ホッとして起きあがろうとした珪。

しかし、真下にの顔が・・・。

互いにドキッとする・・・。

・・・」

「葉月君・・・」

珪はの頬に手をあて顔を近づけてきた・・・。


が。


「あー。ママ。この人達、チューしてるー!!」


少年が二人を指さす。


固まる二人。

「まっくん、大声出しちゃいけませんッ」

母親があわてて少年をつれて離れた。

「ふふっ・・・」

「クク・・・」

二人は何だか拍子抜けして吹き出してしまった。

「うふふふ。葉月君、髪の毛に葉っぱつているよ・・・」

「お前だって・・・」

互いに髪についた葉を取り合う・・・。

そしてコツンとおでこを触れあわせた。

。昼寝するか」

「うん!」

緑の絨毯にごろんと大の字になって寝転がる。

「空がきれーい!ひろーい!」

「・・・。子供みたいにはしゃいで・・・。ホント、お前見れると飽きねーな・・・」

「そう・・・?じゃあ空を同じだね」

「空と同じ・・・か・・・」

流れる雲を二人は手を繋いで眺める・・・。

吸い込まれそうな空。

同じ色の空を見ているこの時間がとても緩やかで・・・。

「なあに?」

「さっきの続き・・・。今度は俺の部屋でしような・・・」

「・・・うん・・・」


青い空・・・。


同じ空を何時までも見つめていた・・・。