いけない人 弁慶さんの口癖。 その台詞を言うときは・・・ ・・・弁慶さんが私に迫ってくるときで・・・(汗) 悪戯な瞳で囁く・・・。 ”君はいけない人ですね・・・” 今日もまたほら・・・。
激しい雨が降る。 裏山へきのこを採りに出かけた私と弁慶さんは 森の中で見つけた無人の古い寺で雨宿りをしていた 「・・・夕立でしょう。きっとすぐ止みます」 「そうですね。だけど・・・。それより着物・・・」 弁慶さんも私もびしょ濡れ・・・。 「囲炉裏に火を入れましょう・・・」 「え、あ、はい・・・」 弁慶さんは涼しい顔で囲炉裏に火をつける。 「さ・・・。これで温まれます。さぁ、脱ぎましょう」 「え!?」 弁慶さんははこれまた涼しい顔で上着を脱ぎ始めた。 ちょ、ちょ、ちょっと・・・!? 私は思わず視線を逸らした。 「ぬ、ぬぐって・・・こ、ここで!?」 「外は雨ですよ?体が冷えます。さ、早く脱いで」 弁慶さんはニヤリと笑う・・・。 そ、その笑みの意味は何・・・? 何だか困る私を楽しんでいるような・・・ 「・・・あ、あの・・・。じゃあ、べ、弁慶さん、う、後ろむいててください」 「いいですよ。これでいいですか?」 「はい・・・」 ああ何だか弁慶さんのまた見えない罠に嵌っている気がしてきた・・・。 それでも私はそっと着物を脱ぎ、襦袢だけになった。 (あー・・・。襦袢も濡れちゃってる・・・。でもこれも脱ぐわけにはいかないしね・・・) 「べ、弁慶さん、も、もういいですよ・・・って。きゃああ!!」 べ、弁慶さんたら・・・!いつのまに上半身裸身なの〜!?? 「あれ?どうかしましたか?」 「ど、どうかしたって・・・。べ、弁慶さん、は、裸って・・・(汗)」 「いやぁ。襦袢まで濡れちゃって肌にベタベタくっついて気持ち悪くて・・・。 とにかく貴方も囲炉裏の側にきて温まりましょう」 手拭いで体を拭く弁慶さん。 わ、私だけがこんなに動揺して・・・。 なんかちょっと悔しい。 「ふー・・・。あ、望美さん。背中を拭いてくれませんか」 「え」 「いやぁ。背中、届かないんですよね」 そ、そんな手拭いを渡されたって・・・。 「それとも・・・。僕が貴方の背中を拭きましょうか・・・?」 べ、弁慶さんってばもう〜!! 「け、結構です!拭きますよ!もう・・・!」 な、何だか思い切り弁慶さんのペースに嵌っているよう・・・。 「じゃ・お願いします。僕の奥方様v」 ね、猫なで声なんか出しちゃって・・・。 わ、私の反応を完璧に楽しんでる・・・。 おろおろしちゃ駄目! ここは奥さんとしての意地を見せなくちゃ・・・! (い、意識しちゃだめよ・・・) 私は静かに弁慶さんの背中を拭く・・・ だ、大体、初めてじゃないわよ。弁慶さんの裸見るのって 見るの・・・ ・・・。 ・・・こんなに広かったんだ・・・ それに・・・結構筋肉質なんだな・・・ 背骨の辺りなんて・・・。 私は毎晩いつのこの背中にしがみついて・・・ 「悩ましい手の動きだなぁ・・・」 「!?」 はっ・・・わ、私ってば・・・! 「・・・そんな触り方されたら・・・。その気になってしまうでしょう・・・?」 「そ、その気って・・・。”どんな気”ですか・・・」 「え・・・?ふふ・・・。いけない人だな・・・」 ドキ・・・。 うわ・・・。いつもの台詞が・・・出た・・・ ・・・この台詞が出たときは・・・。 弁慶さんは私の腕を引き寄せて自分の膝の上に座らせた・・・。 「いけない人だな・・・。僕は必死に理性を抑えているというのに・・・」 「・・・っ」 わ・・・ちょ、ちょっと弁慶さんさんってば・・・ み、耳元で囁くなんて・・・ 「それから・・・。この手もいけない手だ・・・。僕を誘う・・・」 い、いけない手はどっちだろう・・・。 弁慶さんの指は・・・私の右手を絡ませてきて・・・ 「・・・君の指は・・・。僕を気持ちよくさせてくれます・・・」 「・・・っ」 最後には口付け・・・ 唇に挟むみたいに・・・。 「・・・濡れた襦袢なんて・・・。肌が張り付いて余計に・・・僕を誘惑して・・・」 弁慶さんは濡れた襦袢の腰紐をするっと解く・・・ 「濡れている肌は・・・どんな味がするのでしょうね・・・」 肌蹴た肩に・・・ 弁慶さんの唇が触れる・・・ 「・・・っ・・・」 背中がゾクッとして・・・体が熱くなっていく・・・ ・・・なんかもう・・・ このまま流されそう・・・ このまま・・・ って・・・!! 「・・・べ、弁慶さん・・・!状況考えてください!!」 「はい?」 「こ、こんな場所で・・・(照)」 「・・・あぁそうですね・・・。やはり布団の上の方が激しく動ける・・・」 「そういう意味じゃありません!もうー・・・って・・・っ」 弁慶さんは両手で力強く私を羽交い絞めするくらいにきつく抱きしめる・・・ 「・・・仕方ないですね・・・。今はこれで我慢するとしましょうか・・・」 「・・・今はって・・・」 「・・・。本当に貴方はいけな人だ・・・。僕に・・・火をつけて・・・。 帰ったら・・・。覚悟してくださいね・・・」 パキ・・・ 囲炉裏の火の粉が舞いあがる・・・ 燃える火より・・・ 密着する弁慶さんと私の方が 熱い・・・ 「弁慶さんこそ・・・。いけない人です・・・」 「え・・・?」 「貴方をこんなに好きにさせるから・・・」 弁慶さんは軽く私の右耳にキス・・・ 「・・・それは僕の台詞ですよ・・・。愛しい人・・・」 弁慶さんの囁きは・・・ 私の全身を震わせる・・・。 「愛しています。貴方を・・・。愛しています・・・」 弁慶さんは何度も囁く・・・。 ・・・このまま・・・雨がやまなければいいのにな・・・。 もう少し・・・このままで・・・。 雨音はしなくなったけれど・・・ 私達はずっと・・・抱きしめあって・・・ 想いを伝え合っていた・・・