悪戯少年その名は弁慶
望美がかまどで火をおこしていたら。 くいくい。 帯をひっぱる。 (んもう!また弁慶さんね!) 「弁慶さん!いい加減に・・・。あれ?」 望美が振り返っても誰も居ない。 (変ね・・・) 「望美。おはようございます」 (え・・・) 視線を下に送ると・・・。 「私です。何だか体が小さくなったみたいですが」 にこにこ笑顔の弁慶が・・・。 弁慶が着ていた着物を引きずって。 「え、ええええ!??本当に弁慶さん?」 「はい」 「・・・ほ、本当に・・・?」 「はい!!うふふ」 (・・・な、なんで弁慶さんが子供に・・・) 「はー。僕も事情がわからないのですが・・・。ふふ。 とりあえず、この着物は大きいので望美。着替えさせてください」 「え、ああそうね」 「望美ー。だっこしてください」 望美の胸にだきつく弁慶。 「あー。いいですねー。この心地いい」 望美の胸に頬を摺り寄せる弁慶。 (・・・。弁慶さん。この状況楽しんでるわね(汗)) 「へへっ。母上っ」 「んもー・・・。弁慶さんたら」 けど小さな弁慶も (なんか・・・。可愛い) そう思わせてしまうのも・・・弁慶の企みなのかもしれないけど・・・。 それに乗っかってみるのも望美は楽しいのだ。 「望美。たくあんが食べたいです」 「はいはい。あーん」 望美のひざにちょこんとすわり、口をあける弁慶。 「次は煮魚が食べたいです」 「はいはい」 完全におやこごっこ。 だが望美は単なる冗談だとは思えなかった。 (弁慶さんのお母さんは・・・。弁慶さんが幼い頃に・・・) 母親の愛を受けずに育った弁慶。 (甘えさせてあげたい) 弁慶がたとえ”ごっこ”でも・・・。 抱きしめてあげたいと思ってしまう。 (母性本能なのかな・・・ふふ) 「じゃあ。弁慶さん。私、お風呂に入ってきますから、 ちゃんと待っててくださいね」 「はーい」 (ふふふ・・・。僕はこのときをまっていたのです) ニタリ。 望美の優しさとは裏腹に弁慶の悪戯っ子心の目を覚ます。 「はー。気持ちいー」 だが。 望美の第六勘が働く。 (・・・まさか入ってきたりしないわよね。子供の姿を利用して・・・) 「母上ッ。お背中流しましょう♪」 ばしゃーん!! 「!!」 湯船からミニ弁慶があらわられた。 「ど、どっから出てくるんですかッ」 「母上のいるところならどこへでも☆、 母上〜」 「きゃッ」 むぎゅ! 胸めがけて抱きつく弁慶。 「はぁ・・・。母上の胸がずっと恋しかったのです・・・。 もう一度母上のお乳が恋しい・・・」 と、小さな手でしっかり右胸をわしづかみ☆ (・・・って触り方、やらしいわよ!ったくも〜!!) だが、弁慶の悪戯はますます絶好調☆ 指をくわえて甘え声・・・ 「母上・・・。お乳が・・・欲しいよう・・・」 「〜☆○×▲!!!!そんな悪い子はしりませんッ!!!」 「ぎゃッ」 望美は弁慶の腕を強くつねって浴槽から出した。 「・・・母上・・・」 「弁慶さん!ちょっと調子に乗りすぎです!!」 「・・・ひっく・・・」 (え・・・) 「うええええ・・・」 おおなきし始めた弁慶ちゃん。 「べ、弁慶さん何も本気でなかなくても・・・」 「うわあああん・・・」 望美はあわてて弁慶を湯船に戻してだっこした。 「ひっくひっく・・・」 「もう泣かないで・・・?強く怒りすぎてごめんね」 「母上・・・」 ぎゅっと再び抱きしめる・・・。 白い布越しに望美胸が・・・。 「望美は・・・。おぼろげに覚えている母上の温もりに似ている・・・」 「弁慶さん・・・」 これも弁慶の演技だと感じつつも こういう甘え方しかできないのが弁慶だと望美は知っている。 「少しだけ・・・。子供のままでいさせてください・・・」 胸の谷間に頬擦りをする・・・。 (弁慶さん・・・) 不器用に すこし悪戯っ子に だけど人一倍寂しがりな少年。 甘えさせてあげたいと 思ってしまう・・・。 望美は目を閉じてしばらく・・・そのまま抱きしめていた・・・ だが。 「・・・ん?」 (!!) 「はぁ・・・。望美の体は絹の布団より柔らかだ」 大人の姿に戻った弁慶がすりすり・・・。 「い、い、いつのまに・・・!」 「夢の時間は終わったようですね・・・。ふふ、もっともこれからは ”大人の時間”が始まりますけどね・・・。ふふ・・・」 (はうああ・・・。弁慶さんにスイッチがはいっちゃってる・・・(汗)) 悪戯な微笑を浮かべる。 「・・・。さ、こんな白い布はとっちゃって大人の”抱擁”を 致しましょうか・・・」 胸に巻いていた白い布がぺらんと剥ぎ取られ・・・。 「覚悟はいいですか・・・?ふふ。お風呂の中で 愛を営むのは久しぶりですね・・・」 (ああもうスイッチはいっちゃってるよ・・・”いけない人”スイッチが(汗)) 「お湯が湯船からあふれ出す位に・・・。激しく愛し合いましょう・・・。 私の母上・・・。ふふ・・・」 悪戯な少年は 悪戯な青年に代わり・・・ 好きな女に愛を乞う・・・。 悪戯で少しひねくれて でも人一倍寂しがり屋で・・・。 その名は弁慶。 これからも望美にちょっと悪戯な愛を。 優しい愛を つむぎ続けていくのだ・・・