もっともっと触れたい!愛したい! 「望美・・・いい匂いですね」 「はい。今日は頑張ってきのこ汁をつくってみました。ふふ」 竈で望美が鍋にぐつぐつと煮込んでいる。 「ふふん〜♪」 望美は腰を振りながら鍋をかき混ぜる・・・。 そんな後姿を弁慶はなんとも悪戯な微笑を浮かべる。 (ん?なんかいま、背後でいやーな感じが・・・) 望美が振り返ると・・・。 シュル・・・ 「・・・。あの・・・。弁慶さんどうして帯をはずしてるんですか?」 「えー?あはは。いやぁ。君の背中が誘っているように思えましたので♪」 「・・・(怒)誘ってません。夕食を作っていたんです」 望美はおたまをかざしてかなり怒りを表現。 「ふふ。怒った顔もそそられますねー・・・。でも今は”性欲”より”食欲” の方が勝っているので」 (さ、さわやかに言う台詞じゃないわよ(汗)) 相変わらずの弁慶節に望美は困惑しつつも ドキドキする。 「と、とにかくごはんにしましょう!弁慶さん」 囲炉裏で御わんに炊いたごはんをよそう望美。 「じゃあいただきます」 望美は合掌。 だが弁慶は・・・ 「では望美をいただきます」 「!」 望美はごはんをごふっとはく。 「な、な、何言うんですか!?」 「いやぁだって。ほら。望美が作ってくれた夕食ですから。 ではいただきます」 ほくほくとご飯をほおばる弁慶。 「ああおいしい・・・。湯上りの望美の柔肌のように もちもちして歯ごたえがありますねぇ。よく噛んで食べなくては」 「かまなくていいですからッーーー(汗)」 食事中も弁慶節炸裂で赤面がとめられない望美・・・。 (はぁ・・・。今日も弁慶さん、”絶好調”らいしわ・・・) ちゃぽん・・・ お風呂からあがる望美・・・ (・・・お風呂のせいじゃなくて弁慶さんのせいで のぼせそうだわ) 脱衣所で望美が着替えようとした・・・ 「あれ・・・。着物がない・・・」 かわりにあるのは・・・ 「な、何これ・・・」 絹の生地・・・。だが半透明で向こうの景色がみえるほど・・・ (・・・。弁慶さんの仕業ね!!) 「どうですー?なかなか綺麗な反物でしょうー」 木戸の向こうから弁慶の声が・・・。 「べ、弁慶さんッ!!私の着物帰してくださいよ!!」 「あー。あれですか。汚れていたので洗濯しちゃいました」 「洗濯しちゃいましたって・・・。こ、こんなすけすけの 着られるわけないでしょ」 「気に入りませんでしたかー?じゃあ仕方がない裸で出くるしかないですねぇ・・・ フフフ・・・」 悪戯な声・・・。 (最初からこういうことだったのね。もう・・・) 望美は仕方なくすけすけの着物をそっと羽織った。 「・・・。弁慶さんがそこからどかないと私、出ませんから」 「はい。わかりました。僕、先に部屋に戻って寝床の準備をしておきますね♪」 (・・・。はぁあ・・・。この人の悪巧みはもう防ぎようがないのね(汗)) これが弁慶の愛情表現。 好きな子にわざと困らせるようなことをして気を引こうとする・・・。 (・・・子供っぽいというよりマニアックというか(汗)) でもそんな弁慶の不器用なところも好きなんだ・・・。 望美はそうっと二人の部屋に戻る。 そこへ弁慶が手招きしている・・・。 「お待ちしてましたよ。愛しい人」 「・・・(徒労)弁慶さん・・・。こっちむかないでください」 「え?」 「きょ、今日は別々に寝ます・・・。こ、こんな」 「それには及びません」 みると、一つのふとんにきちん・・・と枕がふたつ。 (・・・なんと準備のいい・・・) 「わ、私座って寝ますから・・・」 「ったく・・・。素直じゃないな・・・。強引なまねはしたくないけれど・・・」 (きゃ・・・) 弁慶は望美の腕を掴み、背中から抱きしめる・・・。 「・・・。僕の愛しい望美・・・。観念しなさい・・・。 僕の腕は・・・君を抱くためにあるんだよ・・・?」 パサ・・・。 望美を押し倒し・・・馬乗りになる・・・。 「・・・僕は・・・一日中君のことばかり・・・。 責任・・・とってくれるよね・・・?」 「・・・弁慶さん・・・」 少し卑屈で・・・ わがままな愛情表現・・・ 困惑する一方で可愛いと思ってしまう自分がどこかにいて・・・。 「・・・僕はね・・・。自分でも嫌になるくらい・・・君が 欲しくて・・・欲しくて・・・欲しくて・・・」 (弁慶さん・・・) 切なげな瞳が・・・ 望美だけに注がれる・・・ あらゆる甘い言葉を呟きながら 弁慶の唇が望美の肌に触れられていく・・・ 「・・・私も・・・。いつも弁慶さんのこと考えているよ・・・?」 「もっと・・・。もっとだ・・・。君に触れてたくて・・・。抱きしめていたくて・・・。 そして愛していたい・・・」 甘い言葉が呟き終わると・・・ 後は互いの温もりを求め合うだけ・・・。 「・・・あ、ちょ、ちょっと・・・っ」 もう止められない。 望美の首筋に吸い付く・・・ 湯上りの望美の体からは男を狂わせる色香が漂い・・・ 悪戯な弁慶をさらに悪戯に乱れさせる・・・・ 「愛してる・・・!愛してる・・・!」 今宵も・・・ 一つの影となった二人の影が悩ましく動く ふれあい 抱きしめあい 愛し合い・・・ 愛という名の関わりが繰り返されていく 二人で生きていく限りずっと・・・。