>何時もこの胸は貴方で一杯 私の心は・・・ 貴方で何時も一杯。 寝顔も笑顔も怒った顔も・・・ 全て好き。全て愛しい・・・。 だからね・・・。その望美が私以外の誰かに見られることが とても耐え難い。 貴方を愛すれば愛するほどに 私は浅ましく、貪欲になっていくんだ・・・※「〜♪」 今日は何だか朝から望美は機嫌がいい。 理由を聞くと、今日、とっても大切なお客さんが来るらしい。 誰なんだろうか。 望美をあそこまで笑顔にする人って・・・ 何だか私の胸はちくちく痛い。 哀しみでもない この気持ちは・・・? ピンポーン。 玄関で音がした。 来客の合図の音だ。 「はーい!」 望美は笑顔で玄関に向かって行く。 「譲くん、いらっしゃい!」 譲!?私も慌てて玄関へ走った。 「お久しぶりです。先輩。白龍」 「譲!!」 懐かしい!私は思わず譲にだきついた。 「おいおい。相変わらずだなぁ白龍」 「だってさ!久しぶりで・・・!ああ、懐かしいな!」 異世界で共に怨霊たちと闘った仲間。 私はの心懐かしさで溢れた。 特に譲は幼い時の私から可愛がってくれた。 「ふふ。なつかしのご対面はその辺にして、さ、みんなで ご飯にしよ!」 望美の笑顔の理由がわかったよ。 どうしてだか妙な安堵感を感じた。 ・・・一体私の心はどうしたというのだ? 私と望美、譲。 3人でテーブルを囲んで夕食。 望美が色んな種類の寿司を握ってくれた。 イナリから海苔巻き、サラダ風まで沢山ある。 「そうだ。ふふ。お前、まだ小さい白龍のとき、 月の影が怖いってオレの布団の中で震えてたよなぁ」 「もう!譲!そんな恥ずかしい話しなくても」 「へぇ。そんな逸話があったのね。ふふ」 「望美まで!もう!」 あの世界での思い出で盛り上がった。 楽しくて 美味しくて 本当とても楽しい一時だった・・・ 「後片付けも私がやるから。男性陣はソファにでも座っていて」 望美がそういうから私と譲はソファで 思い出話の続き。 「・・・白龍」 「何?」 「・・・お前は・・・ちゃんと考えているのか」 「何を?」 「先輩とのことだ・・・」 譲・・・。笑顔が急に真剣な顔になった・・・ 一体、何が言いたいのか、私はつかめない。 「ここは俺達が怨霊と闘った世界じゃない。先輩が・・・幸せに いきていく世界なんだ」 「そうだね。だから私は望美をしあわせにしたいと思ってるよ」 「それは”結婚”ということだろうな?センチな気持ちだけじゃ 幸せにはできない」 「・・・譲・・・?」 こんな迫力のある譲は初めてだ。 なんだか怖いくらいで・・・ 「ケッコン・・・?それは・・・。望美を私を妻にするって こと・・・?」 「そうだ。先輩の人生に”責任”を持つということだ・・・。お前が ”神子、大好き”と呟くこととは深さが違うぞ」 「・・・」 「・・・それが理解できないいうなら・・・。オレは先輩のこと諦めないぞ。 お前から・・・奪うという意味だ」 ドクン・・・ 消えたはずの 痛みがまた 蘇った。 ”お前から・・・。奪うぞ” 譲の言葉が 矢のように突き刺さる 「譲くーん。白龍、やっぱり後片付け手伝って」 「はいはい。やっぱり先輩は世話が掛かりますね」 私の思考はぐるぐるまわり ただ、楽しそうな望美と譲の姿が 胸を締め付けた・・・ 「もう少し遊んでいけばよかったのにね。譲くん」 「・・・」 「・・・。どうしたの?押しだまって・・・」 どうしよう・・・。 また望美に心配をかけてる・・・ 「・・・白龍・・・?」 「望美・・・。貴方は私と共にいて・・・。幸せ・・・?」 「え・・・。突然何・・・?」 望美・・・私は貴方にたずねずには居られない。 「・・・私は・・・。貴方といることが幸せだよ。でもそれは・・・。 私だけの思い込みだけじゃないかって・・・」 ”先輩の人生に責任を持つということだ・・・。神子、大好き、の 気持ちだけじゃ駄目だ” 譲の言葉が痛い・・・ 「・・・白龍・・・。私、貴方がいない幸せなんて考えられない。 私こそ白龍、貴方は今、幸せ・・・?」 「勿論だよ・・・!幸せすぎて・・・。不安なくらいだ・・・」 贅沢な”不安”だ・・・ わかっている。 その不安は私は自分に自信がないからだ・・・ そう・・・ 「望美・・・お願いがあるんだ・・・」 私は望美の白い細い手に触れた・・・ 「なあに・・・?」 「私と・・・”結婚”してください・・・」 「え・・・っ」 「・・・望美の世界では・・・。そういうんだよね・・・?永遠の愛を誓う時・・・」 「う、うん・・・」 あげられるものはなにもない。 この間、本で見たような綺麗な白いひらひらの衣とか 着せてあげられないけど・・・ 「望美・・・。私と結婚してください・・・」 「・・・はい・・・」 望美は微笑んで・・・頷いてくれた・・・ 「・・・幸せにするよ・・・」 「違うよ。白龍」 「え?」 望美は私の肩に頭を乗せて寄りかかった。 「・・・二人で一緒に・・・幸せになるんだよ・・・」 「・・・。そうだね・・・。二人で・・・”一緒に”・・・」 嗚呼望美。 私の永遠の神子。 私の胸はいつも貴方で一杯。 「愛してる・・・。何回言っても足りないくらいに・・・ 愛してる・・・」 何度でも呟く・・・ 胸から溢れる想いを形にして・・・