幼い独占欲
望美と白龍。 久しぶりに外出。川原を散歩していたときのことだ。 「ねぇ望美。見て!春の花がいっぱい咲いてるよ・・・!」 白龍は川原に咲く花々に夢中。 「望美に花輪をつくってあげるよ・・・!」 はりきって花を摘む白龍・・・ (ふふ・・・) 体はもう立派な大人の男なのに 笑顔は無邪気な少年。 (・・・白龍らしくていい・・・。だから大好きなの) 望美は穏やかな笑みを浮かべて花摘みをする白龍を見つめていた。 そんな望美に若い茶髪の男二人が声をかけてきた。 「ねぇ。お姉さん。お時間あるー?」 「な、何ですか・・・?」 「道を教えて欲しいんだけどー・・・」 男たちしゃがみ、馴れ馴れしく望美の肩に触れた。 望美は少し不快に思ったが本当に道を尋ねているだけかもしれないと 笑顔で答える 「駅なら真っ直ぐ行って・・・」 そんな望美の姿に白龍は気づいた。 (の・・・望美・・・!?) 望美に触れられた男たちの手が 白龍には汚らわしく見えて摘んでいた花を捨て、 望美の元へ走る・・・ 「望美から手を離せっ!!!」 白龍は男の手を望美の肩から離した。 そして望美を守るように自分の背後に寄せる。 「な・・・なんだお前」 「やかましいっ!!望美に触れるなっ!!穢れるっ!!」 ドスの聞いた白龍の怒り用に望美は圧倒・・・ 「望美!!帰ろうッ!!!」 「え、ちょ、ちょっと白龍・・・!?」 強引に望美の手を捕まえて引っ張っていく・・・ 「ちょ・・・。白龍痛・・・っ」 望美の声も聞かず白龍は無視して・・・ (白龍・・・。どうしちゃったの・・・!?) 今まで見たこともない白龍の態度に望美はただ ひきづられ・・・ マンションへ戻っても白龍はうつむいたままで望美の顔を見ようとしない・・・ (一体・・・。どうしちゃったの・・・?) 白龍の周りに・・・どんよりした黒い空気が渦巻いているよう・・・ 「・・・望美は・・・。どうして誰にでもあんなに優しい笑顔を振りまくの?」 「え・・・?」 「あの男たちは・・・。望美を誘うおうとしているの分かるのに・・・。 ニコニコ笑って・・・」 白龍の声・・・。 あのやさしいトーンじゃない・・・ 「だ・・・だってただ道を聞いていただけかもしれないし・・・」 「どうしてあんなやつらに笑顔を振りまくんだ!?望美は優しいけれど 他の男に見せないで!!」 白龍は望美の肩を激しくつかむ。 「白龍どうしちゃったの!?そんなことくらいで 怒るなんて!!」 その言葉が白龍の怒りを刺激した。 「そんなことぐらいで・・・って・・・。望美は分かってない・・・」 「ちょ・・・っ白龍・・・!?」 ドサ・・・ッ。 白龍は望美をソファに力ずくで押し倒し・・・ 見下ろす・・・ 「・・・望美は全然分かってない・・・。私が・・・どれだけ 貴方が好きかを・・・」 「は・・・白龍・・・?」 (こ・・・怖い・・・) 見たこともない白龍の瞳。 獣のようにするどく・・・ 「・・・分かって欲しい・・・。私の気持ちを・・・」 プチ・・・ 望美のブラウスのボタンを・・・はずしていく白龍・・・。 「は・・・。白龍・・・。や、やめ・・・」 「分かって・・・。欲しい・・・分からせたい・・・」 「白龍・・・。や、やめて・・・」 抵抗しようと両手をばたつかせるが・・・ 白龍はそれすらも両手を万歳させて押さえつける・・・ 「止めない・・・。神子・・・。貴方の中に・・・私の想いを分からせてあげる・・・」 「や・・・っ」 望美の胸に顔をうずめる白龍・・・ 頭のどこかで冷静な自分が”止めろ!”と言っているのに止められない・・・ 嫉妬という名の濁流が白龍から冷静さを 奪っていく・・・ 「いやっ・・・」 「望美は私のものだよ・・・!誰にも誰にも渡さない・・・!!」 「ンッ!!」 激しいキス・・・ 容赦なく望美の吐息を奪う。 (やだ・・・、こんなの・・・っこんなの・・・っ) 「こんなんの嫌ッ!!!!白龍のこと、嫌いになっちゃうよッ!!」 「!!」 望美の言葉にハッと我にかえる白龍・・・ 気がつけば・・・自分を見つめる望美は・・・ 恐怖に慄いている・・・ 「あ・・・。あ・・・。わ、私は・・・なんてことを・・・」 「は・・・。白龍・・・っ」 ガタン!! 白龍は錯乱し、浴室へ走った。 「白龍ッ!!」 乱れたブラウスを整えて望美は浴室へ 行くと、白龍はシャワーを頭からかぶり、膝をついて 愕然としていた・・・。 「近寄らないで・・・ッ」 「で、でも白龍・・・」 「汚れているのは私だ・・・。大好きな貴方に酷いことを・・・ 酷いことを・・・!」 白龍はタイルの壁に頭を打ち付ける。 「や、やめて・・・!」 「こんな私・・・!消えてなくなれ・・・!!汚れてる消えればいいんだ・・・!!」 望美が止めても白龍は頭を何度も打ち付けて・・・ タイルから血が滴り落ちて・・・シャワーの水が赤く染まって排水溝に流れる・・・ 「白龍お願いやめて・・・!貴方が消えたらいいなんてそんな哀しいこと言わないで・・・!」 「望美・・・。ごめんなさい。ごめんなさい・・・。私は・・・」 望美の胸で泣きじゃくる白龍・・・ 白い望美のブラウスは赤く染まり・・・ 「ごめんなさい。ごめんなさい・・・。もうあんなことしないから・・・ 私を嫌いにならないで・・・」 「嫌いになんてなるわけないでしょ・・・」 「・・・望美・・・」 力は大人でも・・・ することと言葉が違う幼さ。 アンバランスさに惹かれて止まない・・・ 「もう・・・。こんなに濡れちゃって・・・それから傷もつけて・・・」 望美はポケットからハンカチを取り出し、白龍の額の傷を拭う・・・ 「私の大切な白龍・・・。もう二度と自分の体傷つけるようなことしないで・・・?」 望美はやさしく白龍を抱きしめる・・・ まるで泣いた子供をいたわるように 「うん・・・」 望美の優しい声・・・。白龍の心はようやく少し落ちつく・・・。 トクントクン・・・ 心臓の音・・・ 「・・・望美の鼓動が聞こえる・・・」 望美の左胸に耳を当てる・・・ 「望美の胸・・・大好き・・・」 柔らかさを確かめるように耳と頬を強く押し当てる・・・ 「こらこら。甘えん坊・・・。泣いたり怒ったり・・・。本当に いろんな顔するんだから・・・」 「こんな私は・・・。やっぱり嫌い・・・?」 望美は首を横に振る・・・ 「・・・白龍・・・。好きな人からの 嫉妬は嬉しいものなのよ・・・」 「望美・・・」 「ふふ・・・。白龍・・・からだ冷えちゃったね・・・。傷の手当てしたら 温めなくちゃ・・・」 濡れ髪をすくう望美・・・ 「温めあうのは・・・寝室がいいな」 「・・・。今度は・・・。優しく・・・ね?」 頬を二人は染めて 抱きしめあう・・・ 激しく幼い嫉妬・・・ 驚いたけれど でも本当は嬉しい・・・ 愛を確認できたようで・・・。 「・・・白龍・・・ありのままの貴方が大好きよ」 「うん・・・」 白いシーツに二人は包まれ・・・ 互いの肌を求め合う。 幼い嫉妬も すべてくるんで・・・