じっと・・・していて 包帯バージョン前編 「心配だ。寝る間もいらないくらいに心配だ」 診察室。 落ち着かない顔で白龍がうろうろ動き回っている。 望美が洗濯物を干しているとき、 手首をひねったらしく。 「どうしよう。どうしよう。どうしよう。 私のせいで望実が。望美が」 白龍のTシャツを干していた。 「あ!!望美!!」 看護士に付き添われ、診察室から右手に包帯を巻いた望美が出たきて・・・ 「望美!!」 「白龍!?どうしたの。帰ってっていいって・・・」 「そんなこと出来るわけが無い。望美を置いてなんて! それより怪我はどうなの!?痛くない?痛くない・・・??」 子供のように少し目に涙を溜めて問う白龍。 「大丈夫よ。骨には異常ないって。しばらく湿布して 安静にしていれば大丈夫って」 「本当?本当だね?」 「本当よ。だから泣かないで。ね?」 「・・・うん」 姿は大人の男なのに 言動は母を心配する子供の様。 そのギャップに周囲の反応が少し気になる望美だが・・・ (白龍は白龍らしくていいの。このままでいい) 「さ。帰りましょ。白龍。悪いけど荷物も・・・ってきゃあ!?」 ひょいっと望美を抱き上げる白龍。 「荷物だけじゃなくて望美ごと持って帰る。私が 責任を持って」 「ちょ、ちょちょ・・・」 「黙って。怪我に響くから。じっとしていて」 ”じっとしていて” いつか聞いた同じ台詞に・・・ (な、なんか・・・おとなしくさせられちゃった) ときめく言葉 二人だけの・・・。 「あのね。お世話してくれるのは嬉しいんだけど。」 「望美なにもしなくていいからね。全部。私がする」 マンションに着く早々、望美をベットに寝かせ水色のエプロンをつけた白龍。 「で、でもね。あの・・・」 (!!) 「じっと・・・していて」 白龍はそっと望美の唇に指を当てて 「怪我が治るまで、望美には何もさせない・・・。いいね?」 「・・・。ハイ」 「うん。それでいい。じゃあ今、残りの洗濯物を干して、お昼ご飯を作るよ」 パタン。 にっこりスマイルで白龍は出て行って・・・。 (・・・。お、押し切れられちゃった・・・) 子供なのか大人なのか・・・。 分からない。 分からないことが白龍という心。 その心を好きになった。 「って!うっとりしてる場合じゃないわ!」 (・・・。残りの洗濯物って・・・!!) ・・・望美が朝にシャワーを浴びた着替えが・・・。 「いいお天気だ。太陽が笑ってる」 太陽に爽やかな笑顔を振りまきながら 「きゃああああ!白龍洗濯物待・・・」 望美のピンクのブラを笑顔で洗濯バサミにはさんでいる。 (・・・お、遅かった・・・) 「あ!望美ったら。休んでっていってるのに!もう・・・」 「や、休んでなんて・・・。そ、それより洗濯ものは私が・・・」 「いいからいいから。望美の着物は綺麗に洗えたよ。 ほら。見て。望美の胸の形そのままに♪」 「・・・」 白龍の笑顔がさわやかすぎて 叱ることも出来ず・・・ 「綺麗な着物だねー・・・。最初、洗うのもったいなって 思っちゃったよ」 「え?」 「だってさ・・・。望美の香りが・・・残ってるから・・・」 (な、何言ってるの確信犯なの!??!?) 「三角の”着物”の方も洗ったよ。皺にもならず・・・」 「もうやめてーーーー///」 ベランダから 望美の混乱する声がこだましていた・・・。