じっとしていて
私の大好きな彼は・・・。 私に何かあるとすぐ飛んできます。 例えば、ベランダで洗濯をしていて、物干し竿におでこをぶつけたときも・・・ 「・・・あいた!」 「神子!?どうした!?」 たんこぶ一つできただけなのに、白龍はものすんごい剣幕。 「ちょっとおでこぶつけちゃっただけよ。ふふ」 「でも少し赤くなってる・・・。ちょっと待ってじっとしてて」 「え・・・」 白龍は私の頬に手を添えて・・・ ぺろって・・・! 白龍は・・・なんというかその・・・何でもっていうかすぐな、舐めたがる・・・ところがあって。 ・・・私の体にはその”形跡”がいたるところに・・・/// 「は、白龍・・・(照)」 「はい。私には傷自体治す力は無いけど・・・。こうしたかった」 「・・・なんか思い出すね」 「うん。岬で神子が転んじゃったんだよね」 「そう・・・。でも白龍が治してくれたよ」 「うん・・・。神子が傷つくことが辛いから・・・」 異世界での白龍との思い出。 今となっては・・・ 遠い夢の記憶のよう・・・。 「私はもう傷を治す力は無いけど・・・。神子を全身全霊で 守るよ」 「白龍・・・」 白龍の大きな腕に抱かれて 守られて 私は幸せだ。 でも白龍の幸せって何かやっぱり考えてしまう。 「神子。まだ・・・ここ痛い?」 白龍は私の前髪を掻き揚げて優しく撫でる・・・ 「もう平気だよ」 「そう。よかった・・・」 ベランダの手すりに 雀が二羽、泊まった・・・。 「可愛い・・・。きっと”番”だね」 「つがい・・・?神子、番って何・・・?」 「え?ああ、人間で言うなら夫婦、ずっと一緒にいる夫婦ってことかな・・・」 白龍は手を伸ばし、雀達を誘う。 「じっとしていて・・・。おいで」 (・・・) 自分に言われているわけじゃないのに ドキドキしてしまう・・・。 雀は白龍の優しい声に誘われるように手のひらに乗って・・・。 「・・・。こんな小さな命でも・・・。一人じゃないからこうして生きて行ける」 「白龍・・・」 「時空の狭間にいたときはずっと一人だった・・・。どんなに 強い力を持っていても意味がなかった・・・」 雀、二羽はふわっと空に舞いあがる。 大きな空に飛び立つ・・・ 「でも今、私には神子がいる・・・。一人じゃない・・・」 「白龍・・・」 そう・・・。 私達は一人じゃない。 「神子・・・」 白龍はじっと私を見つめて・・・ って・・・ど、どうして顔を近づけてくるの・・・。 「・・・あ、あの・・・。白龍・・・」 「じっとしていて・・・。神子・・・」 で、でもね、ここ、外なんだけど・・・ 「じっと・・・。していて・・・。いい子だから・・・」 「あ・・・」 優しい瞳に私は捕まってしまい・・・。 「じっと・・・していて・・・ね?」 もはや私は彼という名のかごにつかまってしまって・・・。 「大好きだよ。神子・・・」 優しい口付けをされじっとしている・・・。 「ん・・・っあの・・・は、白龍・・・こ、ここじゃあ・・・」 「あ、そうか・・・。ここで裸になったら寒いよね。じゃあ 中で・・・」 (は、はだか!??) 白龍は私をお姫様だっこして 中に入り、そのまま寝室へ・・・。 ベットに寝かせられると白龍はとても愛しそうに私を見下ろす・・・ 「・・・あ、あのね、白龍・・・」 「しっ・・・。じっと・・・じっとしていて・・・。」 「う・・・」 「・・・神子・・・。いっぱい、いっぱい・・・愛し合おう・・・」 白龍は私の胸に顔を埋めて 私達は愛し合う・・・。 嗚呼。白龍。 私は金縛りにあうように動けない。 ”じっとしていて・・・” 愛の呪文。 私が貴方に夢中になる呪文だから・・・。 ずっと私の耳で囁いていてね。白龍・・・。