君に触れたくて
街を白龍と一緒に歩いていたら・・・ 「ねぇ。貴方・・・。ちょっとモデル、体験してみない?」 なんてちょっとお洒落なお姉さんに声を掛けられた。 以前から”私も何か望美のためお金がもらえることがしたい” と言っていた白龍。 それがきっかけでなんか、とんとん拍子に白龍はモデルの仕事をこなすようになった。 某メンズファッション雑誌に素敵なスーツに身を包んだ白龍の姿が映ってる・・・。 「かっこいいね。白龍・・・」 「そうかな・・・。私はただ、お金がもらえるからやってるだけなんだけど・・・」 白龍がそうでも、世間はそうは見ない。 現代人離れした、神聖な雰囲気の白龍。 CMの話なんかまで出てきているほどの人気者だ。。 流石元・神様だね。 「望美・・・」 白龍とキス直前。 ピンポーン・・・。 「あ・・・。きっと吉川さんじゃない?」 白龍の事務所の人だ。きっと今から仕事なんだろうな・・・。 「望美に・・・。3日も会えないんだ」 「うん。でも仕方ないよ」 「・・・やっぱり辞めようかな・・・。沢山お金がもらえるけど・・・。望美に 会えない時間がふえてく・・・」 「駄目だよ。白龍。中途半端は・・・。仕事はきちんとこなさなくちゃ。ね?」 「うん・・・」 なんとも寂しそうな瞳で白龍は出て行った・・・。 白龍。私の方が寂しいよ。 白龍がモデルをしようと言ったときからこういう毎日が始ること 予感していた。 ・・・やっぱり素敵だもんね・・・。 異世界でも白龍は誰か一人のものじゃなかった。 みんなの神様だった。 現代でも・・・ みんなが注目する星なんだよね。 「星か・・・」 白龍が部屋にいなくなって・・・。 三日。 撮影が長引いて一日、帰りが遅くなるって連絡があった。 部屋の中が・・・。寒い。 静か過ぎて・・・寒い。 白龍がいつも座っていたソファの位置。 白龍がいつも使っていたマグカップ・・・。 全部が切ない。 たった3日なのに・・・ こんなに寂しいなんて・・・。 「くよくよしてちゃいけない・・・洗濯でもするか・・・!」 私は腕をまくってベランダに出る。 「はぁー・・・。いい天気」 洗濯物を見て、また切なくなる。 ・・・白龍の・・・Tシャツ。 それから、ズボン。 ”干したての着物は好きだな・・・。望美と同じ・・・陽の匂いがするから・・・” 「・・・白龍・・・」 ・・・ホームシック。白龍のズボンを思わず抱きしめてしまう。 子供っぽいけど・・・やっぱり寂しい。 「・・・寒・・・」 肌寒い今日・・・。 太陽の光はあたたかい。 「・・・白龍も・・・。同じ太陽見てるかな・・・」 白龍もこの太陽の温もりを感じているなら・・・ 少し安心できる・・・。 「よし・・・!洗濯物、頑張ろう!」 寂しがり屋な私じゃいけないよね。 白龍だって頑張ってるんだから・・・。 私は気を取り直して洗濯物を干す。 「よーし。次は玄関の掃除!」 白龍が気持ちよく帰ってこられるように。 私が掃除機を取り出していたとき・・・。 ドタタタタ・・・。 物凄い勢いの足音。 (あ・・・!この足音は・・・!) ガチャ!! 「望美ーー!ただいまーーっ」 「は、白龍!?」 ドアを開けた途端、白龍が私に飛びついてきた。 「望美・・・。ああ望美の匂いだ・・・っ」 「ちょ、ちょっと白龍・・・。た、たんま・・・」 白龍はまるで、父親の帰りを玄関で待っていた子供のように 私にしがみつく。 「望美の感触・・・!望美の温もり・・・!」 「は、白龍。ちょ、ちょっとたんまって・・・(汗)」 「あ・・・ごめん・・・!でも三日ぶりの”望美”だったから 我慢・・・できなくて・・・」 ・・・なんか・嬉しいような・・・恥ずかしいような言葉。 「白龍・・・。おかえりなさい」 「うん・・・。ただいま・・・」 私も白龍を抱きしめる。 白龍の温もりを確かめるように・・・。 「・・・望美・・・。望美は寂しかった・・・?」 「うん。とっても」 「私も・・・。とっても寂しかった・・・」 たった三日。でも何千年離れていたみたいに・・・ 「・・・え」 私の背中に白龍の手が・・・ 「・・・あ、あの・・・白龍・・・」 「だめだ・・・。もう、止まらないよ・・・。望美がほしくて・・・ 止まらないよ・・・」 スカートのファスナーをおろして・・・ って・・・!ここは玄関です・・・ 「わ、わかった。で、でもあの・・・。寝室に行ってから・・・ね?」 「うん・・・」 掃除機を玄関に放り出して・・・ ああ、まだお掃除まだなんだけど・・・。 でも私も止まらない・・・。 白龍の存在を 確かめたいから・・・。 「望美・・・愛してる・・・」 昼間だけど 私は好きな人の腕の中で夢を見る。 ・・・甘い夢を・・・。