初夜
熊野の館。
龍神の神子と水軍のヒノエの結婚式が盛大に執り行われた。
水軍たちは夜更けまで祝い酒で盛り上がり・・・。
「・・・俺達は、これからが”お楽しみ”だもんな」
「ひ、ヒノエくんたら!!」
枕が二つ並び、一つの床。
蝋燭の炎が静かに揺らめいて・・・
湯姿の望美がヒノエに恥ずかしそうに背を向けて正座して座っている。
「・・・こっち向けよ」
「・・・」
「せっかくのお前の色っぽい湯姿・・・。堪能したいのに・・・」
ヒノエはそっと望美のうなじを手の甲で撫でる・・・。
(きゃ・・・っ。ひ、ヒノエくんの手・・・ひんやりしてる・・・)
「男が女の体でぐっと来るところっていったら・・・。やっぱうなじ
だよな。お前のうなじ・・・白い・・・」
(う・・・)
ヒノエの声がこそばゆくて・・・
体がぞくぞくしてくる・・・
「お前・・・。ホント色・・・白い・・・よな・・・。吸い付きたくなるくらい・・・」
ヒノエは望美の右耳の裏をぺろっと舐めた。
「ひゃッ・・・っ」
「・・・ふふ。可愛い声・・・」
「・・・(慌)も、もう!!ひ、人をからかってばっかり・・・。きゃッ」
ヒノエは振り返った私の両手を掴んで
そのまま押し倒して・・・
「ほおら・・・。捕まえた・・・。オレの花嫁・・・」
愛しげに望美を見下ろすヒノエ・・・。
まるで悪戯な少年のように・・・
「ひ、ヒノエくん・・・。も、もう・・・。あんまりドキドキさせないで・・・」
「どうして・・・。ドキドキさせたいね・・・。お前の心の中、オレで
全部にしたいから・・・」
「・・・もう全部だよ・・・」
「・・・ふふ・・・。オレの可愛い花嫁・・・。今夜は熱く・・・激しい夢をみせてやるよ・・・」
言葉と同じく熱いその手で望美の着物の襟をずらし・・・
その白い素肌を晒した・・・
「綺麗だ・・・。まるで粉雪のように・・・」
「・・・ひ、ヒノエ・・・く・・・ん・・・っ」
鎖骨を撫でられ・・・
ゾクっと望美の全身に震えが走る。
「・・・花を咲かせよう・・・。ここに・・・」
「・・・!」
首筋に唇を這わせ、白い素肌に吸い付く。
望美の肩は敏感にビクッと震えた。
「ほおら・・・。一つ目の花が咲いた・・・」
「・・・い、幾つ咲かせるつもり・・・」
「・・・さぁって・・・幾つかな・・・。全身に咲かせても足りないくらいだ・・・。
隅から隅まで・・・な」
「・・・ヒノエ君・・・」
ヒノエの目が”男の目”になった。
自らも上着を脱ぎ・・・。
「・・・お前という花を今夜は・・・。乱れ咲きさせたいね・・・」
「・・・」
「・・・オレの・・・愛しい花嫁・・・。心も体も全て・・・愛しつくしてやるよ・・・」
蝋燭の炎が一瞬、猛火のように灯った・・・
熱い・・・ヒノエの体のように・・・
「・・・二人で・・・熱い夢を見よう・・・」
「ヒノエくん・・・」
重なり合った体は・・・
蝋燭の炎が消えても激しく燃え上がり・・・
二つの影が一つになる・・・
・・・月夜の若い二人の・・・これが初めての夜・・・