真夏の恋は真剣勝負 「なぁ望美」 「なあに?」 「こーゆーの着られないか?」 「・・・!!」 望美の部屋で。 ヒノエが望美に水着雑誌を見せた。 「ほら〜。結構似合うと思うんだけどー・・・」 バシッ!! 望美は雑誌をヒノエから取り上げてお仕置き。 「こ、こんな雑誌いつ買ったの!!絶対にきないから!!」 「あははは。残念残念」 「んもう〜!!明日私絶対に海入らないから!!」 バタン! 部屋を追い出され・・・ (やれやれ〜。ちょっと表現がストレートすぎたかなぁ) 好きな女の色んな姿が見たい 男なら当然思うことだ。 「夏は本番。諦めはしないぜ?」 相手は龍神の神子。 「神子だろうがオレが惚れた女だ。正々堂々 恋愛するぜ」 本気の恋は本気で勝負。 不機嫌ながらもなんとか望美を海には連れ出してみたものの・・・ 「あの〜。望美チャン。なんなのその暑そうな格好は・・・」 「日焼け防止。何か?」 長袖のブラウスにジーンズ。 ”完全装備”だ。 「・・・。ふぅ〜。オレの恋人はなんて意地っ張りなんでしょ〜」 「当たり前でしょ!あんな・・・あんな恥ずかしいのなんて・・・」 「ふふ。まぁいいや。水着だけが”楽しみ”じゃない。 ”脱がせる”という意味じゃ、今の格好はなんてそそるんでしょうかねぇ〜」 くいっと望美のブラウスのボタンを指で突付くヒノエ。 「!!エンジン全開すぎるわッ」 ばっちん!! 調子に乗りすぎて ほっぺたにビンタをくらったヒノエ。 「あーあ・・・。またやっちゃった」 望美は怒って岩場へと歩いていった・・・。 「・・・。容赦はしない。オレの恋はいつだってエンジン全開」 ヒノエは望美のあとを追いかける 「んもうッ・・・!なんでいつもヒノエくんは・・・」 岩場に一人両足を抱えて座る。 「ふぅ・・・」 アタックしてくれるのは嬉しい。 けど・・・ (ペースについていけなくて・・・。なんだか少し悔しいくらい) チャポン・・・ 岩場に二匹の小さなカニが歩く・・・ (いいな・・・。穏やか寄り添って歩きたい・・・) 激しい恋も嫌いじゃないけれど 手を取り合って寄り添う時間もほしい。 「私って・・・。わがまま・・・。なのかなぁ」 「・・・何がわがままだって?」 「きゃ!?」 ひょいっと望美の肩から顔をだして、水面のカニを覗き込むヒノエ。 「おー。つがいかー。ふふ。きっと今から愛の結晶 をこさえにいくのかねぇ」 「・・・!!もう!ヒノエ君ってどうしてそういう 言い方しかできないの!」 バシャン! 望美は思い切りヒノエに水をかけた。 「おー!やろうじゃないの!お約束だね。 この展開!」 (悔しい!きっと面白がっているだけなんだ!) バシャン! バシャン! 思い切りヒノエめがけてかける。 (悔しい!悔しい!いつもいつも・・・) 頬を染めさせられ、戸惑う顔をさらすのは自分のほう。 「ヒノエくんなんてだいっきらい!」 「おー!いいねぇ。けどオレは大好きだぜ?」 「嫌い!嫌い!」 (嘘・・・。好きだから悔しいのだから・・・拒否できない) 拒否できないから 尚・・・悔しい。 ・・・この。恋。 「きゃあ!」 「おっと!」 バランスを崩して倒れかけた望美を・・・ すんでで腕を掴んでお姫様抱っこ・・・。 「・・・。ふふ」 「何よ・・・。”これ”も・・・。ヒノエ君の狙いのうち・・・?」 「いやいや・・・。オレはそんな計算なんてしない。 ただ楽しんでいるだけさ。真剣に・・・な」 「・・・。ヒノエくんたら・・・」 とことんヒノエ流。 妥協はしない。 (こういう人を・・・。私は好きなんだよね) ならば真剣に応えなければ・・・ 「・・・あの。ヒノエく・・・ってどこを見ているの?」 「オレの勝ちだな」 「え?」 水で少し濡れたブラウスを見てにやにや笑う。 「・・・!!」 ヒノエがこの間、雑誌で見せた水着がくっきりと・・・ 「へへ。脱がせる楽しみがぐっとあがったねぇ」 「も、もももももうーーーー!!」 「さ。帰ろうか。なんなら車でフライングラブでも・・・」 「下ろしてーーー!!」 「ははは・・・元気な姫様だ」 手足をばたつかせる望美をそのまま 抱きしめて 砂浜を歩く。 (・・・真剣勝負。なぁ姫様。おまえも応えてくれるはずだ・・・) 真夏の太陽。 ヒノエ流の恋愛は暑さに負けなずいつでも熱い・・・。