落ち葉のロンド 愛し合う場所 望美の世界ってのは つくづく便利なもんがあるぜ。 ま、オレにとっちゃ、望美がいる世界ならどこでも。 ※ 「俺たちの時代じゃ考えられないよな。 愛し合う場所が公然と・・・」 「どこで立ち止まって見上げて言ってるの!!///」 『ご休憩』 とかかれた看板の前・・・。 「”休憩”してくか?」 「しないわよ!!」 「そっかそうだよな〜。愛の巣はちゃんと 別にあるし」 望美の肩をそっと抱き寄せるヒノエ。 「怒るわよ!」 ヒノエの手のひらをつねって追っ払う。 「イテテ・・・。なーんか最近苛苛してません? 姫君?」 「ヒノエ君があんまりおいたすぎるからでしょ!もう!」 望美はひとり、公園の方へ歩いていく。 (いっつもいっつもいっつも! ひとりでもりあがっちゃってさ!) 落ち葉の絨毯を すたすたとむくれ顔で歩く望美。 「ヘイ!姫君!」 「きゃッ」 大きなヤツデの葉が目の前に 「枯葉仮面登場!姫君のご機嫌を 治しに参りました!」 ヤツデの葉に目と鼻の部分を穴をあけて・・・ 「・・・。もう・・・。ヒノエくんったら」 「姫君のご機嫌を治して見せましょう。 さぁごらんあれ!秘儀。枯葉のロンド」 ヒノエがちょちょいっと八葉の力をつかって 小さな枯葉の竜巻を起こした。 「木の葉たちよ・・・。どうか愛しい姫君の ご機嫌を治しておくれ」 小さめの枯葉で 子犬の形をつくる 「可愛い」 「ふふ。木の葉は変化自在。今度は オレの愛を形にしましょう」 (・・・(汗)本当に気障なこと 平気でいうんだから・・・) 枯葉でなにか文字をつくる。 「・・・です。姫君」 「///たく・・・ヒノエくんって本当に口が 上手いんだから・・・」 『セカイデイチバンアイシテル』 「ふふ。どうやらご機嫌は治ったみたいだな〜。 じゃあ本題に行こうか」 (ほ、本題!?) 公園中の木の葉が舞い上がる。 そして大きなケヤキの木のしたに一点積まれて・・・。 「木の葉のベットのできあがりっと」 (べ、ベットって・・・) 「さてさて。愛の巣は出来ました。姫君」 ひょいっと望美の手を掴んで・・・ 「え、ちょ、ちょっと・・・!」 「ちょっとだけ”ご休憩”。ふふ。 心配しなくてもちょっとだけ・・・。愛しい唇をすこーし 頂くだけさ」 「え、あ、きゃあああ!」 バシャン。 望美とヒノエの姿は 枯葉の中に消えた。 「きゃああ。もう何考えてるのよ〜!!」 「え?そりゃお前のことばっかり考えてるさ・・・。 ふふ」 「だったら場所と時を考えてよ〜。もう〜」 「・・・うーん。ふふ。オレの愛は枯葉のように 不安定なもんでね。確かめたいのさ。さ、じっとして・・・」 (どこが不安定なのよ。自信たっぷりじゃないの。 けど・・・。それが私は嬉しくもあり・・・) ガサガサ。 枯葉の絨毯で 交わされる口付け・・・ ヒノエの真っ直ぐな愛は 秋でも真っ直ぐで 醒める事はないのだった・・・