温もり在る雪 こっちの世界の雪は 綺麗だな。 雪の色は変わらないが 惚れた女が居る世界の雪は格別に見えるさ。 ※ 「・・・ヒノエ君」 「なんだい?ハニー」 おせち料理をせっせと 朝から作る望美。 そんな望美を背中からハグしまくってます。 「お料理がつくれないんだけど?」 「料理?ふふ。オレは料理よりお前が食べたい」 チュ! 「ひゃッあ!」 耳の裏に軽いキス。 「つまみ食い〜♪お前がここ、弱いモンな〜♪ なんならここで本食いで・・・」 望美は顔が真っ赤・・・ 「だ、台所から・・・で、出て行けーーーーー!!」 「わわっわあ!」 フライパンで攻撃されそうになり そそくさと退散してきたヒノエ・・・。 「やれやれー・・・。一番食べたい”メニュー”は 夜におあずけか・・・。ハハ」 ソファにくすっと笑って座る・・・ (あー・・・。いい匂い・・・) 料理の匂いか・・・? それとも外の雪の香り・・・? (温けぇ・・・。部屋だなぁ・・・) 戦が絶えないあの時代。 雪の中での戦も何度か潜り抜けてきた 焚き木の温もりは知っている 戦で冷え、疲れきった体は癒える。 だが・・・ (・・・雪が血に染まる・・・。そんな季節は もうごめんだ) 雪ノ下には 戦で逝った命たちが 埋まっている (・・・。もう・・・。 あんな雪は見たくねぇ・・・。オレが見たいのは・・・) 「ヒノエ君ー・・・。味見してくれない? あ、変な”意味”じゃなくてお料理の方だよ///」 「はいはいー!今行きますよー☆ハニー♪」 (オレが見たいのは・・・) 「上手くできたかな?」 可愛らしく照れる望美・・・ (オレが見たいのは・・・。温もりある雪だ) 冷たくても 温かな心にしてくれる・・・ 「はい。味見してみて」 「・・・。あーんってやつしてくれないのv」 「///まったくもう・・・。しょうがないなぁ」 伊達巻卵をそっと箸で ヒノエの口にもっていく。 「んー・・・もぐもぐ」 「どう?」 「・・・。うーん!!!」 「ひゃッ!」 いきなりヒノエはエプロン姿の望美をお姫さまだっこ。 「おいしい!!望美と同じくらいおいしいぜ!!」 「どういう表現よ〜///もう〜!!」 「でもちょーっとだけ・・・。つまみ食いさせてくれない・・・? エプロン姿の望美見てたら夜まで我慢できそうになくて・・・」 「・・・つ、つまみ食いは禁止って・・・///」 「・・・唇だけだから・・・。な?」 艶っぽい声で 言われたら・・・ (・・・はぁ・・・。ヒノエ君ペース・・・) 強引で。 所構わず スキンシップを求めてくる。 (・・・逆らえないのよね・・・) 「わ、わかった。ちょ、”ちょっとだけ”だからね・・・」 「分かってる・・・。”ちょっと”だけ・・・」 ガスを止めて ヒノエの腕の中に身を寄せる望美。 抱きしめて 何度か口付けをして・・・ (・・・。オレが欲しいのは・・・冷たい雪じゃない・・・) 台所の小窓から降る雪。 だがどれだけ冷たい雪が降り積もろうとも (温かい・・・) 触れる肌 ぬくもり在る唇さえ そばにあれば・・・。 「・・・。温かな雪だな・・・」 「え?」 「いやなんでも・・・。ふふ。ごちそうさまでした。 なんなら・・・本食いでもいい?」 「ほッ!!!やっぱりリビングへ退散しなさい!!」 今度はフライ返しが飛んできて 「我が家はうちは色んな物振ってくるなぁ。ハニー♪」 ヒノエ節も絶好調。 おせち料理が出来るまで 望美が真っ赤になるようなことを連発する・・・ (冷たい雪なんて怖くねぇ・・・。 オレは・・・永遠に温かい雪を手に入れたんだから・・・) 「冷えないようにオレが温めてやらねぇとな」 「ってどこ触ってるのーーー。もうーーーー!!」 賑やかで温かな 冬・・・。 ヒノエの恋の熱は一層熱くなるのだった・・・