ヒノエの物語秋 〜一日だけ子供に戻る編〜 「オレ、ちっちゃくなったし」 「え?」 望美がキッチンで朝食の支度をしていると Tシャツとジーンズをずるずると ひきづった少年が。。 「・・・」 望美、絶句。 くいくいと望美のエプロンをひっぱるヒノエ。 「だっこしてほしーなぁvv」 奇妙な状況を見事に楽しむヒノエ。 「だ、だっこって・・・ほ、本当にヒノエくんなの・・・?」 「ちっちっち。姫君。チビだからって 熱い心は変っちゃいないぜ」 人差し指を振って笑顔なヒノエ。 (た、確かに口調はヒノエくんだわ・汗) 「多分白龍のうろこのせいだろ?なんか よくわかんないけど、そのうちもどるさ」 「そ、そのうちって・・・汗」 「ま、人生色々あって面白い。航海だってそうさ」 「5歳児が言う台詞じゃないわね(汗)」 とりあえず、今しなければいけないことは・・・ (お洋服どうしよう、それから・・・) と考えている望美だが、ヒノエは両手を広げて・・・。 「だーっこ♪」 「・・・」 とっても可愛く。 ひょいっとヒノエをだっこ。 「もう甘えんぼなんだから」 「はう〜。いいねぇ〜♪♪ミニサイズ も悪くネェ」 「とくにこう・・・頬でこの柔らかさを直で・・・ 無条件でこんなことが出来るし・・・」 胸の辺りを頬ずりするヒノエ・・・。 「こ、こらっ」 「おかあさまぁ。オレ、お母様のお乳・・・ふが」 望美のセーターをめくろうとしたヒノエの頬をつねる。 「エッチな子は大嫌いです!」 「わーん。お母様ごめんなさーい。だからチュウして〜♪」 「もーーー!!いい加減にしなさいーい」 とこんなこんなで ミニサイズのヒノエと望美ママの一日が始まりました。 とりえあず、洋服を着替えさせる。 (買って来るのも面倒だし・・・) 望美の子供の頃、来ていたブラウスと半ズボンを着せてみた。 「わぁ♪オレ、女になちったv」 と、ヒノエは相変わらずノリノリでくるっと モデルのようにまわってみた。 「これでも男の子っぽいの選んだのよ。文句言わないの」 「文句なんてなーし!は〜。望美の匂いがする〜。 子供の頃から男を惑わすいい匂いしてたんだぁ〜!」 カラダはミニでも口はきざ男。 「そうだ!望美がよく遊んだ公園って 前、聞いたな・・・。そこに行って見たい!」 というわけで。 お手手つないで、近所の公園へGO! 休日とあって、親子連れが結構来ていた。 ベンチに並んで座ってとりあえず、公園を眺めてみる。 「いいですな〜。このなごやかーな 雰囲気・・・。俺達にも早くつくらなきゃな。子供・・・」 「///ちっちっこいカラダで変なこというなッ」 二人はゆったりとした公園に流れる時間を眺めてみた・・・。 ぞうさんの滑り台からおちて、泣いて母親になぐさめられる少年。 砂場で手足砂だらけにして砂団子を何個もつくって自慢げな少女。 ブランコから靴を投げあいっこしている どもたぢ・・・。 「・・・どの時代もは・・・。やっぱりいいな・・・」 「え・・・」 「民が・・・何気なく過ごす日常・・・。 ゆるやかに流れる・・・」 戦が壊した大切なもの。 それは幾多の時間が過ぎても変らない。 「ヒノエくん・・・」 「・・・オレッちはお袋とあんま遊んだ記憶ないからかな。 感傷的になっちまうのは・・・」 ぎゅっと・・・母親に甘えるように 望美のジーンズをひっぱるヒノエ。 (寂しがり屋さんなんだから・・・) ちょこんと望美はヒノエを膝に乗せた。 「お?なんかサプライズ?」 「いいから・・・。エッチなことしなければしばらく こうしててあげる。」 「はあい♪わっかりました。望美ママ!」 小さな両足をぷらんぷらんと揺らして 本当に少年のよう。 ベンチの後ろの銀杏の葉が 一枚、二枚と落ちてきて・・・。 秋の公園を満喫した二人だった・・・。 で。夜。 「おっふろ♪おっふろ♪」 食事が終わってからとにかく 望美のエプロンをひっぱって、即効、入浴を要求。 「・・・ひとりではいりなさい」 「えー。どうして。オレ、まだ子供だしぃ・・・」 「・・・(汗)」 「いつも一緒に入ってるのに何照れてんのー? ったくぅ。可愛いやつだなぁ」 (照れるんじゃなくていたずらし過ぎるだろうから 心配なんでしょ) 「先に私が入ってきます!テレビでも見てなさい!」 「あ・・・」 望美は着替えを持って、すたすたと一人 お風呂場へ・・・。 バタン!ガチャ! 「そんな〜!!これが一番の楽しみだったのに!」 「何が楽しみなの!!一人でゆっくり入りたいの!」 と、一人ご入浴・・・。 「ふー・・・。いい湯だな・・・」 湯船につかっていると・・・。 「いい湯だね。ママ!」 「!!」 真後ろにタオルを頭にのっけたヒノエが・・・。 「どっから・・・!」 「淋しい子供はね。どこでも母を求めて 来るのさー♪」 「・・・負けた・・・(汗)」 そんなこんなで。 「望美のママ、胸がまたおっきくなったんじゃない?」 「黙ってシャンプーさせなさーい!!」 ヒノエのご入浴成功の巻でした(笑) そしておやすみの時間。 ふかふかの干したてのオレンジ色の布団に二人、 横になってます。 おそろいのパジャマで。 「はー・・・いい湯だった♪」 ご満悦のヒノエ少年。 「疲れた・・・(汗)」 ぐったり望美ママ。 「・・・ありがとうな」 「え?」 突然、真面目な声に驚く望美。 「今日一日・・・。おふざけし過ぎたケド・・・。 オレ、本当にお袋に甘えられた気がして嬉しかった・・・。 ・・・マジめにね」 「ヒノエ君・・・」 ぎゅっと思わず抱きしめてしまうヒノエ。 「あー・・・いいねぇ。これ。スケベ心も・・・ 消えていく」 「・・・少しだけよ」 望美の温もりに 包まれ眠りについていくヒノエ・・・。 「今晩だけ・・・お母さん役・・・。今晩だけだからね・・・」 と、愛しそうに抱きしめて 眠ったのでした・・・。 が。 実は狸寝入りのヒノエ。 (・・・最高の枕だ・・・ふふ・・・) とこっそり思っていたのでした。