風に舞う蝶朝。 心地いい風でオレは目覚めた。 ・・・隣にはすやすやと寝息を立てる望美がいて・・・、 ふっ。勿論、望美は・・・裸だ。 「へっ・・・気持ちよさそうに眠りやがって・・・」 オレは望美の長い髪をそっとすくう・・・。 昨晩、ちょっと頑張りさせすぎたかな・・・? 「ん・・・。あ、おはよ・・・」 「朝から眺めがいいねぇ。愛しい妻の生肌を拝めて」 「・・・!」 望美は顔を真っ赤にして襦袢を着た。 初々しいねぇ。その反応がたまらねぇ。 「ふっ。何回目だろうな」 「な、何が・・・?」 「・・・お前を抱いた回数・・・」 「なっ・・・」 オレは望美を抱き寄せた。 ・・・ふふ。耳まで真っ赤だ。 「・・・。抱くたび抱くたび・・・お前の惚れ直すなんて・・・。 どうしてくれんだ・・・?え?」 「ど、どうしてっていわれたって・・・(照)」 「答えは一つ・・・。とことん抱いて・・・とことん惚れまくる・・・」 CHU! 白い首筋に口付けてオレの花を咲かせてやった。 「・・・。も、もう・・・。ヒノエくんってば・・・。 朝から・・・」 「朝でも夜でも、オレはオレだ」 好きな女に愛を囁き、 好きな女を抱く。 ・・・容赦なんかしてたら恋愛は楽しめねぇ。 「あ・・・!綺麗な蝶・・・」 庭に薄紅色の羽根の蝶が一匹飛んでいる。 珍しい色の蝶だ。 「とってやろうか?気に入ったのなら」 「いいわよ。かわいそう・・・。せっかく風に乗って 飛んでいるんだから・・・」 流石は龍神の神子殿。 普通の女なら、綺麗なモンがあったらすぐ獲ってくれ、 捕まえてくれと言うがオレの惚れた女は 情緒と慈愛に溢れてる。 「あ・・・こっちに飛んできた・・・」 ・・・望美の匂いに誘われてきたのか? 蝶は望美の頭の上をひらひらと飛ぶ。 望美はひらひら舞う蝶に手を伸ばす・・・ 「・・・ふっ。お前の甘い匂いと”蜜”に誘われて飛んできたのか」 「や、やらしい言い方しないでよ。もう・・・っ」 「・・・オレはいつでも止まってやるぜ?お前の蜜を吸いに」 「きゃっ」 オレの腕の中に望美を閉じ込めてやれ。 どんな綺麗な蝶でも逃がしはしない。 「く、苦しいったら。ヒノエ君」 「にがしゃしねぇよ。”望美”という名の蝶は・・・」 座る望美を雁字搦めにして 背中から抱きしめる。 そんな俺たちの周りを蝶はくるくると踊るように舞って・・・。 「ふふ・・・。見ろよ。俺たちの確かな愛を祝ってくれてぜ」 「・・・。気障・・・なんだから・・・」 綺麗な蝶の前でならどんな気障な台詞だって言ってやる。 嘘偽りのない気持ち。 なぁ。だから望美。 「オレから・・・。飛んでいかないでくれよ・・・。 オレの愛しい蝶・・・」 「うん・・・」 首筋に・・・今日2度目の口付け・・・。 オレの蝶だと目印に・・・。 風に舞う蝶。 幸せな俺たちを本当に祝福してくれているように・・・ 軽やかに ずっと舞っていた・・・