君という至福
景時さんが頼朝さんを説得し 景時さんのお母さんと九郎さんを解放した。 最後の戦いも終わった・・・。 私は白龍の逆鱗で元の世界に帰る・・・。 けれど私には大切な人が出来てしまった。 そしてその大切な人が言ってくれた。 ”望美ちゃん・・・。君に・・・京に残って欲しい・・・。 そしてオレと一緒に生きて欲しい・・・。ずっといっしょにいたんだ・・・” 本当はずっとそう言ってくれるのを待ってた。 私は迷うことなくYESと応えた。 これが私が選んだ運命。 大切な人と生きていくという道を・・・。 「・・・という訳なんだ。母上。オレは・・・。彼女を夫婦になる」 「ふ、不束者ですかよろしくおねがいしますっ」 景時さんの家。 後ろの屏風は何故か金色で、景時さんおお母さんは 綺麗な着物を着ている。 「母上。母上が反対しても俺は・・・」 「・・・誰が反対だと言っています?」 「え・・・?」 すると景時さんのお母さんは立ち上がり 屏風を押しのけ、襖を開けた。 「なっ・・・」 襖を開けるとそこには・・・ 「し、白無垢!??」 眩しいほどの純白の白無垢が・・・。 「いつ貴方達がそういうか待ってたんだよ!」 「・・・。準備がよすぎるだろ(汗)」 白無垢を衣文掛けから外すと私に着せる、景時さんのお母さん。 「龍神の神子さまが私の娘になるなんてこんな 光栄なことは無いよ!景時、あんたでかした!!」 「は、母上・・・(汗)」 「さぁさぁ。嫁殿。早速祝言の準備にかかりたい。白無垢の裾直しもしたいし。 ああ。何だか気が早まるわ♪」 「え、え、えあの・・・っ」 な、なんだかとっても歓迎されているみたいで 嬉しいのだけど・・。 「景時、神子殿。跡継ぎも早めになv」 「母上ッ!ごめんね。ったく・・・」 「うふふ・・・」 楽しいお母さん。 きっと楽しい家族になれそうな気がした。 その夜・・・。 景時さんの家の大きな庭。 月が綺麗。 私は一人、寝巻きのままお庭で月見。 ・・・月の光は変わらない。 私は・・・この月の元で生きていくんだ・・・。 「・・・望美ちゃん」 「景時さん」 「寒いだろ・・・?」 景時さんが私に自分の着物を羽織らせてくれた。 深緑の衣・・・。 「・・・ふふ・・・。景時さんの匂いがするな・・・」 「オレの匂い?オレは・・・君の匂いがいいな・・・」 そう言って景時さんは私を背中から抱きしめる・・・。 「・・・月を・・・見てるのかい・・・?」 「うん・・・」 月・・・。 少しだけ 現代の月を思い出す。 「・・・。望美ちゃん・・・。本当に・・・こっちに 残ってよかった」 「え・・・?」 「・・・駄目だな・・・。オレから残って欲しいって 言ったのに・・・」 「・・・私が後悔してるって言ったら・・・。景時さんはどうすんですか」 景時さんの私の背中を包む腕に 力ら込められる。 ・・・痛いくらい。 「嫌だ・・・。君が後悔していても・・・。オレは君を離したくない・・・。 離したくない・・・っ」 「じゃあ離さないでください・・・。後悔なんかする暇がないくらいに・・・」 「ああ・・・。離さない・・・。後悔なんかさせない・・・。眩暈がするほど君を 愛するから・・・」 まだ桜が蕾だった。 桜の木の下で 初めて交わした口付け・・・ 初めて・・・ 結ばれた月の夜・・・。 「・・・その日にお前が出来たんだぞ・・・?だから名前は月姫だ」 葉桜の木のしたで 優しい笑顔の景時さんが目立ってきたお腹に語り掛ける。 「景時さん女の子だってどうしてわかるの?」 「んー?そりゃあ・・・。父親の勘さ」 景時さんは子供ができてからこうして毎日お腹に呼びかけている。 「はぁー・・・。早く会いたいな。そして話したい。お前の母上はとっても つよくて優しい・・・。オレに勇気を教えてくれたんだって・・・」 「ふふ・・・。大袈裟ですよ」 「大袈裟なもんか・・・。君はオレに最高の至福を運んできてくれた・・・」 「・・・景時さん」 景時さん、今日初めてのキス・・・。 「そして、最高の至福の結晶がお前さ・・・」 私のお腹にもキス・・・。 「景時さん、私の方こそありがとう・・・。優しい時間を・・・。 幸せをくれて・・・」 景時さんは笑って あの時のように私を抱きしめてくれた・・・。 私はもう一度言いたい。 景時さん、幸せをくれて ありがとう・・・。