純愛でいこう ・・・この時代。 男と女子の付き合い方が間違っていると思うオレは やっぱり昔堅気なつまらぬ男だろうか? 少なくとも。 男は簡単に惚れた女子に愛を語るなど安易では駄目だ。 「・・・。うぬ。なかなかいい演劇だ」 テレビという箱の中で繰り広げられる男女の寸劇。 ”夏のソナタ” という題名だ。 数奇な運命に翻弄される男女を描いている。 望美の時代にもなかなか良き演劇もあるものだ。 やはり、男女の仲というのは心が主ではないといけぬものだ。 「ふふ。すっかりはまってるんだね。九郎さん」 リモコンという機械を持ってテレビの前に座っていたオレに 望美が話しかける。 「この寸劇もなかなか良いな。皆、互いを想いあいすぎる 上にすれ違い・・・」 「そうだね。でも・・・。私達もそうでしょ?」 「え・・・」 望美はオレの腕に掴まり体を寄せてきた。 う・・・。む、胸があたっている・・・。 純愛物語を見て感動しているの言うのに俺は何に気をとられているのやら(汗) 「ね、後編もみようよ。一緒に」 「あ、ああ・・・」 腕を組んでテレビの前で寸劇をみるオレと望美・・・。 ・・・申し訳ないが俺は寸劇より望美から漂ういい香りの方に気がいってしまう。 純愛と志したいのに オレときたらば・・・。 「・・・終わったね・・・。最後切なかった」 「そうだな・・・」 望美は感動したのか目に薄っすら涙をためて・・・。 勿論オレも感動はしたが・・・。 頭の片隅で興奮している自分を意識する。 ・・・くそう。これが武士たるものの姿だろうか。 「お茶にしよう」 望美が急須と茶碗を持ってきた。 うぬ。和やかな空気だ。 オレと望美は向かい合い茶をすする・・・。 緑茶はいい。 乱れた心を和ませる。 「今度はどのビデオかりてこよっかなー」 望美はテーブルにひじついて 話す。 ・・・なんとも微妙な角度で・・・ 「ねぇ九郎さんはどんなの観たい?」 「望美が見たいものならなんでも・・・」 !! 少し胸元が開いた上着 胸の谷間が・・・ 「観たい??」 「ぶはッ!!」 の、望美の発言に・・・オレは思わずはいてしまう。 「な、何を言い出すんだ。お、オレはそこまで節操が ない男では・・・」 「?なんのこと言ってるの?」 「え・・・」 「ビデオ、何観たいって話してたんだけど・・・」 ・・・。 お、オレは本当に馬鹿だ。 墓穴を掘ってどうするんだ・・・(汗) 「あー。ひょっとしてなんかちょっと いやらしいこと考えてた?」 「なっ・・・そ、そのようなことは・・・!!あるわけがないだろう!! ないったらないだろう!!」 ろ、ろれつがまわらん。 動揺しすぎ・・・ 「ふふ。うふふふ・・・。純情なんだからー」 「・・・くそ・・・もう何とでもいえ・・・」 望美に笑われている始末・・・。 はぁ・・・ だがな。オレがオレらしからぬことをしたり見たりするのは・・・ 望美、お前のせいでもあるんだぞ・・・? あんまりお前が可愛いから・・・。 「・・・あー。全部借りられちゃってるね」 ”れんたるびでお屋”という場所に望美と来ている。 寸劇の映像を貸してくれるというなかなか便利な商いの店だ。 望美と俺は”夏のソナタ”の最新版を借りに来ていたのだが。 人気があるのか全部借りられていた。 「観たかったのになー・・・」 残念がる望美・・・。 ここは男を見せねば! 俺は奥のほうの人気の無い棚へ行って一本とってきてみた。 「望美。これなどどうだ。あそこの棚は誰も居なかったぞ」 堂々と望美に見せたが・・・ 「///ちょ、ちょっとこれって!!」 「んー?どうした」 望美が赤面して後を向いてしまった。 ・・・?何か俺はドジを踏んだのか? ・・・可愛らしい前掛け(エプロン)をしている女子が一人映っている。 何故望美、赤くなる?? 「か、かえしてきてッ」 「何故だ?この”食べ頃見頃、お味はいかが?”という 文章がかいてあるが、これが気に入らないのか?」 地声のでかい俺は店に響くように言ってしまった。 「と、とにかく返してきて!!」 俺は言われるまま元の棚に返した。 「・・・も、もういいよ。で、出よう」 「??」 わけも分からず俺は望美に連れられて出てきてしまった。 ・・・望美の背中が怒っている。 また知らぬ間に怒らせたか・・・ 「なぁ望美・・・。すまぬ。俺はまた変なことをしてしまったのか? 望美の気に入った寸劇を探したつもりだったのだが・・・」 「・・・。ふふ。もういいよ。九郎さんらしいね・・・」 「・・・すまぬ・・・」 望美の機嫌・・・治ったのか・・・? わ、分からぬな・・・。 おなごの心とは・・・ 「さ・・・。うちにカエロ☆」 「あ、ああ・・・」 手をつなぎ俺達は並んで歩く・・・。 並木道を・・・ そういえば・・・ 寸劇の中でこんな場面があったな・・・ ただ並んで歩く それだけで満たされた気持ちになる・・・。 「これが・・・。純愛、というものなのか・・・?」 「え?何?」 「いや・・・。なんでもない・・・。帰ろう」 純愛。 俺にはまだわからないが・・・。 惚れた女子がそばにいる幸せなら 分かる・・・。 「ところで望美」 「なあに」 「あの棚に返した寸劇は・・・どのような内容なのか? 気になって仕方ないんだが・・・」 「・・・。い、言えないような内容なのよ(汗)」 だが俺はどうしても知りたくてしくこくたずねた。 すると望美は俺の耳元で・・・ ”わ、私達が毎晩してること” と耳打ちして・・・ 「な!??」 「///と、とにかく帰ろッ。今言ったこと忘れて、ねっ」 「あ、ああ・・・(汗)」 純愛・・・ 分からぬが 愛する女子とともにずっと過ごしたい それが純愛というならば ずっと俺は純愛で行きたいな・・・