お前から目が離せない ・・・俺は完全に恋、というものにおぼれているらしい。 朝、望美の顔を見ただけで 訳の分からぬ動悸におそわれる。 そして、望美の唇や体ばかりに視線が行ってしまって・・・。 「・・・何?九郎さん?」 「い、いやっ、な、なんでもない・・・」 食事中でさえ・・・ 望美の口元ばかりに気がいってしまう・・・ 俺はどうかしてる。 「・・・あ。九郎さん。ごはんついてる」 「!」 望美が俺の口元についたご飯粒を食べた・・・ な、なんということを・・・ 「うふふ。九郎さんたら赤くなってる」 「!!お、男をからかうなっ」 望美にまで揚げ足をとられる始末・・・。 こ、これは元・武士として・・・いや、男として情けないことではないだろうか? ということで暫く俺は、望美と離れることにした。 は、離れるといっても・・・。べ、別々の部屋で眠るということだ。 「うん。いいよ。たまにはいいかもね」 望美はなんともあっさり承諾した・・・ ・・・なんだか少し残念のような気もするが・・・。 俺はリビングに布団を敷き、望美は寝室で・・・ 一人・・・ 布団に横になる・・・ コチコチ・・・ 時計という機械の音が響く・・・ 一人ということを嫌がおうにも意識させるな・・・ 「・・・ふぅ・・・。眠れん・・・」 いつもは横に望美の可愛い寝息があるのに・・・ 私は無理やり目を閉じた。 目を閉じて思い出されるのは・・・ ”九郎さん・・・。ああっ・・・九郎さん・・・” 「だぁ!!」 俺に抱かれる望美の声だなんて・・・ 「はぁ・・・。本当に俺はどうしてしまったんだ・・・」 のどが渇いた。 俺は水を飲もうと台所へ・・・ 蛇口をひねろうとしたら・・・ 「あ・・・。九郎さん」 「望美・・・!」 蛇口で望美と俺の手が重なった・・・ 「あ、ごめんなさい。のどが渇いたから・・・」 「ああ。俺もだ」 二人でくすっと笑った・・・ 離れていても 感じることが同じだなんて・・・な。 二人で水を飲んだ後。 望美と一緒にリビングのソファに座った。 「・・・私も一人だと・・・なんだか寂しくて眠れなかった」 「・・・お、俺もだ・・・」 望美は子猫のように私の膝に頭を乗せて・・・ 「・・・たまには・・・こういうのも・・・いいね」 「ああ・・・」 視線を下におくれば・・・ その・・・望美の寝巻きからむ・・・胸の谷間が見えて・・・ くそう!俺ってやつは・・・! 「・・・九郎さん・・・」 そ、そんな誘うような声でよぶな・・・ 「・・・やっぱり一緒に寝ない・・・?一人じゃ・・・ あったまれないよ」 「・・・」 そ、それは一体どういう意味なのか・・・ お、俺に体を温めてくれ、ということなのか・・・ 「わかった・・・。では一緒に眠るか・・・」 リビングに敷いた布団に・・・ 二人で横になる・・・ 「ほおら。やっぱり二人のほうがあったかい」 望美は俺に密着して・・・ 「た、確かにそうだな・・・」 「九郎さんと一緒なら・・・いい夢が見られそう・・・」 もそもそと・・・俺の胸元で動く・・・ そ、そしてこの柔らかい感触は・・・ 嗚呼。なんだか、体がむずむずしてきた。 「・・・の、望美・・・。お、お前。お、俺を・・・」 「九郎さん・・・。一緒に・・・一緒に夢を・・・見てくれるでしょ・・・?」 望美はさらに俺の上に体を乗せてくる・・・ 「・・・っ」 俺の中でなにかがはじけた 「・・・ったく・・・。お前という奴は・・・。俺の心を乱すのが得意なのだから・・・」 今度は俺が望美を下にして見下ろす・・・ 「俺をここまで誘ったのなら・・・容赦はしないぞ・・・」 「うん・・・」 望美の寝巻きのボタンを解いてく・・・ さっき感じた柔らかな感触の源が そこにあらわになって・・・ 「愛しているぞ・・・」 「はい・・・」 白い肌に顔をうずめる・・・ もう離れられない お前の肌からも おまえ自身からも・・・ 俺は・・・ お前から一生・・・離れられなくなった 情けない男だ・・・ それでもいい。 お前とともに居られるのなら・・・