まだ見ぬ未来へ 望美はオレが照れる姿を見るのが相当に楽しいらしい。 ・・・なんてことだ(汗) だが、望美の態度や言動で動揺してしまうオレが悪いのだが・・・。 そして今朝も・・・。 「九郎さん、おはよ!」 「ああ、おは・・・」 望美が振り向いてオレは一瞬意識がどこかへすっ飛んだ。 「えへvできちゃった」 (で、でき・・・) 望美の下腹部が膨らみが・・・!! なっ!!!! 「お父さんになるんだよ。九郎さん」 「・・・」←立ちくらみ。 い、いつの間に・・・? ちょ、ちょっと待ってくれ。 し、思考がさだまらん・・・ あ、足がふらついて地面が揺らぐ・・・ 「きゃはは。なーんちゃって!」 「!?」 望美は服の下から座布団を取り出した。 そして望美の腹はへっこんで・・・ ・・・混乱しているオレは状況が飲み込めず・・・。 「あはは。九郎さんってばすんごい驚きよう・・・」 「な・・・。だ、だましたのか・・・!?」 「えへへ。ごめんなさい」 笑っているがまったく反省しておらんな・・・。 しかしこの冗談はか、体に悪すぎる・・・。 「そ、そんなに驚いた?」 「あ、当たり前だろう!し、しかもご丁寧に腹まで 膨らませて・・・」 こんなに動揺するのはやっぱり ”もしか”するような覚えが俺にはあるわけで・・・ 「でもいつできてもおかしくないよね。私たち」 「!!そ、そういうことをか、簡単に口にするものじゃ・・・」 「・・・でも私は・・・。好きな人の赤ちゃんなら産みたいな」 (〜っ!!!) な、なんて誘うような目で言うんだ・・・。 嗚呼。オレは完璧に望美にしりにしかれているんだな・・・ だが確かにその・・・ ”出来てもいい”という状況ではあるのだが・・・(照) 「はぁ〜♪いい天気」 望美は笑顔で洗濯物を干す・・・ おなごはやはり子供が云々というのは嬉しい出来事なのだろうが・・・ お、男はなんというか心の準備が出来てないというか・・・。 「なに一人で悶々してるの。九郎さん」 「はっ」 気がつけば俺は一人頭を抱えて問答していたらしい。 「はい!お洗濯物たたんでおいてね!」 バサっと 渡される・・・。 ・・・どちらにせよ、やっぱりオレは望美に尻に敷かれているらしい。 惚れた弱みだ。 こういう自分も最近は嫌いじゃない・・・。 その翌日のことだ。 ンギャア!! か、架空の存在だったはずの赤ん坊がなぜだかうちにいる。 ”すみません。親戚で突然訃報があって・・・。 一日だけでいいんです” 隣の若夫婦がそう言ってうちに赤ん坊を預けていったとかで・・・ 「ああ、九郎さん九郎さん、おむつおむつーーー!」 「あ、お、おむつ!?あ、こ、この白い紙か?」 若夫婦がおいていった荷物の中から紙のおしめを オレは取り出して手渡す。 「うふふ。可愛いわね。女の子って」 「///」 「あ・・・やだ、九郎さんったら何赤くなってるの。 エッチなんだから」 「・・・なっ!!ば、ば、ば・・・」 オレは”馬鹿を言うな”と言いたいのに動揺しすぎてろれつが回らんようだ。 ・・・なんてざまだ(汗) そ、それにしてもの、望美の奴・・・。 やけに手馴れた手つきでおしめを交換している。 も、もしかして・・・。 俺の知らないところで・・・子供を・・・!? い、いやそんなはずはない!望美に限って・・・!! 「んもう!九郎さん、一人で問答してないでよ」 「はっ」 オレって奴は最近、すぐ一人の世界に入ってしまう 変な癖がついてしまったようだ(汗) 「九郎さんもまなちゃんだっこしてあげて」 「あ、ああ・・・」 赤ん坊を抱かされる・・・ な、なんか何もかもが小さくて壊れそうで・・・ 怖い・・・ でも・・・。この温みは・・・ オレが一番心地いい温みと似ている・・・。 「赤子とは・・・。いい匂いがするんだな・・・温かいし・・・」 「うん・・・」 そう・・・ 「オレの腕の中で眠る・・・お前に・・・似ているな・・・」 「・・・や、やだ・・・。九郎さんたら・・・(照)」 なっ。なぜそこでお前が照れる・・・! つられて自然にオレもなんだかほてってきたじゃないか・・・ 「・・・。ね、眠ったのか・・・」 照れあっている俺たちをよそに赤子は眠ってしまっていた。 「・・・ふふ。可愛い寝顔・・・」 「そうだな・・・」 赤子の寝顔を見ているだけなのに・・・ この言いがたい幸福感はなんなのだろうな・・・。 もし・・・。 この子供がオレと望美の子供だったら・・・ そう自然に思う自分に気づいた・・・ 愛しいという気持ちに・・・ 「・・・望美・・・」 「ん・・・?」 「・・・いつか・・・。会いたいな・・・。俺たちの もう一つの命に・・・」 「九郎さん・・・」 自然にそんな台詞が出てしまった・・・ これも赤子の不思議な力なのかもしれない 「うん・・・。会いたいね・・・」 「・・・ああ・・・」 肩を寄せ合って・・・ 赤子の寝顔を見つめる・・・。 本当にいつか・・・ 俺たちの命にめぐり会いたい 本当に愛し合った・・・ という俺たちの形・・・ オレがここで生きていく証にもなるから・・・