花冠 「〜♪」 将臣から ”一生を添い遂げたいと思うのはお前だけだ” プロポーズの言葉をもらい、上機嫌の望美。 花を摘んで来ては、屋敷のあちらこちらに花を飾っている。 (・・・花やしきだな(汗)) ちょっと戸惑い気味の将臣だが嬉しそうな望美に 何も言えず・・・。 (オレのあんな一言がそんなに嬉しいって・・・。 女ってのはやっぱりわかんねぇ生き物だな・・・) それでも自分が望美に伝えた言葉に 嘘偽りはない。 (ふ。龍神の神子が女房ってか・・・) 「ねぇーえ。将臣君。花畑いかない?」 「・・・は?」 「えへへー。ちょっとやってみたいことあるんだー。 将臣君も付き合ってもらうわよ」 (・・・なんだその怪しい笑いは・・・(汗)) 望美の可愛い我侭。 惚れた女の我侭は 一体何を企んでいるのかとちょっと楽しみだったりする。 二人は屋敷の裏の草原へ散歩に出た。 「きゃー。綺麗ーーー」 桃色の小さな桜に似た花が乱れ咲く。 望美は早速、その花を摘み始めた。 (女はホントに花がすきなんだな) 「将臣くんもてつだってよ」 「え」 ぐいっと腕を掴み、座らせられる将臣。 「・・・将臣は王子様。ということは・・・私は・・・でしょ? だから花冠つくらなくちゃ」 「・・・やれやれ・・・」 まるで娘のままごとにつき合わされている父親の気分。 それでもまぁ・・・。 「うふふふ・・・。綺麗にできそう☆」 惚れた女の笑顔がそばでみられるなら・・・。 (親父役も悪くはねぇな) 「できたぁ!!」 望美は出来た花冠を将臣の前で披露。 「どう?お姫様でしょ?」 「・・・ああそうだな。かなり無鉄砲で乱暴な」 バキ! げんこつをくらう将臣。 「んもう〜!!ロマンチック気分が台無しじゃない!」 「ロマンチックだぁ?ったくそんな気分に浸る 年でもねぇだろ」 年のことを言ってしまった。 「将臣くんなんて知らない・・・ふん!!」 完璧にお冠の望美。 (やれやれ・・・。本当に駄々をこねた娘をあやす親父の気分だぜ) 「しょうがねぇな。お姫様。どうしたら・・・。機嫌を治して くれるのか・・・」 将臣はぐいっと望美を背中から抱きしめる。 「・・・。そんなことしたって・・・。治らない」 「・・・じゃあ・・・。お姫様。これは・・・?」 そのまま・・・自分の方に振り向かせて 「ん・・・っ」 口をふさぐ・・・。 将臣の熱い口付けに・・・ 望美の体から力が抜ける・・・。 (・・・ったく私って・・・。将臣くんの・・・ キスに弱い・・・) 「・・・んもう・・・。ずるいよ・・・」 「俺は”王子”なんだろ?ならお姫様の喜ぶことを することが仕事・・・。ってことで、テぇだせ」 「え?」 将臣は望美の細い薬指に白い花の茎で作った指輪を・・・。 「・・・将臣くん。これって・・・」 「・・・柄じゃないが・・・、ま、今日はお前の ロマンチックとやらに便乗するさ・・・。オレのお姫様」 そして薬指にキスを・・・。 「・・・。こんなんで・・・”王子”だったか?」 「・・・うん。でもちょっと不器用な王子さまね」 「悪かったな(汗)」 「でも・・・。私のたった一人の王子様だよ」 今度は望美が将臣の首に手を回し キス・・・。 「・・・。随分大胆なお姫様だな」 「・・・嫌・・・?」 「大歓迎さ。オレだけの姫・・・」 パサ・・・ 二人はそのまま 花畑に倒れる・・・。 花の中で 何度も口付け会う・・・ 落ちた花冠は 花畑に落ちて・・・。 一人の姫と皇子。 異世界で共に生きていくことを選んだ・・・。 花冠が 二人を結ぶ・・・。 永遠の絆を・・・