声


お前の声。


この世で一番いとしい声。



私が子供のころに初めて聞いたあの悲惨な日から


どのくらいの時間がたったのだろう。




私はあまりにも長い時間。お前の運命を変えようと躍起になってきて。


時間の流れの感覚が狂ったのかもしれん・・・。




「リズ・・・。起きて。朝だよ。起きて」


小鳥のさえずりのようなかわいい声で・・・私は目をさます。




「今日はお寝坊さんだね。ふふ」



「ん・・・朝か・・・」



上半身裸身の私は目をこすりながら起き上がる。



「・・・ちょ。ちょっと・・・。服を早く着て」



「ん?なんだ・・・」



望美は頬を赤らめて私に服を渡す。



「あ、そ、そうか・・・すまない・・・」



恥ずかしがる望美が最近可愛い。



少女のようで少女でない・・・



私の心はもう望美に奪われているようだ。





朝食を済ませると・・・



二人でベランダの花々に水をやる・・・




黄色、赤、緑・・・



花びらが風に揺れる・・・





「もっと育って元気に咲いてね・・・」




ジョウロで水をやる望美・・・



長い髪が



サラリとなびいて・・・



私は見惚れてしまう・・・





「・・・綺麗・・・だな・・・」



「そうよね。お花って・・・」



「いや、そうではなくて・・・」



「え?」



「いやその・・・。な、なんでもない・・・」





望美の綺麗さは・・・



私らしくない言葉を



私にいとも簡単に言わせてしまう・・・






「ふぅ・・・。のんびりした時間・・・。いいね・・・」



「ああ・・・」




お前と一緒にこうして同じ風景を見ている今が




いまだに信じられない・・・




幻ではないかと・・・疑ってしまう・・・。





「望美・・・」





私は望美を背中から抱き寄せる・・・



「私の名を・・・。呼んでくれないか」



「・・・?どうしたの・・・?」




「頼む・・・」




望美の声で





私の名を呼んで欲しい。





ここが現実で私が居るべき場所と示してほしい・・・





「リズ・・・」




「ああ・・・」




「私の大好きな人・・・。リズ・・・」




「ああ・・・。ここにいる・・・私はここに居る・・・」






望美の声・・・



私にぬくもりをくれる声・・・





「・・・え・・・。ちょ・・・ちょっと・・・」




私は望美を自分の方に振り向かせ・・・



強引に唇を求めた・・・




「・・・ンッ・・・」






望美をもっと確かめたくて




生身で確かめたくて・・・




望美の唇を吸い上げる。




「ンッ・・・」



望美のもだえる声も・・・



あえぐ声も・・・



もっと聞きたい・・・


「・・・す・・・ストップ・・・り、リズ・・・」



「え、あ・・・。す、すまない・・・」



我に返った私は望美からすばやく離れた・・・





「す、すまない。すまない」




「い、いいの・・・あの・・・。な、中入ってなら・・・」



望美はもじもじ体をよじらせる・・・


嗚呼そんな愛らしい動きされたら・・・



「あ・・・あまり刺激的なことをいうな・・・」




だが、言葉とは裏腹に私は望美の体を抱き上げ、



ソファに寝かせている。



・・・一体私の中の何が私を突き動かしているのだろう。




「望美・・・」




「・・・リズ・・・」




悩ましい声が・・・



私の神経を刺激して・・・




私らしくないことをさせる・・・





「望美・・・」




望美の服を脱がせ・・・




「・・・んっ・・・」




痕をつける・・・






「・・・何だか・・・。今日は・・・大胆だね・・・」




「・・・お前の声が・・・。そうさせるのだ・・・」




望美が私の首に手を回す・・・



そしてそのまま・・・



私は望美といういとしい海に・・・顔をうずめていく・・・






「ん・・・!」





お前の喘ぐ声に





「ふぁ・・・!」




お前の悶える声に・・・





「・・・リズ・・・!」




お前が私を呼ぶ声に・・・






私はいつも




これからも




心奪われていく・・・





幸せのお前の声に・・・