永遠のシルバーリング ”永久の愛と絆を結ぶ” 銀が宝石店のCMを食い入るように見ている。 望美が学校へ言っている間・・・。 (シルバーの指輪か・・・) この世界の風習では。 教会という場所で男女が指輪を交換し合うことが 永遠の愛を誓う儀式だという。 (私と神子様の・・・) 思わず、自分の指を見つめてしまう銀。 望美と、繋がるものなら ことなら なんでもしたい・・・。 (神子様と私の・・・) ウィイイン! 「はっ」 掃除機が銀の妄想を打ち消す。 「いかんいかん!今日は神子様のお部屋と 玄関をそうじする日!空想ばかりしていてはいけない!」 と、いそいそと家事に戻る銀。 だが・・・。 銀の脳裏に ”永久の愛” が浮かんでは消えなかった。 (指輪・・・欲しいがとてもじゃないが 買える値段ではないし・・・) と、買い物帰りの銀。 路上でアクセサリーを売る店を発見。 (こ・・・これは”テレビ”とやらでやっていた もの良く似ている・・・!) シルバーリングがペアで2000円。 星マークがちりばめられている。 (お店のような宝石ではないが・・・ とにかくこれを買おう!) と、衝動買いしてしまった銀。 (あとは・・・どういう状況で渡すか・・・ 神子様が喜んでくださる状況・・・) 悶々。腕組みをしながら帰る・・・。 考えながら、肝心の夕食のお魚を買い忘れた銀でした(笑) そして、銀はある計画?をたてた。 (・・・神子様が喜ばれるかは・・・まさに神のみぞ知る・・・) 休日。 「神子様」 「ん?なあに?」 「あの・・・。その・・・よろしかったら 私と一緒に・・・行って欲しい場所があるのですが・・・」 「いいよ☆今日はいいお天気だし」 「ありがとうございます!」 これで銀の第一段階突破。 望美を誘い、つれてきた場所は・・・。 「ここって・・・」 「はいあの・・・」 カラン・・・ 鐘が鳴る。 教会の扉がひらき、新婚夫婦がレッドカーペットを歩いてきた。 ライスシャワーを浴び歓迎を受ける。 それを二人は少し離れて見守る。 「・・・いいね・・・。人が幸せになる瞬間って・・・。 見ている方も幸せな気持ちになる」 (・・・綺麗で・・・温かいお顔だ・・・) 望身の優しい横顔に見惚れる銀・・・ 「私も幸せです。神子さまの綺麗な横顔を 独り占めできて・・・」 「銀ったら・・・///」 なんだかとっても 優しいいい雰囲気。 銀はここだと思い、 「あの・・・神子様・・・。今日は神子様にお渡ししたいものが」 「え?」 といって、銀は教会の中庭に連れて行く。 中庭には花壇が パンジーがさきみだれていて・・・。 「わーきれいー!ねぇ、もしかして、 銀がみせたかったのってこれ?」 「いえ・・・あのそうではなく・・・」 花にみとれる望美に 肝心なことをいいだしづらくなった。 「今日は・・・教会は残念ながら貸切のようでしたので・・・」 「そうだね。結婚式か・・・。いいね」 「・・・。あのっ。神子様っ。 突然ですが、私と・・・」 銀、ここはストレートに言ってしまった。 「えっ??」 「あ、いや、あの。本番というわけではくて・・・。 じ、実は・・・これを買って・・・」 不器用にポケットからリングを出そうとして・・・ 「あ・・・っ」 ぽろっとリングふたつ、花壇の中に・・・。 「大変!銀、なにか大切なものだったんでしょ? 探さなくちゃ」 と望美は袖口をまくって 花壇の中を探し始めた。 「わ、私も探しますっ」 (私は何をしてるんだ・・・。あげる相手に 探させるなんて) 「ねぇそういえばどんなものなの?」 「え・・・。あの・・・。銀色の・・・小さな輪のような ものです・・・」 「そっか。指輪みたいなものね。わかったわ! 絶対に見つけるから」 望美の言葉に二の句がでない。 (嬉しいやら・・・なんといっていいのか・・・) 望美は頬にどろをつけながら探す。 (神子様・・・) 必死な望美の気持ちが ・・・愛しい。 「あ・・・。あった!!これじゃない?」 「ええ、それです!!」 シルバーリング二つ、パンジーの葉の根元に あった。 「よかったねー!!銀!」 「え、ええ。ああ、神子様それより・・・ じっとしててください」 銀はそっと自分のワイシャツの袖口で 望美の頬の泥をそっと優しく拭いた。 「・・・。はい。綺麗になりました。神子様」 「ありがとう。銀。なんか・・・照れくさいね/// それにどろんこになった姿見られちゃって・・・」 「神子様は・・・。どんなお姿になろうとも 素敵です。私が保証します。いえ、私だけが保証できるのです・・・」 と、そっと望美の頬をふれながら 愛しげな視線で呟く・・・。 「し・・・銀ったら」 「神子様・・・。この指輪は神子様のものなのです」 「え?」 「・・・。この世界では・・・。永遠の愛を誓い合うとき・・・。 指輪を交換し合うと聞いて・・・」 「銀・・・」 二人はしばし見つめ合う・・・。 「神子様・・・。受け取って・・・くださいます・・・ね?」 「・・・はい」 銀はリングをハンカチでふくと そっと・・・ 「・・・私、銀は・・・永遠に神子様を愛し守り抜くことを誓います・・・」 望美の薬指にはめた・・・ 優しいまなざしで望美を見つめる銀・・・。 (・・・なんだか・・・本当の結婚式みたい・・・) ドキドキ胸が高鳴る・・・。 今度は望美が・・・ 銀の薬指に・・・。 「・・・わ、私も・・・銀の側にずっといて・・・守り抜くことを誓います・・・」 はめる・・・。 「・・・神子様・・・。嬉しいです・・・」 「銀・・・」 「・・・指輪は高価なものじゃなく・・・申し訳ありません・・・。 ですが・・・。神子様を生涯、お守りし、愛することをお約束します・・・」 「銀・・・」 見つめあう・・・。 「・・・。あ、あのね・・・その・・・。 結婚式には・・・まだ続きがあるんだよ・・・///」 「え?」 (ああ・・・そういえば・・・) さっきの新郎新婦は指輪交換の後・・・ (口付けを・・・) 「・・・。神子様・・・。そのようなことを仰ると・・・。 神子様の唇に・・・触れたりますよ・・・?」 「・・・え、あ、あの・・・」 「・・・結婚式の続きをしましょう・・・。神子様・・・さ・・・」 望美は いわれるまま・・・ 静かに瞳を閉じた・・・。 「・・・神子様・・・。愛しています・・・。心から・・・ 心から・・・」 望美の頬に 手を触れて・・・ 「・・・貴方の全てを・・・愛しています・・・」 やわらかい 唇を 塞いだ・・・。 カラン・・・ キスの瞬間・・・ 二人の誓いを祝うかのように 教会の鐘が鳴った・・・。 鳴り止むまで二人は 口付けしあったのだった・・・。 幸せのキス・・・ パンジーの花が優しくゆれていた・・・。