ごほうび。 「神子様。いってらっしゃいませ」 銀は学校へ行く望美を玄関までお見送り・・・。 「・・・。う、うん。あの、は、はずかしいから 玄関まででいいよ。銀」 「はい。神子様がそうおっしゃるなら」 玄関で右足を突いて、望美を見送る・・・。 「あ、神子様、少しお待ちください」 「え?」 銀はすっと立ち上がり、望美の耳元に近寄る・・・ 「・・・。襟元に・・・屑が・・・」 (・・・!) 低く甘い銀の声・・・ 耳たぶがくすぐったくてあったかい・・・ 「ふふ。神子様・・・。どうしました?遅刻なさいますよ?」 (し、銀ったらまた私をからかって・・・) 「ふふ・・・」 真摯な態度とは裏腹な悪戯な笑み・・・。 望美は少し悔しいと思いつつも 銀のペースにはまっていく自分は嫌いじゃない。 「行ってきます。銀」 「はい。行ってらっしゃいませ」 ベランダから手を振る銀。 (・・・なんか・・・。出勤してくサラリーマンみたい。私・・・) ちょっと複雑な気分で登校して行く・・・。 「さて・・・と。私は部屋の掃除をしようか」 現代の生活にすっかり慣れた銀。 今ではそこら辺の主婦には負けない程に家事もこなしている。 真っ白なシーツをベットに手早くつける銀。 「・・・神子様が気持ちよく眠れるように・・・」 望美の寝顔を思い出す・・・。 「・・・」 望美の枕・・・ 微かに望美の香がする・・・。 (駄目だ・・・。寝かせてあげたくなくなるな・・・。神子様・・・) 枕に口付ける・・・ 今朝・・・望美の頬にしたように・・・。 「神子様。寝床は完璧です。早く・・・。かえって来て下さいませ」 くすっと笑い、望美の帰りを待つ。 早く笑顔みたい。 早く抱きしめたい。 (貴方のいない時間は・・・戦より辛いです・・・) 夕暮れに想いを馳せる銀。 「ただいまー・・・!」 シーン。 誰も出てこない。 「あれ?銀ー?」 望美が靴を脱いで玄関に上がると・・・。 グイッと手をつかまれ、寝室に引っ張り込まれた。 「きゃっ」 突然大きな腕に抱きしめられる・・・。 「し、銀・・・?」 「神子様・・・」 (な、何・・・。なんて寂しそうな目で・・・) 「貴方が居ない時間・・・耐え難いものですね・・・」 「し、銀、あ、あの・・・」 願いを乞うような切ない目で見つめられて 動けない・・・。 「・・・。ご褒美・・・。くださいませ・・・」 (あ・・・) 「ンっ・・・」 言葉を発する時間さえなく・・・唇が塞がれた・・・。 それは 望美の熱を全て奪うかのように激しく・・・。 全身の力が吸い上げられる感覚で・・・。 「ふぅはぁー・・・」 銀が唇を離した瞬間、望美はよろめいた。 「・・・はっ。み、神子様・・・!?御気を確かに・・・!」 抱きとめる銀・・・。 「んもう・・・。こんなご褒美・・・。体がもたないよ・・・」 「・・・。すみません。貴方の匂いと感触が欲しくて・・・」 「///。そ、そういう発言が・・・」 計画的なのかそれとも天然なのか・・・。 分からないけれど アンバランスな激しさに惹かれずにはいられない・・・。 「・・・ふふ。神子様。そろそろ夕食にしましょうね」 「うん・・・」 お姫様だっこされたままキッチンへ連れいく銀。 「・・・。神子様」 「なに?」 味噌汁をよそいながら銀は呟く。 「・・・。食後の運動は寝室で・・・ということでよろしいですね?」 「なッ///」 さわやかな微笑の裏の顔。 それは忠実なそして悪戯な従者な青年。 「では・・・いただきます」 「・・・い、いただきます・・・///」 銀流、主従愛はこれからも続くのでありました・・・。