はんぶんこ 「・・・望美様。いいお天気ですねぇ」 「そうねぇ」 布団たたきでバンバンと布団を叩く銀。 (ふふ。銀のいいショットめーっけ♪) パシャリ! フラッシュに驚く銀。 「な・・・なんですか?今のは・・・」 「うふふ。銀のお布団干す姿激写しちゃったーv」 望美はデジカメを嬉しそうに銀に見せる。 「これでお相子ね。私も銀の写真集つくっちゃおう」 「つ、作るって・・・。は、恥ずかしいです・・・」 パシャリ。 さらにシャッターを押す。 「えへへ。恥ずかしがる銀も激写♪」 「もう。神子様っったら・・・」 「うふふふ・・・」 撮ることはよくても撮られる気分は・・・。 (でも・・・神子様がお喜びになるなら) デジカメを電信柱の雀に向けて嬉しそうな望美。 好きな人の笑顔が銀のエネルギー源。 だがふと気がついたことがある。 (そういえば・・・。私は神子様の瞳にはどんな男に映っているのだろうか) レンズを通して・・・ 望美はどんなことを感じているのか。 (・・・。いい従者にならなければ!) 気が引き締まる銀・・・。 いい男に見られたい。 それから銀はいつにも増して望美に尽くすようになる。 「神子様!おかえりなさいませ!今日はお風呂に致しますか? それともお食事に?」 「神子様、いってらっしゃいませ!お掃除頑張ってしておきますね!!」 (神子様にがっかりして欲しくない) 銀にとって望美の笑顔が全て 望美の笑顔が消えるとき、自分の魂も消える。 (ずっと笑っていて欲しい・・・私だけに笑顔を・・・) だが銀の想いはレンズからは望美に伝わっている。 「銀・・・」 「はい?何です?神子様申し訳有りませんが只今、清掃中にて・・・」 割烹着姿の銀。 ハタキでカーテンをぱたぱたをはたく銀。 「銀。無理しないで」 「え・・・?」 「何だか銀・・・。最近無理してる・・・。私のために 頑張ってくれるのは嬉しいけど無理だけはしないで」 「無理なんて・・・。ただ、私自身が勝手にやりたいだけなのです。 神子様に余計な気を使わせてしまったみたいですね・・・」 銀は三角巾と割烹着をそっと脱いだ。 「気なんて使ってないわ。銀、私は・・・」 「神子様。なんなりと私に無理難題を言ってくださいませ。 私はそれに応えることが楽しくて仕方ないのです」 「・・・銀・・・」 (駄目だわ。私の言いたいことが伝わらない) 無理難題を言っているのは銀の方・・・と言いかけたが望美は言葉を飲み込んだ。 「・・・わかったわ。じゃあ明日から家事一切は私も半分こしましょう」 「え!?で、でも・・・」 「私の言うこと聞くって言ったでしょう?私は銀が無理をすることが辛いの。 だから、何でもこれから”はんぶんこ”よ」 「・・・神子様・・・」 望美の思いやりが伝わってくる。 銀の気持ちを傷つけずに包み込んでくれる・・・。 (お優しすぎます。神子様・・・。でもそんな神子様が 私は・・・私は・・・) 愛しい。 従者ではなく”ただの男”の銀が顔を出す。 「・・・。わかりました。神子様・・・。ではこれからは ”はんぶんこ”にしましょう」 「うん!そのほうが私も嬉しい!ってことで、この話は終わりね。 私、シャワー浴びてくる」 「お待ちください」 (え。) ひょいっと望美をお姫様抱っこ。 「あ、あの・・・。銀?」 「全て”はんぶんこ”なのですよね・・・?ならば お風呂のはんぶんこしましょう」 「え、いや、お風呂はちょっと・・・///」 「光熱費も浮きますっ・・・て・・・。本当は 私が望美の裸を見たいだけなんだけどね」 (神子様じゃなくて呼び捨て(汗) い、いきなりキャラが変わってるよ。銀・・・///) 「服を脱がすのもはんぶこ・・・ですよね?」 「う、うん・・・」 「体を洗うのも半ぶんこ・・・ですよね?神子様・・・」 「うん・・・///」 にこっと銀は”忠実なる従者”の微笑み・・・ けれど望美には (”確信犯で天然な従者”に見えるわ・・・///) パタン・・・。 バスルームの扉が閉まる。 「ハイ。神子様、バンザイしてください。上着を脱ぎましょうね」 「だ、だから自分で脱ぐって」 「ハイハイ。いいからバンザイして・・・」 今日も変わらず、望美の愛しき従者・銀は 主のために尽くす日々なのだ・・・。