夜は恋人でいて 「・・・はい。神子様。タオルです」 いつものごとく、望美が顔を洗っているとすぐ タオルをもって立っている。 「はい。神子様。口元が汚れてます。ふふ」 ご飯粒をぱくっと食べる銀。 (・・・な、なんか私・・・。子育てされてるみたいじゃない!) 主従関係もいいけれどこれではだたの親子になってしまう。 そう思った望美は。 「いい?銀。今日一日、私に何にもしなくていいから! 私が銀のお世話します」 「え?そ、そんな・・・!私は・・・」 「いーから!今日は一日休んでて!これも 主人からの命令よ!」 「う・・・」 これは一本取られたと、銀は観念? それから望美は家事を色々とこなし始めた。 「お洗濯お洗濯☆」 パンパン。 ベランダに洗濯物を干す。 (ふふ・・・。なんだか気分は新妻ってかんじ・・・) 「ああそんなに叩いては生地が傷みます」 「え?」 銀、いつのまにやらベランダに出てきて望美が干した洗濯物を 干しなおしている。 「それから、洗濯するときは水は少なめに」 「銀!休んでてって言ったのに・・・」 「で、でも・・・」 「”ご主人さま命令”よ!さ、座ってて!!」 ガラガラ 銀をベランダから追い出して望美は洗濯物を続行。 (ああ・・・。あんな干し方では・・・) 硝子越しに覗き込む。 銀の体はうずうずしてくる。 望美のために何かすることが生きがいなのに・・ (何もしないでいるなんて・・・。嗚呼動きたい。 神子様のために何かしたい!) だがご主人様命令が、今日は一日何もしないということ。 (神子様・・・。嗚呼神子様) 望美に尽くしたいのに 出来ない。 もどかしくて銀はいてもたってもいられない。 お風呂を掃除している望美。 「ああ。そんなにごしごし洗っては傷がつきます」 「銀!ご主人様命令よ!ソファで1時間じっとしてなさい!」 「は、はい・・・!」 と、やっぱり風呂場から追い出される始末・・・。 ”ご主人様命令” 逆手に取られてしまった。 (どうしようか・・・。このままでは私の仕事がなくなってしまう) と。 (やっぱり駄目だ・・・。私の役目は・・・!) すぐに望美の側に走った。 「望美様。すぐにその掃除はやめてくださいませ」 「え?何言って・・・」 「お願いです・・・。神子様に働かせているようで・・・」 すがるように銀は懇願・・・。 「そ、そんな顔・・・卑怯じゃない・・・」 「神子様・・・」 「私は・・・。ご主人様じゃないわ・・・。銀の・・・銀の 恋人でいたいの・・・。銀に寄り添える・・・」 (こ・・・恋人・・・) 望美の口から初めて聞いた・・・ (嗚呼。神子様・・・!) 「銀は・・・嫌・・・?」 「い、嫌だなんて・・・!」 「・・・私はご主人様じゃなくて恋人になりたいの・・・。 恋人に・・・」 (恋人になりたい・・・それも・・・) 「それも・・・”ご命令”・・・ですか?」 「・・・馬鹿・・・///」 望美は少し照れくさそうに俯く。 「いえ・・・ご命令でなくても・・・。神子様・・・ いえ、望美は私の恋人です・・・」 そっと望美を抱き上げる・・・ 「では・・・。”恋人”になりに・・・行きましょうか」 「///」 ”このとき”は主従関係なんてなくなる・・・ パサ・・・ ベットに望美を寝かせる・・・ 「望美・・・様」 「様・・・はいらないでしょ・・・」 「そうですね・・・。望美・・・。私は・・・貴方の恋人です・・・。 誰にもその役は譲りません・・・」 「うん・・・」 望美のブラウスのボタンを・・・ ひとつひとつ外していく・・・ 膨らみが見えてきて・・・ 「・・・私は貴方に尽くしたい・・・」 「・・・じゃあ私は銀よりもっと・・・。 尽くしてあげる・・・」 二人はくすっと笑いあう。 互いに互いを尽くしたい 「・・・でも・・・この時間だけは・・・。私の愛を 受け取ってくださいね・・・望美・・・。私の・・・愛を・・・」 「・・・っ」 銀の愛は・・・手の平が・・・望美の膨らみに触れる・・・ 「貴方は・・・主人ではない・・・。私の・・・全て・・・。私の・・・命・・・」 「しろ・・・がね・・・っ」 白い肌に口付ければ 口付け手も 伝えきれない 激しい想い・・・ 「銀・・・ッ」 愛しい人に体全部に 伝える・・・ ギシ・・・ッ ギシ・・・ッ 「望美・・・っ!私の・・・ッ!!」 互いの身にまとうものさえなく ただ只管に求め合う・・・ そこにはもう 主従などない 一人の男と 一人の女 「・・・私の・・・ッ望美・・・ッ」 軋むベットの上・・・ 望美の肌に顔をうずめて のめり込む 体も心も一つになりたくて 愛しい名を何度も呼ぶ・・・ 「望美・・・ッ!!」 昼も夜も 二人はその日何度も愛し合った 主従という関係など 超えて・・・