聖夜にダンスを貴方と ・・・。 雪をみると思い出す・・・。 平泉の・・・切ない雪を。 (でも今は・・・。冷たい雪も温かだ・・・。 そばにぬくもりをくれる人がいるから・・・) 嬉しそうに窓の外を眺める望美・・・。 傍らにこうして望美がいるだけで幸せを感じる・・・。 「わー。今日はホワイトイブになりそうね。ふふ」 「イブ・・・。神子様の世界には不思議な習慣があるのですね。 イブには大切な人と過ごし、大切な人へ贈り物をするという・・・」 「そうよ。だから、人は経った一日をこんなに愛しむ のよ」 優しい瞳の望美・・・。 「ね、銀ダンスパーティいかない?」 「え?」 そう言って望美は銀にタキシードを着せそして・・・。 望美は白い無地のドレスを・・・ 「どう・・・?似合う?」 「・・・」 「や、やだな。似合ってない?」 「い、いえ・・・。そのあまりにお綺麗だったので・・・。 言葉が見つかりません・・・」 「・・・し、銀・・・///」 「雪よりも綺麗です・・・。神子様・・・」 「銀も素敵だよ・・・」 「神子様・・・」 頬を染めて銀が呟く・・・。 今日は聖夜。 愛しいものへの言葉は皆・・・ どこか優しく・・・。 「じゃあいこうか」 望美は銀を連れ、友人からもらったパーティ券を持って 会場へ行った。 だが入り口で男女別々に中に招かれ、妙な番号札を持たされて・・・。 (・・・こ、これってもしや・・・) そう・・・。 ダンスパーティはダンスパーティでも。 合コンダンスパーティ。 気に入った誰かを見つけたらその相手とカップル誕生という・・・。 望美と銀は別々のグループに分けられ、 相手を見つけるトークタイムも別々のテーブルに座らせられて・・・。 (み・・・。神子様) 向こうのテーブルで男3人に囲まれる望美。 (・・・神子様に近づくな・・・!!私の神子様に・・・) ギリ・・・ッ!! 銀の手のコップにひびが入るほどに怒りが・・・。 「ねぇあの貴方・・・」 「え?あ、わ、私ですか?」 銀に一人の女が声をかけてきた。 「もしよろしかったら・・・。私とお話しませんか」 「いえ。私が親しくしていいのは神子様だけですから」 「み、神子様?」 「はい、そうです。他の女性など興味は有りません。 私の心には神子様だけです。神子様のものなのです。私は」 「・・・(汗)」 銀の鉄壁に女はしらけてどこかへ行ってしまった。 (・・・嗚呼神子様・・・。そんなに他の男に笑顔をみせないで・・・。 他の男に微笑まないで・・・。触れさせないで・・・) 今すぐ望美のそばへいって近寄る男を蹴散らしたい 葬りたい 望美が他の男に笑いかけるたび 恐ろしいまでの憎しみに支配される・・・。 (神子様。どうか私だけを見て。神子様貴方に 振り向いてもらえないなら私は・・・) 独占欲 どうしようもない独占欲が渦巻いて・・・。 (・・・でも・・・。騒ぎをおこせば神子様が困られるだけだ・・・。 私の幼稚な嫉妬で・・・) ぐっと感情を押さえ・・・。銀は望美を遠くから見守る・・・。 「さーて!いよいよパーティも佳境です!ここで お気に入りの女性へダンスパートーなーを申し込めます。 さぁ男性の方々、貴方の姫が待っています!」 司会者の言葉に順番に男達が ステージに並んだ女性達にバラの花をもって気に入った 女性に差し出していく・・・。 「おおっと。これはすごい!白いドレスの女性に 8人の男性からの申し込みだぁ!」 望美の前に8人の男と、8本のバラが・・・ (神子様・・・ッ!!誰も選ばないで・・・!!) 「さぁあ!!誰が幸運の女神に微笑むか!?」 (嫌だ!!神子様ッ・・・!) 堪り兼ねた銀 バラも持たずにステージへ走りかけようとしたとき・・・。 「・・・ごめんなさい。私の相手はもう決まっています」 会場がざわめく。 「・・・私の相手は・・・。一人だけ・・・」 望美は銀の姿を探す・・・。 「銀・・・!!」 バラを捨て去り、ステージから降り、銀の元へ走った。 「銀・・・」 「神子様・・・」 「・・・あの・・・。わ、私と・・・踊ってください」 望美はすっと手を銀に差し出す・・・。 「・・・神子様・・・。喜んでお受けします。いや・・・ 受けさせてください・・・。私の神子様・・・」 望美の手をぎゅっと握って・・・ 静かに抱きしめる・・・。 「・・・銀・・・」 ホールの真ん中でワルツを踊り始める二人に・・・。 スポットが当てる・・・。 周囲は二人の美しいダンスに見惚れ 静に見守って・・・。 「銀・・・」 「・・・神子様」 今は互いだけしか見えない・・・。 たった一人の相手・・・。 二人で踊るワルツは 二人の心の絆のように美しくしとやかな旋律・・・。 ダンスが終わると一斉に拍手が・・・ 二人に絶えぬ喝采が贈られたのだった・・・。 パーティも終わり・・・。 雪が少し止む帰り道を歩く・・・。 「・・・風邪引きます。神子様・・・」 パサ・・・。 上着を望美に着せる銀 「ありがとう・・・///銀、ダンス上手だったね。凄い・・・」 「いえ・・・私は神子様にあわせただけです・・・。 神子様と私のならどんな舞踊もこなせます。・・・息がぴったり合うから・・・かな? ベットの中のように・・・」 「・・・銀・・・///」 気のせいだろうか・・・。 ダンスを踊ってから銀が少したくましく見える・・・。 「・・・ごめんね。まさか合コン交じりのパーティだったなんて知らなくて」 「いえ・・・。でも正直神子様が他の男と話しておられるときは・・・ 嫉妬であの場で暴れそうになりました」 「・・・し、銀(汗)」 「・・・幼稚な嫉妬です。でも・・・。神子様に触れていいのは 私だけ・・・。他の男が触れるなんてたとえ神とて許せません・・・」 優しい瞳の奥の熱い男の顔・・・。 望美は銀の独占欲を肌で感じて 心が震えた・・・。 「・・・私だって。銀が他の女の人と話すのも嫌・・・。 触れるのも許せない・・・」 「神子様・・・」 優しい夜なのに 互いの体が熱くなる。 互いの温もりがほしくなる。 望美を強く抱きしめる・・・ そして囁く熱い言葉・・・。 「嗚呼・・・神子様・・・。早く帰りましょう・・・。 早く・・・貴方を感じたい・・。貴方の体に触れたい 味わいたい貴方を・・・。抱きたいんだ・・・」 「・・・うん・・・」 二人のワルツはまだ続いている 白いシーツを舞台にして・・・ 「白いドレスも綺麗だけど・・・。貴方の素肌の方が もっと綺麗だ・・・」 ベットの上で・・・ 望美のドレスのファスナーを静かに外す・・・。 「・・・他の男が触った所はどこ・・・? 私の口付けで・・・消毒しなくちゃ・・・」 ドレスを完全に脱がしそのまま ベットへ押し倒す・・・ 「し、銀・・・っ、ちょ、ちょっと待・・・」 「待てない・・・」 ギシ・・・ッ。 押さえつけられた肩・・・ 銀の切ない瞳が望美を見下ろす・・・ 「今日は・・・好きな人へ贈り物をする日・・・なら・・・ ねだっても・・・いい・・・?」 「え・・・?」 「私は貴方が欲しい・・・。貴方を・・・下さい・・・」 「銀・・・」 今日一日 わがままを言ってもいいなら・・・ 今まで心の奥に閉まっていた言葉を伝えよう 「・・・いいよ・・・。私こそ・・・。心も体もあげる・・・。 銀に全部・・・」 銀に首に回される細い手・・・。 「・・・ッ。神子・・・ッ。私の・・・ッ私だけの神子・・・ッ」 「・・・銀・・・ッ」 激しく求め合う 肌と肌・・・。 一つに体が繋がり合う時も 心の想いが口から溢れる・・・ 「・・・私を愛して・・・ッ私だけを見て・・・ッ神子・・・ッ神子・・・ッ」 「しろ・・・がね・・・っ」 軋むベットの音にあわせて・・・ 愛を叫ぶ 「・・・神子・・・ッ神子・・・ッ!」 聖夜・・・ 白い雪が待う夜 静かさが漂っても この想いだけは・・・ 醒めぬまま・・・ 「・・・死ぬほど・・・ッ愛してる・・・ッ」 荒い息と共に・・・ 絶えぬ愛の言葉・・・ どんな贈り物より・・・ 二人が欲しかった贈り物はそれだった 雪が止んでも 二人の熱い聖夜はまだまだ続く・・・。