ケダモノの悪戯
縛っておきたい。
アイツの全部を知るまで
知り尽くすまで
・・・ずっと・・・な・・・。
※
ウィーン・・・。
望美が掃除機で部屋の掃除をしている。
ソファでごろ寝している知盛。
「・・・望美・・・。お前・・・。朝っぱらから俺に抱いて欲しいのか?」
「!???」
ドサン!
望美を背後から両手で抱きしめる知盛・・・。
「ちょ・・・、ちょっと・・・!」
「・・・お前の後姿・・・。俺を誘ってるとしか思えねぇんだがな・・・」
長い髪を前に垂らし、首筋にいきなり吸い付く・・・。
「・・・っ。や、やめてよッ」
「・・・旨いぜ・・・?お前の肌は・・・。熟した果実みてぇで・・・」
言葉どおりに
望美の肌に吸い付いて痕をつける。
「・・・ッ。も、もう!!」
「・・・。フフ」
「な、何笑ってるの!」
悪戯に微笑み、知盛はぺろっと下を舐めた。
「・・・。感じてる癖に・・・」
(・・・なっ・・・)
ケダモノの悪戯。
狙ったエモノを可愛がる。
所構わず
時間を選ばず・・・。
夜。
望美が風呂に入っていると・・・。
(・・・えっ)
突然電気が消えた。
真っ暗。
「ど、どうしよう、か、懐中電灯は・・・」
望美はとりあえず、バスタオルを暗闇の中で探し当て
体に巻いて風呂場を出た。
「知盛。いるの?あのライト持ってきて・・・」
だが返答がない。
(・・・。また知盛の仕業ね。ったく・・・)
きっと暗闇に身を潜めて慌てる自分を見ているに違いない。
「貴方の悪戯には負けないんだから」
望美は薄明かりを頼りにキッチンにある懐中電灯を取りにいく。
(知盛が出てきたら・・・かわさないと)
周囲に神経を配らせる。
「・・・あった」
戸棚の懐中電灯を探し当ててほっとする望美。
だが、ケダモノは一瞬の隙も見逃さない。
「・・・暗闇で淫らな神子殿」
「・・・わッ!!」
スッと背後に気配を感じたときにはもう遅い。
「知盛・・・!」
抱き上げられ、身動きはもう取れず・・・。
「ふっ。こりゃあ。いい具合に茹で上がったな・・・。
食べ頃だ・・・」
チュッ
「・・・ひっ」
耳たぶに口付け。
「・・・味見終了。さてと・・・」
腹をすかせたケダモノは容赦がない。
そのまま寝床に
エモノを持ち帰る。
「わ、私は食料じゃないわよ。もう・・・」
「・・・俺にとっちゃぁ・・・。同じことだ・・・。
腹がすいて腹がすいて・・・。早く食っちまいたい・・・」
舌なめずり。
その熱い唇に酔っているのはケダモノだけではない。
エモノ自体もまた・・・。
(逆らえない・・・)
観念したように力を抜く望美。
「それでいい・・・フ」
知盛は待っていたかのように望美に口付けをしようと
顔を近づける・・・。
「・・・あの・・・。ちょ、ちょっと待って。まだ
体も濡れてるし・・・」
「・・・あぁ・・・?そんなもん・・・。俺がまとめて舐めてやる・・・
体の隅々まで・・・な・・・」
「・・・ンッ」
ケダモノの心に火がついた。
愛しいエモノを味わえる悦びに
酔いしれる。
ベットに倒れこむ知盛・・・。
「・・・知・・・盛・・・ッ」
両手を回した広い背中・・・
汗ばんで熱い・・・。
激しく求め合う肌
互いを想いを味わい合う・・・
”愛している”
ケダモノの言葉を
何度も聞く
乱れ、落ちるシーツのように
求め合う二人もまた・・・
快楽の世界に落ちていく・・・
心に刻み込む、熱い熱い夜だった・・・。