彼女の部屋U
〜残り香〜 先輩の部屋に俺は泊まってしまった・・・。 なんてことだ・・・。 オレって奴は・・・。オレって奴は・・・! ・・・と後悔している横で・・・ Tシャツ一枚の先輩が眠っている。 ・・・可愛い寝顔。 この寝顔が・・・。昨晩は俺の腕の中であんなに・・・ ”譲君・・・っ” あんなに乱れて・・・ オレに身を預けて・・・ (・・・俺だけが知る先輩・・・) そう思うと・・・言いがたいほどの幸せと独占欲が 俺を支配する・・・。 「・・・先輩・・・」 流れる川のような柔らかな髪をそっと掬う・・・。 「・・・あ・・・」 先輩が目を覚ました・・・。 「お、おはようございます・・・(照)」 だ、駄目だな・・・。照れくさくて視線が合わせられない・・・。 俺は照れ隠しに枕元に置いてあっためがねをかけた。 「・・・お、おはよ・・・///」 先輩はシーツを鼻の頭までかぶって照れくさそうに ちらっとオレに視線を送る・・・。 「・・・は、はずかしいな・・・」 っ・・・!! せ、先輩・・・。う、上目遣いでなんて可愛い台詞を・・・。 お、オレの心をその限界を知らない可愛らしさで溶かすつもりですか・・・/// 「・・・あ、わ、私・・・。シャワーあびてくるねッ」 先輩はやっぱり照れくさそうに タオルを一本抱えて風呂場へ・・・。 その抱え方が・・・。ぎゅっと両手で胸の前に抱えて・・・ (・・・くそ・・・。タオルの持ち方さえ可愛く見える・・・重傷だな///) ベットで一人・・・。 俺は先輩の残り香に夢心地・・・。 シーツからは先輩の香りが 俺を鼻を魅惑的にくすぐって・・・。 昨晩・・・。 ここで俺と先輩は・・・ 「・・・先輩・・・」 先輩が使ったこのシーツさえ愛しい・・・。 シーツに頬を俺は当てて・・・。 「きゃああーー!!」 「!?」 風呂場から先輩の叫び声が・・・! 「先輩!!」 俺は風呂場へすぐさま走った。 「先輩、何があっ・・・」 風呂場のドアをあけると浴槽のふちに座って震えている先輩・・・。 「・・・譲君ッ、あ、あそこ・・・」 「え?」 排水溝を指差す先輩・・・。 「い、いるでしょ・・・?」 「いるって・・・。何が?」 「だ、だから・・・。く、黒い奴・・・」 「黒い・・・」 ゴキブリか・・・? 排水溝に確かに黒い物体が見えるが・・・。 「な、なんとかして・・・っ」 「あ、はい。わかりました」 俺は排水溝の黒い物体を手で掴んだ。 「はい。もういいですよ」 「ほ、ほんと・・・?も、もういない・・・?」 「はい」 先輩は恐る恐るおれの方に振り向いて・・・ 「譲くんッ!!!」 (わっ) 先輩が俺に抱きついた・・・。 「ご、ゴキブリ苦手なの・・・」 「・・・フフ。ふふふ」 「え?何笑ってるの?」 「・・・これがゴキブリですか?」 俺は先輩に手の中の物体を見せた。 ・・・それは抜けた黒髪の束。 「なっ・・・。譲君は、早く言ってよーー!!」 「ふふふ。可愛い勘違いですね」 「もうー・・・」 湯気の漂う風呂場で 俺と先輩は笑いあう。 だが・・・。 俺はそれどころじゃない。 濡れた・・・裸身を抱きしめているのだから・・・。 俺の胸元にはふくよかな柔らかさが・・・ ・・・嗚呼もうなんか頭がクラクラして・・・ 「はっ。わ、私ったら・・・!!」 先輩ははっと気がついて両手で前を隠して俺に背を向けた。 「・・・す、すみません。先輩っ。すぐ出ますッ」 くいっ え・・・? 振り返ると俺のTシャツを・・・引っ張る先輩・・・ 「・・・濡れ・・・ちゃってるね・・・」 「あ、だ、大丈夫です」 「・・・このまま・・・浴び・・・てく・・・?///」 ・・・っ/// 先輩・・・。そ、そんなに可愛くお誘いを受けたら・・・ オレが断れるとお思いですか・・・? 「・・・。い、いいんですか・・・?」 「・・・うん///」 な、なんか気のせいか・・・最近先輩が大胆になった気がする。 ・・・嬉しいけど(笑) 「・・・じゃあこのまま浴びます・・・。先輩と一緒に・・・」 俺は再び先輩を抱きしめた・・・ 濡れた首筋にしずくがスー・・・と流れて・・・。 そのしずくが・・・ ”取って・・・” と誘っているように見えて・・・。 「・・・。ちょっと・・・。朝食遅くなりますけど・・・いいですか・・・?」 「・・・。うん・・・」 ・・・嗚呼・・・。また熱くなりそうだ・・・。 風呂場の熱のせいではなく・・・。 先輩の香りで・・・。 先輩・・・。 「・・・先輩の何処もかしこも・・・愛してます・・・」 立ち込める湯気すら 愛しい。 そして俺は・・・ 再び先輩の香りを自分の体に沁み込ませる・・・ 心ごと・・・ な・・・。