エレベーターにて
突然の事故は
誰にでも起こりうるものだ。
・・・ちょっとパニックにもなったけれど
俺にとっては幸せな・・・っていったら怒られるかもしれないけれど
事故だった。
・・・刺激とスリルがありすぎたけれど・・・///
デートの帰り。
オレは先輩に誘われて・・・
「・・・帰り・・・。私の部屋に寄っていって」
「・・・はい」
その誘いが何の誘いか・・・
言うまでもなく・・・。
オレの体は既に・・・”その状態”にはいっており・・・。
「あ・・・エレベーターきた・・・」
エレベーターに乗り、先輩の部屋の階を押す・・・。
静かに扉が閉まり・・・
ウィーン・・・
(・・・緊張する・・・)
狭いエレベーター。
嫌がおうにも
ここには二人きりと
意識させる・・・。
(先輩・・・)
先輩に視線を送る・・・
少し頬を染めて
俯いてる・・・。
・・・嗚呼。先輩も・・・
緊張してるんだな・・・
伝わってくることにオレは
嬉しくて・・・。
(先輩・・・)
早く先輩の部屋に行きたい。
二人きりになりたい
溢れてくる想いを伝えたい・・・。
ガタンッ!!
「わッ!!」
「きゃっ」
突然、エレベーターが激しく揺れ、電気が消えて
エレベーターの中は暗闇に・・・
「先輩!大丈夫ですか!??」
倒れた先輩をオレは薄暗い暗闇で
探す。
(くそ!なにか明かりはないのか!)
「大丈夫よ。ちょっと転んだだけ」
「怪我は!?」
「大丈夫だってば」
暗闇。
声だけが頼り・・・。
「急いで緊急連絡の電話します!」
ボタンの上にあった緊急時のインターホンのボタンを何度も押す。
「あの!!誰かいませんか!!」
だが電気が全て駄目なのか誰も応答しない。
「くそ・・・。開くのを待つしかないのか・・・」
「大丈夫よ。譲君。助けに来てくれるのを待ちましょうよ」
先輩は笑顔で座った。
「でも・・・」
「ふふ。こういうときこそ慌てちゃいけない。源平合戦で
私達はそれを学んだじゃない。ふふ」
「・・・。全く・・・。さすが先輩・・・」
この懐の大きさ。
物怖じしない強さ。
・・・彼女の全てにオレは惹かれてる・・・。
「譲君もこっち座って」
「あ、はい」
座ってといわれても暗闇。
先輩の声を辿って横に座る。
「・・・携帯はつながない・・・か」
オレの携帯も先輩の携帯も圏外になって繋がらない。
「やっぱり待つしかないみたいですね」
「そうね。待ちましょ。いつかは助かるから」
「・・・はい」
そうだ。
これも先輩とのつむぐ時間の一瞬。
そう思えば突然のトラブルも大切な時間にさえ思える。
「・・・携帯の灯りだけが頼りね」
その先輩の携帯の待ちつけは・・・
・・・オレの写真(照)
「・・・私ね。暗闇って嫌いじゃないわ」
「え?」
「だって・・・。なんでもない灯りが
とても大切な灯りに感じられるでしょ・・・?昼間じゃわからないことが
分かるっていうか・・・」
「ふふ。先輩はロマンチストですよね」
「譲君には負けるけどね」
そうかも。
なんせオレは十年以上前から
このたった一人の人に夢中だから。
二人。
肩を寄せ合って
携帯の灯りを見つめる・・・。
”暗闇もきらいじゃないわ”
先輩の意見が
本当にそうだと思える。
先輩とこうしていられるなら暗闇もオレにとって
大切な・・・。
ガタンッ!!
「きゃっ」
再びエレベーターが
激しく揺れた。
バランスを崩してオレと先輩は倒れこんだ。
「先輩・・・!大丈夫ですか・・・!?」
「うん・・・それより譲君は・・・」
・・・はっとその倒れた体勢に気がつく・・・。
・・・俺が押し倒したような感じで・・・///
「・・・」
「・・・」
完全にオレの体は先輩の体の上に圧し掛かり
身動きを封じている。
先輩のスカートが少し捲れて
腿が見えて・・・。
動揺するオレの心臓。
・・・嗚呼やっぱりムッツリか。オレは(汗)
「・・・す、すいませんッ」
「・・・ふふ。ふふふふ・・・!」
「な、なんで笑うんですか!?」
「だって・・・。譲君ったら動揺してるの丸分かりなんだもの」
・・・お、男のプライドがちょっとチクリ。
先輩。
この状況でこの体勢・・・。
男の本能刺激しまくりなんですけど・・・!
「・・・じゃあ・・・。先輩に・・・。オレの動揺を
映しましょうか・・・」
「えっ」
オレは・・・
じり・・・っと先輩を
エレベーターの角の隅に四つんばいになって追いやる・・・
「ちょ、ちょちょちょっと・・・!」
「・・・先輩・・・」
カタン。
先輩を完全に隅に追いつめて・・・
両手を角の壁につけて・・・。
「・・・先輩・・・」
吐息を吐くように
オレは呟く・・・。
「・・・あ、あの・・・。か、カメラが・・・」
先輩は防犯カメラをチラっと見た。
その仕草が可愛い・・・
「・・・大丈夫です。ここは死角ですから・・・」
たまには・・・
オレも攻めてみたい
静かに唇を近づける・・・
ガタン!
「・・・!!」
パッと電気がついた。
俺は驚いてぱっと離れる。
「あ、つ、つきましたね・・・」
電気もついてオレも・・・。我に返ったようだ(汗)
ウィーン・・・。
無事、エレベーターも動き出して・・・。
「よかった」
「はい」
数分の暗闇。
オレにとっては凄く刺激的で幸運な数分でもあった。
「・・・どしてそんな残念そうなかおしてるの?」
「えっ(汗)」
お、オレの心見透かしてるのか!?
「ふふ・・・。さっきの積極的な譲君。もっとみたいな・・・。
私の部屋・・・で・・・」
「・・・はい・・・///」
暗闇がもたらした
幸運。
それはこれから始まる・・・。
・・・先輩の香りが漂う
部屋で・・・な・・・。
ほとりさんから素敵イラストを頂き、挿絵として
UPさせていただきました!!
素敵すぎです。ヘタレ小説に花がぱぁっとさいたようで
彩りが出て嬉しいです!!
ほとりさん、本当にありがとうございました☆☆