ドキドキ大掃除 年末だ。 朝から譲は望美のマンションへ大掃除の手伝いに来ている。 「さーてと。どこから始めましょうかね」 望美は腕まくりをして意気揚々。 「ふふ。先輩。オレもお手伝いしまよ」 エプロンをつけて譲もはりきる。 最初はリビング。 「ソファをづらして・・・。ワックスかけましょう」 「そうね!ソファをずらしましょう!」 望美はひょいっとソファの片側を持ち上げようとした。 だが重たくて上がらない 「一人でもつなんてまったく。左側持ちますから一緒に ずらしましょう」 「うん」 二人はせーの!で持ち上げて壁際にソファをづらした。 そして床を四つんばいになってワックスをかける。 「・・・やっぱり雑巾がけはこれよね!」 「ふふ。先輩・・・小学校のとき、雑巾がけに命かけてましたよね」 「うん。だってなんか一位になりたいって思うじゃない! 譲君、競争だよ?」 二人はフローリングの隅からいっせいに吹き始める スタートは同時だったが・・・。 (はッ!!) 「・・・///」 譲、ちょっと胸の谷間見えまして 「わッ」 すってん。 譲、眼鏡が曇って転んでしまった。 「私のかちー♪ふふ。」 「・・・た、確かに先輩の”勝ち”です///」 勝負には負けたが、譲は”幸運”をちらりと垣間見たのだった(笑) 「じゃあ次は窓を拭きましょうか」 新聞紙を濡らして窓を拭く。 「これだと洗剤がいらなくてすみまし地球に優しいです」 「・・・すごいなぁ。譲君。おばあちゃんの知恵袋みたい」 (そ、それって誉め言葉なのか微妙だな(汗)) 望美は手を伸ばすが窓の隅まで届かない。 「俺がやりますよ」 ひょいっと望美の手から新聞紙を取って隅をふく・・・ (手、手が・・・) 譲と望美の手が重なる・・・。 「一緒に・・・。綺麗にしましょう・・・?」 「う・・・うん///」 手を重ねるなんて・・・ 初めてじゃないのにドキドキする・・・。 硝子に重なって映る・・・ 望美と譲の姿・・・。 「・・・”一つ”になってるみたいですね・・・。俺たち」 「・・・!な、なんかその言い方・・・。 ちょ、ちょっとエッチ・・・だよ」 「え・・・///」 くすぐったーい空気が流れて・・・。 「ひ、一休みしますか・・・///」 掃除どころではなくなってきた。 ソファにすわり・・・ お揃いのマグカップで珈琲タイム。 「ふぅ。労働のあとの一服はおいしいなぁ」 「ふふ。先輩だって充分おばあちゃんくさいじゃないですか」 「む・・・。失礼なー・・・」 むくれる望美。 でもふと思う。 (幾つになってもずっと一緒に・・・こうしてたいな・・・) 「・・・ねぇ譲君」 「はい」 「私がおばあちゃんになっても・・・。”一緒に縁側でお茶” 飲んでくれる・・・?月並みだけど・・・」 望美はそっと譲の肩にもたれる・・・。 譲もそれに応えるように望美の肩に手を添える・・・。 「当たり前です・・・。オレの一生は・・・。 あなたのものだから・・・」 「・・・譲君・・・」 なんだか・・・ 互いに 口付けをしたい気分・・・。 口付けて もっともっと絆を強めたい・・・ ・・・結ばれたい・・・。 「・・・先輩・・・。気が狂いそうなくらいに・・・ 貴方が好きです・・・」 「私も・・・」 目を閉じて 触れ合う唇・・・。 ゴト・・・ッ ソファに倒れる二人・・・ 「・・・あ、ま、待って」 「え?」 望美はポケットから携帯を取り出してマナーモードにした。 「・・・”この先”を邪魔・・・されたくないから・・・///」 「・・・せ、先輩///。じゃじゃあオレも・・・」 譲も電源を切って・・・ 「大掃除・・・途中ですけどいいんですか・・・?」 「いいの・・・。また明日続きしよ? だから今日は・・・」 望美は再び譲の首に手を回す。 「先輩・・・」 ポサ・・・ 譲の携帯がソファから落ちた・・・。 二つの影が一つになる・・・。 ドキドキの大晦日・・・。 愛しい人と過ごす時間はいつでも特別だ・・・。 翌日。 再び一日遅れの大掃除を頑張った二人だった・・・☆