白いTシャツと彼と私 (譲編) 休日 ベランダで洗濯物を取り込む望美。 風になびく洗濯物と一緒にかわいい鼻歌も譲の耳に聞こえてきた。 (・・・。かわいいな。意地悪したくなるじゃないですか) 愛らしさが溢れて ちょっと小粋な悪戯をしてみたくなる。 「〜♪」 すっかり洗濯物を干すことに集中している望美。 すーっと背後から気配を感じたかと思ったら・・・ 「きゃッ」 大きな腕の輪が望美を包み込む。 「捕まえた・・・。先輩」 「・・・。捕まえたって・・・。何を・・・?」 頬を染めて尋ねる・・・ その上目遣いがまた たまらなくて ・・・愛しくて。 「・・・。オレの何もかも・・・」 「・・・。何もかもって・・・?」 「何もかも・・・。オレの・・・命・・・そのもの・・・」 適した言葉など浮かばない 想いの強さが腕の中の温もりを一層包み込む。 だが・・・ (えっ) ぱっと望美は解放された。 「ハイ。先輩。おしまい。オレばっかりずるいです」 「え・・・そう、かな」 「そうです。たまには・・・。オレも 愛を囁かれ・・・たい・・・な」 「・・・。も、もう・・・。さ、最近 譲君ちょっと余裕だね///」 欲しかった愛が手に入った 幸せを噛み締める (オレを強くさせるも弱くさせるも・・・。貴方だけだ) 独占欲。 それにブレーキをかけずともよいという 開放感が譲に笑みを与える。 バサバサっ ふわっと譲の顔に舞い落ちたのは (ん?) 物凄い大きさのTシャツ。 「・・すごい大きさですね。まるで・・・力士が着られるほどに」 「力士用じゃないわよ・・・/// 「え?」 望美の頬は再びぽ・・・っと赤く染まった。 「・・・。二人で・・・着るの」 「二人でって・・・」 (一枚を二人で着る・・・?) 思春期真っ只中。譲。 (・・・!!) 裸身の自分たちが一枚のTシャツを着ている シーンが脳内で上映された。 「せ、先輩・・・///ど、動揺させないで下さい・・・」 興奮したせいか眼鏡の淵が少し耳からずれた(笑) 指でくいっと直す譲。 まるで妄想してしまった自分をいましめるように 「き、着てみたく・・・ない?」 「なっ・・・」 (ちょ、挑発してるんですか・・・///) 着てみたくないはずなんて・・・ ない。 「・・・。なーんてね。へへ。ちょっと刺激的になって みようかなーなんて。ごめんごめん。やりすぎだね」 「・・・そうですよ」 (え?) バサ。 譲は干してあったTシャツを取り、望美にスポっと頭から着せた。 Tシャツは望美の膝小僧まで隠すほどの丈が・・・。 「・・・あの・・・。譲・・・君?」 「これが先輩流の”愛の囁き”なんですね・・・?」 「え、あ、あの」 「分かりました。じゃあオレもお答えいたしましょう。 ・・・寝室で・・・ね」 ひょいっと望美をお姫様抱っこ。 「まるで春巻きですね。昨晩食べました」 「は、春巻きって・・・///」 「ふふ。さてどこから食べましょうか。 おいしそうな”先輩巻き”それとも一緒に オレも巻かれようか・・・」 「もー・・・!譲君ったら!」 白いシャツに望美を巻いて 譲達は寝室へ静かに入っていった。 ・・・勿論。 「きゃー!ちょっと譲君、袖口から顔ださないで///」 二人で白いシャツに愛を巻いて。 巻き合いましたとさ・・・v