熱い首筋に 夏祭り。 提灯が温かなぬくもりを醸し出している。 望美と譲。 二人とも浴衣姿だ。 譲は紺色の無地 望美は白に桃色の朝顔柄・・・。 「・・・」 「・・・」 二人とも、普段とは違う雰囲気に緊張気味に ゆっくり歩く。 「あ・・・」 「え・・・どうかしましたか?先輩」 「あ、ちょっとヘアピンが・・・」 後ろ髪をおだんごにまとめていた 後ろのヘアピンがはずれ、ほつれ髪が・・・ 「しょうがないですね。先輩。ほら・・・」 譲がヘアピンを拾い、 後ろ髪につける・・・ (・・・) 白いうなじ・・・ 細い首筋・・・ (・・・) 譲の頬と背中が熱くなる・・・ 「・・・。譲くん・・・?」 「え、あ、す、すみません・・・」 「どうかしたの?」 「い、いえあの・・・」 (先輩の・・・首筋に見惚れてたなんて言えない・・・) はっとして譲は思わずメガネを人差し指で整えた。 「ありがとう。譲くん」 「いえ・・・。先輩」 「ん?」 「・・・手・・・。つないでいいですか・・・?」 「え・・・。う、うん」 そっと 不器用に手をつなぐ・・・ そしてゆっくり歩き出す・・・ 「・・・先輩・・・」 「・・・うん・・・?」 「・・・先輩の首筋・・・。とても・・・。綺麗です・・・」 ドキっと望美の胸が反応する。 「・・・祭りが終わったら・・・。触れさせてくださいね・・・?」 「・・・うん・・・」 それは 髪だけじゃなく・・・ 首もすべて・・・。 つなぎ合う手が 熱くなる・・・。 提灯が 静かに歩く二人を見守って揺れていた・・・。