オレには、好きな人が、います・・・。 超えられない 幼馴染という壁。 想いを伝えれば もう・・・。今の関係すら壊れてしまうかもしれない。 だから・・・。 この想いは俺の中で そっとそっと育てる ・・・今は・・・。 ※ いつのまにか オレの支えになっている ・・・見上げると当たり前に私を優しく照らしてくれる 太陽のように・・・ 「あの・・・。譲くん?」 「はい?」 「・・・そんなに見られてると・・・飲めないんだけど」 「え、あ、す、すみませんっ」 望美の部屋。 マグカップでコーヒーを飲む、望美に見惚れてました、譲君。 「ど、どうぞ、オレに気にせず・・・」 「ふふ。飲み終わっちゃった。ごちそうさま」 「いえ・・・」 オレの”ごちそうさま”に貴方は微笑み返してくれる その微笑が見られるというなら何杯だって淹れる 淹れられる。 貴方の笑顔が見たい 貴方に会いたいから・・・。 このキモチを・・・教えてくれたのは貴方・・・。 「クッキーももらっちゃおう。ふふ」 何気ないことで 幸せな気持ちをくれる。 切なくて でもあたたかくて・・・ 「先輩・・・ありがとう」 「え?どうしてお礼を言うの?」 「言いたかったんです。とにかく・・・。ありがとう」 「変な譲君。ありがとうは私の台詞なのに・・・」 「いいんですよ。いいんです・・・」 貴方が生きているということが嬉しい 貴方が生きて笑顔で居ることが嬉しい 「あ、見て、譲君」 望美はガラっと窓を開けた・・・。 オレンジ色の優しい光が二人を照らして・・・。 「・・・先輩」 「え?」 「・・・いえ・・・あの・・・」 ”先輩が・・・あんまり綺麗だったから・・・” 喉まで出掛かっている台詞。 ぐっとこらえて 「あ、明日は晴れだなぁって・・・」 「あ、そうだねー・・・。あ、じゃあ将臣くんに傘、 返してもらわなくちゃ。かしてたら」 「・・・。ったく兄さんは・・・。オレから言っときます」 「そうだ。日曜、みんなでどっか行こう!ひさしぶりに!」 「そ、そうですね・・・」 ”将臣くん” 胸の奥が傷む・・・。 (先輩の中には・・・。ずっと兄さんがいるんだ・・・) 恋ではないかもしれない だが・・・ (兄さんの方が・・・。ずっと強い・・・) 自信がない。 (けど・・・) それでもいい。 それでもいい・・・。 (・・・先輩の・・・。そばにいられるなら・・・) 「照る照るぼうず・・・作ろうか」 「え?あ、はい」 テッシュをくしゃsくしゃっとまるめて あっという間に望美は照る照る坊主を作ってしまう。 「あーした天気にしておくれ〜」 歌いながら、窓につるす・・・。 「あれ?先輩、ひとつ、たりないんじゃ・・・」 「へへ。2人分。譲君と私。お日様に」 「兄さんの分は・・・」 「いいの。だってお日様にお願いするのは 私と譲君、二人でだから・・・」 「先輩・・・」 ”二人で・・・” 小さなフレーズに 心が躍る。 たったそれだけで・・・。 (・・・満たされる・・・) もっと欲しいと思う。 けど・・・。 「じゃあ、手を合わせて?譲君」 「はい。じゃあ・・・」 二人で夕陽に手を合わせる・・・。 そして同時に 「お天気にしてくださーい!」 と叫んだ・・・。 (・・・こんな優しい夕陽を・・・。 ありがとうございます・・・。神様・・・) 優しい夕陽に願う。 相手の心が欲しいと想う気持ちはなくなりはしないけど・・・ (オレの大切な人が・・・幸せでありますように・・・) 優しい笑顔 不思議な気持ち。 願う。 そして永遠に変わらないこと・・・。 一つだけ分かること 神様 オレには好きな人がいます 大切な人がいます そう思うだけで 毎日がとても素敵に見えるのです・・・。 「明日・・・。晴れますように・・・。絶対晴れますように・・・」 譲は何度も呟いた。 切ない想いと 好きな人の笑顔を絶えぬように・・・と・・・。