止まない雨のように




雨が降る・・・ 洞窟の天井からポタ・・・ ポタ・・・ 雨水が漏れ 堕ちる・・・ 「・・・蛮骨・・・。大丈夫・・・?」 「・・・」 妖怪との戦いでうけた傷を心配そうに見つめるかごめ。 「お前・・・。いつまでも可笑しいこと言うな・・・」 「え・・・?」 「オレの体は墓土だ。血もでねぇし痛くもねぇ」 「・・・」 言葉が返せないかごめは俯く・・・ 「死んでるだよ。入れ物だ。この体は・・・。だからいつぶっ壊れても おかしくはねぇ・・・。・・・」 遠い目をする蛮骨・・・ 蛮骨の言うとおり 蛮骨の自分を守ってくれた手も腕もみな 墓土だ 温もりなどない 「・・・でも・・・。私、貴方が危険な目に遭うのがつらいわ・・・!失うのが嫌だわ・・・! だって貴方は死人なんかじゃないもの。私の命そのものなんだもの・・・っ」 パキ・・・ッ 「きゃ・・・」 焚き火の音と同時にかごめは蛮骨の胸に引き寄せられる・・・ 「・・・なんて顔しやがる・・・。こんな・・・。オレのために・・・」 「だって・・・。本当の気持ちだもの・・・。私とって貴方は命そのものなの・・・」 かごめはそのまま顔を埋める・・・ 確かに蛮骨の胸からは 鼓動は聞こえない・・・ でも・・・ 「・・・オレといても・・・。お前の未来はないんだぞ・・・。それでもいいのか・・・」 「貴方といられる時間全てが私の未来よ・・・。お願い。私をそばにおいて」 「・・・かごめ・・・」 死人である自分を全て受け入れてくれるかごめ 潤んだ瞳が全てを忘れさせる・・・ パサ・・・ (え・・・?) 両手をつかまれ・・・押し倒された・・・ 見下ろされる 「蛮骨・・・」 「・・・オレは何にも感じねぇ・・・。濡れたお前の体だって・・・あっためることができねぇ・・・」 雨で濡れた制服・・・ 薄っすらと柔らかそうな瑞々しい胸元が 蛮骨の心を震わせ・・・ 「・・・大丈夫・・・。私は感じてる。貴方を想えば心は熱く震えるわ・・・」 かごめは蛮骨の首に手を回す・・・ 激しい想いを秘めた瞳で・・・ 「かごめ・・・」 白い細い首筋がオレを誘う 痕をつけてくれと・・・ 絹糸のような髪を横に流し 蛮骨はその肌に 唇を這わせる 「・・・っ」 その初々しい反応がまた蛮骨の本能に火をつける もっと感じさせたい もっと・・・! そしてつけた痕をなぞりながら呟く・・・ 「これで・・・お前は・・・。オレの女・・・だ・・・」 「蛮骨・・・」 「死人でも・・・。オレの中の生身の”男”がお前の心も体もほしいと求める・・・。 火をつけたのはお前だ・・・。責任とってもらうぞ・・・」 「うん・・・」 二つの影が そして一つになる・・・ 体に命がなくとも 激しく心を求め合うことは誰も止められない・・・ 雨が 止むことはなかった・・・