妖気があれば、ケガの治りも早いのに、犬夜叉ったら人間の姿のまま闘かっちゃって・・・。
んもう・・・!手当てするのはあたしなのよ!いつも!
仕事ふやしてくれちゃって・・・。
「っ・・・。いってーなぁ・・・。そのしょーどくってやつ、オレ、きれーだ!」
「わがままいわないの!!ほら、じっとして!!」
消毒液を嫌がる犬夜叉。全く・・・。草太より手がかかるんだから・・・。
「はい!消毒終わり!次包帯巻くよ!」
「けっ・・・」
犬夜叉の胸につけられ傷。まだ血が止まらない。早く止めなくちゃ・・・。
かごめは救急箱から包帯を取り出した。
「ほら!犬夜叉!バンザイして!」
「なっ・・・子供みたいな言い方すんじゃねえっ!!」
「いーから。ほら、バンザイ!!」
犬夜叉はぶつぶつ言いながら両手をあげる。
そして、かごめは犬夜叉の脇の下に両手をまわして包帯をくぐらせる。
「全く・・・静かに手当させて・・・」
ドキンッ。
かごめの心臓が波打つ。
目の前に、少し汗をかいた犬夜叉の胸が頬に触れた。
同時に犬夜叉もかごめの頬のぬくもりを感じる。
ドキンッ。
体の芯が火がつくように、ドキン、ドキンッ。
冷静に・・・冷静に・・・。
必死にそう自分の心臓に言い聞かせる。
今はケガの手当をしなくちゃ・・・。
2回、3回、4回・・・。
包帯を巻く度にかごめの頬が、犬夜叉の胸に触れ、熱くなる。
「は・・・早く巻けよ・・・」
「わ・・・わかってるよ・・・」
高鳴る緊張を押さえきれない。
ふんわりとした髪がちょうど犬夜叉の鼻のあたりに触れて・・・・。
ん・・・?かすかに感じる匂いの変化・・・。
「か・・・かごめお前さ・・・」
「な、何よ」
「あの・・・」
「何・・・?」
「髪の匂いが・・・変わらなかった・・・か・・・?」
「・・・うん・・・。リンス変えたけど・・・。わかるの・・・?」
「・・・。少し・・・な・・・」
人間の姿でも半妖の姿でも、かごめの匂いはすぐわかる。
体の奥に、心の奥底に染みついてるからな・・・。
「はい・・・。犬夜叉。もう手・・・降ろしていいよ・・・」
「お・・・おお・・・」
ゆっくりと両手を降ろす犬夜叉。かごめは、真ん中で包帯の最後を縛る。
「これで・・・よし。もう血はとまって・・・。犬夜叉・・・?」
手当が終わっても・・・かごめの頬は熱く、犬夜叉の気持ちも火照っている。
「血は止まったみたい・・・。ゆっくり休んで・・・わっ・・・」
「い・・・犬夜叉・・・あの・・・」
「うっ・・・うるせえッ!しばらく黙ってろ・・・ッ!!」
「う・・・うん・・・」
乱暴に抱きしめられた・・・。でも嫌じゃない・・・。
まだた・・・ドキドキしてきちゃったよ・・・。
・・・それも・・・嫌じゃない・・・。ずっと ・・・ドキドキさせて欲しい・・・。ほんのひとときでも・・・。