犬夜叉が目覚め、横に振り向く。 自分の左腕を枕にして眠るのは 生まれたままの姿のかごめ・・・。 朝日をあびるかごめの頬はなんと温かな頬だろう。 ・・・触れてみたくなる。 昨晩、かごめの全てをこの手で、その心で触れ、 全てを知り尽くし、愛したのに。 まだ・・・足りない。 犬夜叉はあいている右手で鋭い爪がかごめの頬に傷つけぬよう そっと手の甲で頬に触れてみる・・・。 (・・・あったけぇな・・・) 朝日より温かく、穏やかな心地・・・。 手だけではなく、全身でそれを感じたくなる・・・。 「ん・・・。あ・・・おは・・・よ」 目覚めたかごめ。照れくさいのか 火鼠の衣で顔を隠す。 そんな仕草がまたかわいい。 「けっ。今更・・・(真っ赤)」 火鼠の衣の中で激しく愛し合った二人。 自分の中にこんな欲望的なものあったのか 驚くほどに。 ただ、お互いが欲しかった。 「クシュンッ」 可愛いくしゃみ。何もかも可愛い。 愛しい。 「寒いのか・・・。もっと・・・こっち寄れよ(照)」 「う、うん」 火鼠の衣をもそもそさせ、かごめは犬夜叉の腕に 身を寄せた。 (・・・!) 果てしなく柔らかい感触が犬夜叉に伝わる。 自分の胸元にあたる母なる大地。 かごめの鼓動の音が一番聞こえる場所の感触。 自分が顔を埋め、かごめの命の音をずっと聞いていた・・・。 「ねぇ。犬夜叉」 「・・・なっなんだよっ」 甘い余韻に浸っていた犬夜叉はかごめの声にハッとした。 「・・・。世界で一番・・・大好き」 言葉にできない想いがかごめの潤んだ瞳から溢れてる・・・。 「かごめ・・・」 この世で一番欲しかった愛。 この世で一番守りたい魂。 犬夜叉の全身に手の内に在る愛をもっと感じたいと激しく 衝動が走る。 「・・・かごめ」 犬夜叉はかごめを下に見つめるようにかごめの体 の上になった。 「・・・犬夜叉・・・。あ、あの・・・。もう朝なんだけどな・・・」 「う、うっせぇッ(真っ赤)て、てめぇがこっぱずかしいこと 言うから・・・」 「・・・犬夜叉・・・」 いい香りがする髪が床板に流れる。 「・・・。もう朝も夜もはなさねぇ・・・」 「・・・うん・・・。ん・・・ッ」 言葉など無用。 その唇を塞いで溢れる想いを伝え合う・・・。 空気さえ漏れぬほどに、きつく塞ぐ・・・。 「ンゥッ・・・」 愛がこぼれないように・・・・ 再び、二人は火鼠の衣の中で激しく愛し合う。 求め合う。 一生、この時間が続けばいい。 優しい朝が続けば・・・。 「・・・いぬっ・・・やしゃッ・・・ッ」 喘ぐ声も全て愛しい朝が・・・。