儚い夢でも
「かごめ・・・?眠ったのか・・・?」

優しい寝息をたてて眠る。

今晩で何日目になるだろう。お前と過ごす夜は。

安心しきって眠るお前の寝顔。

ちっ・・・悔しいぐらいに幸せそうな顔・・・してやがる・・・。

眩しいくらいに・・・。



いつまでも・・・。見ていたいと思ってしまう。

ずっとそばにいたいと願ってしまう。

今・・・どんな夢みてるんだ・・・?

儚い夢。

できることなら一緒に見たいと願ってしまう

無理な願いだとはわかっていても。

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いつか、この寝顔が消えるのが怖い。

失いたくない。

だから、確かめたくなる。触れてみたくなる。

お前という夢に・・・。



サラリと通り抜ける柔らかい髪。

母の様な優しい匂い。

ベットにすやすや眠るかごめ・・・。思わず正座して一人で眺める。


「うーん・・・犬夜叉・・・お・・・」

(お、おすわりって言うのか!?)

とビクビク・・・。

「お・・・お帰りなさい・・・」

ほっと息をなで下ろす・・・。

(・・・だけどお帰りって一体どんな夢みてんだ・・・)

どんな夢でも自分が出ている。それだけで嬉しい。


「夢の中でも・・・。ずっと一緒だよな・・・」

ずっとお前のそばで眠りたい。


同じ夢を見たい。

現実が例え儚い夢でも・・・。

「・・・。ずっと一緒だ・・・」


心と心は離れない。

きっと・・・。


「離れたくねぇよな・・・」

枕元のかごめの手のひらに触れると・・・。

犬夜叉のつぶやきに応えるように 握り返した・・・。


(・・・。起きてるのか・・・?)


かごめはぐっすり寝息をたてている。


(・・・。けっ・・・。紛らわしいことしやがって・・・)


だが犬夜叉は離さない。


きっと夢の中のかごめが応えてくれた気がするから・・・。


「絶対・・・。ずっと一緒だからな・・・」


儚い夢でも


紡いだ絆は確かだから・・・。