切ない言霊犬夜叉が眠っている。 怪我をした腕の痛みで少し汗をかいて 犬夜叉の額の汗をかごめは心配そうな顔を拭う。 「う・・・」 犬夜叉は少し呻き声を発する 「犬夜叉・・・。何・・・?痛むの・・・?」 声を出さず口だけが動いて何かを言おうとしている。 「・・・何・・・?聞こえない・・・」 かごめが犬夜叉の口元に耳をあてると。 「・・・桔梗・・・」 「・・・!」 聞こえてきたのは一番辛い名前。 「・・・桔梗・・・」 なんて。なんて切なげな声で かごめは思わず両耳を塞いでしまう。 ただのうわ言・・・ でも・・・ 「・・・どうして・・・。どうして私の・・・名前じゃないの・・・。どう・・・して・・・」 眠る犬夜叉には かごめの搾り出される声は届かない・・・ 「桔梗・・・」 繰り返される寝言。 かごめはただ 犬夜叉の寝顔を見つめる・・・。 「・・・犬夜叉・・・。ここにいるのは・・・。私だよ・・・かごめ・・・」 「・・・桔梗」 「・・・。でもいい・・・。夢の中ならいい・・・」 そのかわり目が覚めたら ちゃんと ちゃんと 「私を見てね・・・。かごめって呼んでね・・・」 犬夜叉の前髪をそっと撫でながらかごめは呟く・・・ (・・・あったかい・・・) 眠る犬夜叉にもかごめのての温もりが伝わる・・・ 桔梗ではない かごめの温もりを・・・ 「・・・ちゃんと・・・私を・・・見てね・・・」 切なさも 犬夜叉への想いも全部背負って側にいよう 全部 それが私の選んだ道だから・・・