羽根のような肌
潮の香り。 漁師の漁具がしまわれている小屋だ。 燃える焚き火の前で 赤い炎を見つめる風馬とかごめ・・・。 上着は着ていない・・・。 風馬はかごめの透き通るような背中と肌に 心奪われ・・・ 「いや・・・。あんまり・・・。見ないでください・・・」 「・・・あ・・・。す、すまない・・・。あんまり綺麗だったから・・・」 恥らい、頬を赤めるかごめがさらに 愛しく・・・。 「・・・かごめ。本当にいいのか・・・?無理はしていないか・・・?」 かごめは首を横に振った。 「私は・・・。風馬さんに知って欲しい・・・。もっと私を・・・」 必死の思いを込めてかごめは風馬を見つめる・・・。 「かごめ・・・」 風馬は静かにかごめを抱き寄せた・・・。 初めて合わさる肌と肌・・・。 風馬の熱い肌。 かごめの柔肌・・・。 二人の鼓動は高鳴り止らない・・・。 「風馬さんの心臓・・・。すごい早いね・・・」 「・・・き、緊張している・・・。お前の肌があんまり 綺麗で・・・心地よいから・・・」 かごめをさらに力を込めて抱きしめる・・・。 風馬の胸にかごめの綿菓子のようなやわらかいふくらみが あたって・・・。 更に体を熱くさせた・・・。 「・・・お前の心臓の音も・・・。聞かせてくれないか・・・」 「うん・・・」 風馬は静かにかごめのふくらみの谷間に耳をあてた・・・。 トクントクントクン・・・。 愛しい音・・・。 命の音だ・・・。 深い安堵感に包まれる・・・。 「・・・かごめ・・・。お前が生きているのを・・・。 もっと感じたい・・・」 「風馬さん・・・」 砂の上に・・・。 風馬はかごめを静かに寝かせた・・・。 柔らかな髪が流れる・・・。 風馬は髪を少し手にすくい、キスした・・・ 「・・・。全部、好きだ・・・」 とても優しいキス・・・。 労わるように・・・。 かごめの全部に口付けしていく・・・。 (かごめ・・・) 額、頬、・・・。 「・・・ふう・・・まさ・・・っ!」 白い首筋に唇を這わせる・・・。 かごめの反応が急に敏感になって・・・。 最初はとても優しかったキスが・・・。 段々荒く、激しいものへと変わる・・・。 チュッ・・・ 「・・・ッ」 かごめの鎖骨辺りに風馬は顔を埋め、かごめの肌を吸い上げるような 激しい口付けをしていく・・・。 風馬の長い髪と かごめのふわりとした髪が・・・。 混ざり合う・・・。 風馬の逞しい感触。 荒い息遣い・・・ 優しい風馬しか知らなかった。 生身の”男”の風馬を感じて・・・。 (・・・風馬さん・・・) 「あ・・・」 ブラの肩紐を少し乱暴に下げようとし、かごめは思わず両手で胸を隠す・・・。 「・・・ご、ごめんなさい・・・。私・・・」 どうしてだろう。 風馬に自分を知って欲しいと強く思うのに どうして・・・。 「・・・。やっぱりやめよう・・・」 「え・・・?」 風馬は起き上がりかごめから離れた・・・。 「あ、あの・・・。風馬さん、ごめんなさい。私・・・。私・・・」 「謝るのは俺の方だ・・・」 「え?」 「・・・流れにまかせて・・・。男の”欲望”でお前を汚すところだった・・・。心も肌も真っ白な お前に・・・そんなことは したくないから・・・。何よりも大切だから・・・」 「風馬さん・・・」 再び優しい瞳に戻る・・・。 一番好きな瞳・・・。 「・・・かごめ・・・。寒いだろう・・・。こっちへおいで・・・」 風馬はかごめを起き上がらせ、自分の着物を静かに着せ、 両手で包んだ。 「おっきい着物・・・ふふ・・・」 足まですっぽりはいってしまう・・・。 そしてさらに自分は風馬の腕にすっぽりつつまれて座っている・・・。 「・・・風馬さん、ごめんなさい・・・。本当に・・・」 「謝らなくていい・・・。焦らなくていいんだ・・・。言っただろう・・・? オレはお前が笑っていてくれたらそれでいい・・・。こうして・・・お前のぬくもりを 感じられてオレは幸せすぎるくらいだ・・・」 かごめを感じられる。 体が一つにならなくとも・・・。 かごめの温もりに包まれていれば 他になにもいらない・・・。 望まない・・・。 「・・・風馬さん・・・私も・・・」 自分を包む風馬の手をかごめは重ねた・・・。 「かごめ、あれを持っているか・・・?」 「あれ?」 風馬が取り出したのはあの白い羽根・・・。 「・・・勿論・・・。持ってるよ・・・。私の宝ものだもの・・・」 「ああ・・・。宝物だ・・・」 自分達をつなぐ、白い羽根・・・。 何よりも大切な・・・。 止め処もない愛しさがこみ上げてくる・・・。 愛しくて。 ちょっと、悪戯してみたくなる。 風馬は白い羽根先を首筋にくすぐった。 「・・・ヤンッ!!」 ゾクッと肩をすくめるかごめ・・・。 「ふふッ・・・」 「もうッ・・・!風馬さんたら・・・!」 かごめの反応が可愛くてもう一度くすぐる 「きゃッ。く、くすぐったぁい・・・ってば・・・」 「フフフ。羽根の”使い方”だな」 かごめの声。 笑顔・・・。 全部好き。 好きでたまらない・・・。 「・・・。かごめ・・・。ずっと笑っていてくれ・・・。そうやって オレの横で・・・」 「うん・・・」 風馬は愛しさを込めて かごめを力強く包み込む・・・。 この命を この笑顔を 逃さないように 守るように・・・。 「・・・愛しているよ・・・」 かごめの耳元で囁かれた言葉は・・・。 涙がでそうなくらいに 切なくて優しかった・・・。