優しい彼 「ふぅー・・・」 険しい岩道。 犬夜叉一行は険しい岩道を歩く。 妖怪との戦いで傷ついた仲間達。 「ふぅー・・・」 戦いに慣れていないかごめは一番疲労が激しい。 「・・・かごめ。大丈夫か」 「うん大丈夫」 (そんな顔して。大丈夫なわけねぇだろ) かごめの”大丈夫”は・・・。 大丈夫じゃないサイン。 「おう。みんな、あの杉の木の下で休むぞ」 一行は杉の木の下で円を囲むように座って一休み・・・。 「あ、雨か・・・」 一行の休憩を見計らったように小雨が落ちてきた。 「・・・。ごめんね。犬夜叉・・・。なんか 私・・・。お荷物になっちゃって・・・」 「けっ。お前が謝ることじゃねぇだろ。そんな疲れた顔 して・・・。とにかく休め」 「うん・・・。アリガト・・・」 かごめはリュックを枕代わりに体を九の字にして 目を閉じる・・・。 (・・・。大丈夫なんて言うな・・・) かごめの手の甲についたかすり傷。 膝小僧もこの間の傷がまだ残っていて・・・。 (・・・。お前を守りきれてねぇ・・・) 自分ならどれだけ傷ついてもいい。 だが守るべき者が傷つくことは 己が傷つくよりずっと・・・ ・・・痛い・・・。 パサ・・・。 犬夜叉はかごめの体が濡れよう・・・自分の衣をかけた。 「・・・。犬夜叉・・・。アリガト・・・」 「そ、そんくらいでいちいち礼言うな・・・///」 自分でも戸惑うが・・・ かごめに優しくしたい 気遣いたい そんな想いが当たり前に自分の中に根付いていた。 「・・・。犬夜叉・・・。優しくなったよね」 「え?」 「だって・・・。前なら”人間の女はこれだから面倒だ”とか 言いそうでしょ・・・?」 「・・・。そ、そんなに俺・・・。優しくなかったのか(汗)」 (嫌な奴だと想ってたのかな(汗)) 犬夜叉、腕を組んで真面目に悩む。 「ふふ。ううん。ちょーっと・・・。乱暴だっただけ・・・」 「・・・(汗)」 「今も昔も・・・。犬夜叉は優しいわよ。優しくて強い・・・。 私には分かる・・・」 「///」 かごめに分かってもらているなら ・・・今の自分がもっと好きになれる・・・。 もっとかごめに優しくしたくなる・・・。 「・・・。か、かごめ。なんか他にしてほしいことあるか」 「うーんそうだな・・・」 かごめは静かに犬夜叉の手を握った。 「・・・こうしてて・・・くれる・・・?」 「///」 犬夜叉は無言で・・・でも少し照れくさそうに かごめの手を握り返してきた・・・。 「・・・ありがとう」 「・・・。べ、別に・・・///」 くすぐったい気持ち・・・。 同時にかごめを この手のぬくもりを何が何でも 守り抜きたいと改めて想う・・・。 こんな自分に出会えたのも かごめの優しさのおかげ・・・。 「・・・かごめ」 「ん?」 「・・・。ありがとな」 「・・・。うん・・・」 ぎゅ・・・。 強く握り合う手の温もりは・・・。 二人の絆の強さ 雨が上がるまでずっとずっと 握り締めていたい・・・。 優しい互いのぬくもりを感じながら・・・。