甘い飯 〜初めてのおにぎり〜 ご神木の前。 「はぁあ・・・」 (30回目じゃ) ため息をつくかごめ。 回数を横で七宝が数えている。 (やれやれ・・・。子供のワシの出番じゃな) 子供は敏感。 さっそくため息の”元凶の一つ”である彼のところへ報告・・・。 「というわけで。かごめはとてつもなく疲れておんじゃ。 お前のせいで」 「・・・お前が言うな(怒)」 七宝の尻尾をぐいっと持ってお怒りモードの彼。 「七宝に突っ込まれているんじゃ同等だろう」 弥勒が参戦。 「なんか悪いモンでも食ったんじゃネェか? アイツベンキョーのしすぎで・・・。受験ってやつの迫ってるとか。 楓ばああの腹薬でも持ってってやりゃいいんじゃねぇ?」 と他人面。 ・・・ボキ。 (!??) 弥勒の背中から異様な殺気が・・・。 (か、かごめ様応援団長!!!!) 珊瑚が飛来骨を片手に男集をにらんでいます。 弥勒は七宝サイズぐらいにしゃがんで縮こまってますーv 「犬夜叉・・・。私がかごめちゃんだったら あんたのこと・・・ただじゃおかない」 「どっ(どもる)どうするってんだ・・・」 「・・・耳の先から足の爪の先まで両手で握って よじってねじって
水気が無くなるまで雑巾絞り
+ 飛来骨で角切り・・・
はぁ!!」 バスン!! 飛来骨で薪を真っ二つーv (・・・っ) 犬夜叉も当然ならがら・・・ 弥勒はさらに縮んでいた。 (ふにゃああああ・・・(言語中枢崩壊)神様仏様かごめ様・・・嗚呼誰でも良いから 穏やかな空気を・・・っ) って弥勒法師、七宝の尻尾に拝んでます(笑) ・・・怯えきっている男集。 だが 「かっかごめはそんなことしねぇっ(ビビリつつ) ・・・多分」 「ほう・・・。じゃあかごめちゃんのこと元気付けて見せなよ?」 「う、うるせー!(小声で)分かってらぁ!」 「甘ーいことでもしてあげたら?まぁーどーせアンタには そういう神経ないだろうし?」 「んなことあるか!オレだって・・・」 犬夜叉、一生懸命考えます。 珊瑚におびえつつ。 (・・・。甘いこと+疲れたときはご飯が体にいい=) その答えは・・・。 ひらめいた! 「・・・!握り飯を作る!」 「は?」 「つーか珊瑚、お前作れ。俺が持っていく」 プチ。 珊瑚応援団長の血管がさらに切れましたーv 「自分でこしらえろーーーーッ!!!!!」 ・・・鎮座する男集。 ということで・・・。 〜♪←おなじみの某料理番組のテーマ曲 「米から洗う!丁寧に!透明になるまで!!」 「・・・汗」 かまどで桶の中の米を洗う犬夜叉の その後ろに飛来骨持ったままで指導をする珊瑚応援団長。 「ほらほら違う!!水の量は少なめに!!」 「う、うるせー・・・」←と果てしなく小声で。 「もっと息吹きかけて!!酸素を入れる!! 薪入れて温度上げる!!」 竹の筒でかまどにふうふうと息をふきかける その背中を我が身と見守る男・・・ (将来・・・。私もきっとやらされるのだろうか・・・(汗)) 今から上手な握り飯の作り方をお勉強しとこうと思った法師様でした(笑) そんなこんなで悪戦苦闘の末・・・ 「できたぞーーッ!!!」 犬君の右手には・・・ 丸だか四角だかわからない さらに海苔すきまだらけに貼りまくった妙な物体が・・・ 「どうでい!!オレだって飯ぐらいつくれる!!」 「・・・(汗)それ・・・本気で食べられる物だと思ってる?」 「腹にはいりゃーなんでもいいんでいッ。米で出来て んだから、力になるだろッ。んじゃ渡してくる!!」 「あ・・・ちょ・・・!」 まるで子供が砂団子を上手に出来てご満悦のような顔で 出て行った。 「・・・。どうしよう。かごめちゃん・・・。”アレ”本当に 食べさせられちゃって・・・」 「本気で腹薬入用だな(汗)ま、大丈夫毒が入ってないんだしそれに・・・」 「それに?」 ぎゅっと珊瑚の手を取る弥勒。 「お前が教えてくつったものだ・・・。大丈夫。 自信を持って」 「法師さま・・・///」 (ごますっときゃなきゃ・・・。私まで何させらるかわからん(汗)) と、珊瑚応援団長のご機嫌軌道修正に勤しんだのでした。。 で。 かごめ。 足をかかえて色々考え込んでいます。 受験のこと、玉のこと・・・。 (ちょっと考えすぎかなぁ。少し散歩でもしようかな) と、立ち上がった瞬間。 「・・・食え」 「!??」 犬夜叉が降りてきてかごめの手に何かを乗せた。 (ナニ・・・コレ?) 「オレがつくってやったんだ。握り飯だ」←ちょっと自信ありげに。 「・・・え、ああ・・・えと・・・」 緑色の海苔で、のりが乾いて早くも茶色く変色しています・・・。 「・・・。どうした。食え」(微笑で) さすがに躊躇するかごめ。 (せ、せっかく作ってくれたんだし・・・) 「・・・あの・・・。えっと・・・。じゃ、じゃあ・・・い、頂きます・・・」 パクリ・・・ ひとくち・・・ 前歯でかじってみる・・・。 果てさて・・・ お味は・・・ (う・・・) おにぎりって・・・ おむすびって・・・ (甘・・・) ・・・激甘でしたvv どうやら犬夜叉君。 ”甘いこと”という言葉が引っかかっていたようで。 (隠し味しといたぞ!) 珊瑚応援団長の目をぬすんで海苔の上からお砂糖ぶっかけちゃいました。 「・・・どーーーうでい!甘いだろ!!うまいだろ??」 「・・・甘い・・・。甘いすぎ・・・。う」 「おう女は疲れた時甘いモンって 相場が決まってんだろ?」 と両腕を組んで 「・・・なんてまずい・・・」 「・・・!!!!!」 かごめの”まっとうな”一言に・・・ 犬夜叉のご満悦・・・クラーーーシュ!! 耳垂らして落ち込む犬夜叉。 「・・・あの・・・。ご、ごめん。犬夜叉・・・あの・・・」 「うるせー。まずかったんだろ」 「うん」 (即答かよ!) 「でもあの・・・甘いおにぎりもいいかも・・・」 目を閉じて・・・。 パクパクゴッコン。 味わからずに飲っこんだ。 「ほら。なんとか最後まで食べられた・・・。ね!」 「・・・(苦笑)」 「と、とにかく元気でたから!それは間違いなし!」 「ほ、ホントか?」 「うん。ホントホント!」 (ならいいか・・・) とりあえず、任務終了・・・とほっとする犬夜叉。 「だけど・・・」 「ん?」 「アンタのその手でどうやって作ったんだか・・・ 想像したらおっかしー・・・」 「なっ・・・。まだ言うかっお前・・・」 「・・・?」 じっと犬夜叉の鼻の頭を見つめてなにかをつまんだ。 「あ。ごはんつぶ。もったいないもったいない」 とぱくっと食べちゃいました☆ 「・・・///」←微妙なテレ具合 「お米は最後の粒まで食べなきゃね☆それに 犬夜叉が頑張って作ってくれたんだものね・・・」 「・・・///」←謙虚にでられたらちょっと態度に困る。 「ありがと!」 「お、おう・・・」 (こんなんで・・・元気がでたのか知らねぇが・・・) かごめの顔が明るくなったことだけは 犬夜叉には理解できた。 「甘いご飯もいいね」 「そう?じゃあ普通のおにぎり今度作ってくるから」 「・・・かごめ」 「ん?」 「あんま・・・。考えすぎんな」 (犬夜叉・・・) ちょっとだけ 犬夜叉の顔が優しく見えた。 「・・・。うん。大丈夫。程ほどに頑張る」 「・・・」 「心配してくれてありがとう。でももう甘いおにぎりは いらないからね」 「・・・(汗)」 心配している。 かごめの心は分からないけれど 危険にさらさないように・・・ 「オレは・・・かごめが生きててくれたらそれで・・・」 「犬夜叉・・・。・・・ごめんね。でも私ちゃんと考えてるから みんなの命も自分の命も大切にして・・・ね」 (かごめ・・・) 「ふぅ。でもちょっと息抜きしなきゃ・・・ね。 散歩・・・行くんだけどあんたも行く?」 「・・・暇だからまぁいい」 「そ。じゃあ行こうか」 すくっと立ち上がる。 二人で散歩は久しぶり。 どうやったらかごめが元気になるかなんてやっぱり分からない。 ただ・・・。 (生きててくれたら・・・それでいいんだ) それだけ。 望むことは・・・。 一緒に散歩しながら 久しぶりにかごめの笑顔を見つめた気がする。 (・・・生きていてくれたら・・・) おにぎり一個で本当に元気になったのか。 それでもかごめの笑う顔を見て犬夜叉は深い安堵を覚える。 (守ってかねぇと・・・な) と改めて心に誓った・・・ そして。 (けど・・・もう握り飯は絶対につくらねぇ!) と心に誓ったのだった(笑)