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燃える炎の中に見えるのは、血だらけの桔梗。
そして、向けられた矢の先には犬夜叉。
力の限り弓を引く桔梗。
(やめて!桔梗!犬夜叉を殺さないで!!)
桔梗は哀しいそして、寂しい顔で何かを訴えている。
そして、桔梗の心の声が・・・聞こえてくる・・・。
犬夜叉・・・。お前が憎い・・・。私を死に追いやったお前が憎い・・・!
この憎しみはどこへやればいい・・・?!
けれど・・・それ以上にお前に・・・お前に会いたかった・・・。
死してなお・・・お前を捜していた。ずっと・・・。
だから・・・私と共にいてくれ。
共に・・・地獄の果てまで・・・。
犬夜叉の姿が闇の奥へと消えていく。
(だめ!!二人とも・・・死なないで!桔梗、お願い!犬夜叉を殺さないで!お願い!犬夜叉ーーーー!!)
「はっ・・・」
ポタ・・・。ポタ・・・。
首に雨の雫が冷たく落ちる。
「ゆ・・・め・・・?」
気がつくと頬に涙の後が・・・。
「あたし・・・寝ちゃったのか・・・」
もたれかかっていた犬夜叉も目を覚ました。
「・・・。かごめ。起きたのか・・・」
「あ、う、うん」
かごめはスッと涙の後を手で消した。
「・・・。お前、泣いてたのか?」
「あ、ちょ、ちょっと怖い夢を見ただけよ。気にしないで・・・」
「・・・」
痛い。桔梗の気持ちが伝わって。そして、犬夜叉の気持ちも・・・。
かごめはサッと犬夜叉の腕の中から離れた。
「かごめ?」
「・・・。ちょっと・・・桔梗の夢をみただけよ・・・」
「・・・」
離れて座る二人の間にもう一人、座っている巫女。
「・・・」
それでもいいから一緒にいると何度も誓ってもその存在は消えない。
でも、その存在ごと受けとめる受けとめる覚悟で二人は一緒にいる。
「・・・。夢の中で・・・桔梗の心が・・・きこえたの」
「・・・」
「桔梗の心っていうよりあたしの心・・・。犬夜叉よりあたしの方が桔梗のしがらみ、強いみたい・・・。もう、気にしないで」
「・・・。桔梗のことはもういい・・・。少なくとも・・・お前と居るときは・・・」
「・・・」
かごめはまた、犬夜叉から遠ざかって座る。
「何で離れるんだよ」
「・・・。別に・・・」
「まだ、体、濡れてんだろ。寒くねぇのかよ」
「だ、大丈夫・・・」
「いいから・・・こっちにこいよ!」
「いいったらっ!!」
かごめはその重たい空気をはらうかのように立ち上がり犬夜叉に背を向ける。
「・・・。こっち向けよ!こっち・・・」
無理矢理振り向かせた勢いでそのかごめの瞳から止めたはずの涙があふれ出た。
「ごめん・・・。今涙止めるから・・・。止める・・・」
その涙は犬夜叉の心と体に言葉にならない衝撃を走らせた。
「!」
かごめは今までにないくらいに力強く抱きしめられた。
締め付けるくらいに。
「・・・。ごめん・・・。かごめ・・・。俺は・・・俺は・・・っ」
「犬夜叉・・・」
「俺は・・・」
かごめを抱きしめるその手はがたがたと震えている。
「犬夜叉・・・。ごめんなさい。一番辛いの犬夜叉なのに・・・っ。大丈夫だから。あたしは・・・だから・・・」
だけど涙は止まらない。
「止めてやる・・・」
犬夜叉はかごめの髪をすくってぐいっと顔を持ち上げた。
「!」
それは一瞬。
かごめの瞳に犬夜叉が飛び込んできた。
強引なキスだけど・・・。それはとても優しくて・・・。
ドンッ・・・!
そのまま二人は壁にもたれかかり、ズズッと倒れ込んだ。
ふさがれた唇から、かすかに熱い息が漏れて首筋にかかる。
銀色と黒髪が混ざり合う。
時間が、止まった。
そして、涙も、止まった。
今、考えられるのは、触れあっているお互いのぬくもりだけ。
もう、離れまいとするように熱いキスをしあう二人。
そして、静かにゆっくりと顔離す。
「・・・」
「・・・」
恥ずかしさと照れくささで体の芯が熱い。
「・・・な・・・何か言ってよ・・・」
「・・・な、何かって・・・。お前こそ何か言えよ・・・」
「・・・」
かごめは返事の変わりに・・・。
「!」
今度はかごめから軽くお返しのキス。
「・・・。な、な、何だ今のは・・・」
「何だろ・・・ねっ」
かごめは可愛らしくチビ犬のように犬夜叉のふところに顔をうずめる。
きこえる・・・犬夜叉の鼓動の音・・・。
犬夜叉が生きている・・・。生きてるって実感できる・・・。それが、すごく嬉しい・・・。
「かごめ」
「え?なあに?」
「俺は・・・。いや、何でもない・・・」
かごめ・・・俺は・・・。
ずっと待っていた。桔梗が死んで俺も一度は封印され・・・。
そして、人を憎むことしかしらなかった。それでいいと思ってた。
でも、お前がそこから救ってくれた。
ずっと待ってた。
欲しかった。
そんな女を・・・。
「あ、雨があがったね・・・。犬夜叉・・・そろそろ・・・行かなくちゃ。みんな心配・・・」
起きあがろうとしたかごめをまた、自分の腕の中へ引き戻す犬夜叉。
「・・・。もう少し・・・このままで・・・」
「うん・・・」
林の中の古い空き家。
その薄い障子戸に映る二つの影が再び寄り添い、そして、溶けるように一つになって消えた。
FIN
ちっくと・・・犬かごキャラ、逸脱してますね・・・。でもいいんだああ!もう!妄想は自由じゃっ!(七宝)それに夏ですし〜♪ワッショイワッショイ犬かごまつり〜♪ということで(どういう事だ?!)犬かごも熱くなって参りました〜!!サンデーの方は進展があるようですし♪アニメでは何だか散々な思いをさせられた今日この頃。その反動が大きいせいか、かなり、ハイテンションです。良くも悪くも・・・。桔梗のことがあるから、犬かごも一層、盛り上がるってもんだい!と思っていますが、アニメの桔梗にはどうも・・・。コミックにはない心理描写があるっていう所は一理あると思いますがでもねぇ・・・。あれで、犬と桔梗シーンが多い程(絶対嫌じゃ!)、桔梗が悪い風に見えてしまいそうなきがしますなぁ・・・。とあるサイトでアニメ犬のプロディューサーが桔梗のキャラが好きなのかもって書いてあったけど、もし、本当にそうなら、それは・・・犬かごにとっては死活問題ですぞ!!