「なんだよ。また、行くのか?」
井戸の前で犬夜叉が現代へ帰ろうとしているかごめにすねた顔。
「またって・・・仕方ないでしょ!出席日数ぎりぎりなんだから!それより、あんた、まだ、昨日の傷、治ってないんだから大人しくしてるしてるのよ!」
「けっ。子供扱いすんじゃねえよ」
「子供じゃない。充分。じゃ、いってきま〜す!」
「あっ。おいっ・・・」
犬夜叉は呼び止めるがかごめはすでに消えていた。
「けっ・・・。最近、やけにあっちばっかり行くじゃねぇか・・・。まさか・・・」
(ほーじょーの奴に会いに?!・・・まさかなぁ・・・)
犬夜叉の脳裏にかごめと北条の仲むつまじい姿が浮かぶ。
「・・・」
犬夜叉、つかさず、かごめの後を追って井戸の中へ。
(ったく。かごめの奴!俺の目の白いうちは他の男なんかと・・・(人のことはいえないが))
そして、現代・・・かと思いきや・・・。
「ん?はっ・・・ここは奈落の城?!」
邪気が渦巻く。目の前は奈落の城!
「・・・。なんでここに・・・。?!弥勒!」
犬夜叉の足下には深く傷を負った弥勒達が!!
「珊瑚に七宝・・・。お前ら何でこんな?!」
「う・・・。犬・・・夜叉・・・。」
「一体、何があった?!」
「おれたちのことより・・・かごめ様達を・・・」
弥勒が震える手先には、奈落のどす黒い体の中のかごめと桔梗が!!
「かごめ?!桔梗?!」
「ふふふ・・・。犬夜叉よ、お前の愛しい女二人、我が手中にある。さあ、助けにこい。しかし、どちらか一人を助ければどちらかが死ぬ。さあ、どちらを選ぶのだ?」
奈落の卑劣な声がこだまする。
「て、てめぇ・・・」
犬夜叉は拳をぐっと握る。
犬夜叉の一番の弱みを逆手にとる奈落。犬夜叉は体の芯から奈落に対する怒りが爆発しそうだった。
「うっ」
「桔梗!!」
苦しむかごめ。
「犬夜叉・・・。私は大丈夫だから・・・桔梗を早く・・・たすけてあげて・・・」
「かごめ!!」
「早く!!うっ」
「かごめ!!」
「どうした。犬夜叉?たすけんのか?」
「う、うるせぇ・・・。てめぇは俺がたたっきる!!」
犬夜叉は奈落のまん中の胴体を真っ二つに鉄砕牙でたたき切った!!
かごめと桔梗は空に放り出され、かごめの方を犬夜叉が見事にキャッチ!桔梗の体は死概虫が助け、地上に降ろした。
「かごめ!大丈夫か?!」
「うん・・・。それより、早く・・・!桔梗を・・・」
「わかった!お前はここで休んでろ!いいな!」
「うん」
犬夜叉は急いで桔梗の元へと駆け寄った。
「おい!桔梗!しっかりしろ・・・?!こ、これは?!」
犬夜叉の腕の中にいるの桔梗でなく、桔梗とそっくりの人形だった!!
「かかったな!犬夜叉」
「何っ?!」
まったく無防備に奈落に背中を見せた犬夜叉に奈落の放った気の矢が襲いかかる!!
「犬夜叉ーーー!逃げてーーーっ!!」
ドス!!
その瞬間、犬夜叉の時だけが一瞬止まった。
かごめの体を邪気の矢が突き刺す。
かごめが・・・ゆっくりと犬夜叉の腕へと倒れる。
「犬・・・夜・・・叉・・・」
制服が真っ赤に染まっていく。
「よかっ・・・た・・・。いき・・・て・・・た・・・」
「かごめっ・・・!!」
血だらけのかごめの手は犬夜叉をもとめ、犬夜叉はしっかりと握る。
「しっかりしろっ!!かごめっ・・・・!!」
「犬夜叉・・・。あた・・・し・・・犬夜叉に出会えて・・・よかった・・・」
「な、何言ってンだよっ・・・!死んだら承知しねぇぞっ!!」
「・・・。また・・・生まれ・・・変われる・・・かな・・・」
「もう・・・もうしゃべんじゃねぇっ!!」
「きっ・・・とまた・・・あえ・・・る・・・」
かごめの目がゆっくりと閉じていく。
「目ぇ、つぶるんじゃねぇっっ!!あけろって!!おい!開けろって!!おい!!かごめっ!!」
ストン・・・。
「!!」
力がぬけたかごめの手が冷たい地面につく。
「か・・・か・・・か・・・かご・・・かご・・・」
声が、
体が
震える。
寒気。
動かないかごめ。どれだけゆらして名を呼んでも動かない、応えない。
「かごめえええええっーーーーーー!!。めぇ、あけろって、おい!頼むから・・・。頼むから・・・目ぇ・・・開けて・・・くれ・・・」
抱きしめても応えぬその体。
誰か嘘だと言ってくれ。
こんな現実はないと。
そうだ、これは夢なんだ。

夢ではないぞ
「!!」
目の前には切ったはず奈落の姿が!
「苦しいか、哀しいか、犬夜叉よ。ふっ。しかし、もっと苦しむいい・・・」
「?!」
犬夜叉の腕の中のかごめの体が突然光りだし、全体が段々と透けていく・・・。
「な、なにしやがる・・・奈落!!」
「ふっ。かごめとの永遠の別れだ」
パシッ!
くぐつの奈落が指を鳴らした瞬間・・・。
ザッ・・・。
「ーーーーーっ!!」
犬夜叉の目の前で、かごめの体は・・・ガラス玉が割れるように粉々になり、そして・・・
消えた。
犬夜叉は自分の両手を放心状態で見た。
その腕
、肩
、髪
・・・全て、
消えた。
ない。何も。
今までこの腕の中にあった柔らかな髪も、
細い肩も・・・
優しい匂いも・・・。
ない。
消え、

「魂もろとも、消してやった。これで生まれ変わることもできぬ。フハハハハハハーー!」
奈落の高笑いだけが響く。
かごめが、ない。
かごめが・・・消えた。
かごめが・・・。かごめが・・・。
『犬夜叉・・・』
その時、犬夜叉の中のかごめの笑顔が、割れて、消える。
「・・・。か、か、かご・・・か・・・ご・・・。い、い、嫌だ・・・・いやだああああああああああーーーーーーっ!!!あああああああああああーーーーーーっ!!!」
叫び叫び・・・・。それでも、戻らない、優しい匂い・・・。

「はっ・・・」
夕暮れ。夕焼け雲。
そして、井戸の前。
「・・・」
まだ、手が、震えている。
夢だとわかっても、底知れぬ恐怖感が犬夜叉を襲う。
かごめの姿がない。
優しい匂いがそこにはない。
「かごめっ・・・っ」
犬夜叉はたまらなくなって井戸へ入ろうとしたその瞬間、
「ぐえっ。」
大きなリュックが犬夜叉を押しつぶした。
「あら?犬夜叉、あんた、いたの?」
かごめはリュックをどかす。
「何よ、黙っちゃって。あんたのために、私は早めにかえってきてっ・・・。きゃっ・・・」
犬夜叉はかごめの腰の辺りに強く抱きついた。
「い、犬夜叉?!何なの、突然・・・」
「・・・」
あたたかい体。
確かにささやく優しい声。
かごめが、
いる。
「ちょ、ちょっと・・・離してよ。痛いって・・・」
「うるせえぇ!黙ってろ!」
「な、何よ・・・」
「・・・。頼むから・・・しばらくこのままでいさせてくれ・・・」
「ど、どうしたのよ・・・」
「頼む・・・」
まるで、母親から引き離される子供のようにかごめにしがみつく犬夜叉。
いつまでも、確かめていたい・・・その存在。
「・・・。犬夜叉って・・・結構甘えん坊なんだね・・・。あ、また、子供扱いすんなって怒るかな・・・?」
「・・・。こんな事するのは・・・お前だけだ・・・。だから・・・」
「犬夜叉・・・」
「だから今だけ・・・お前に甘えていたいんだ・・・」
かごめはそれに応えるようにそっと犬夜叉の髪を優しくしずかに柔らかく撫でた。


甘え犬・・・。ということで、甘えさせてみました♪ま、ちょっと犬っぽくないかもしれませんが、伝説の膝枕?のシーンとかあるんで、結構、甘えん坊かな・・・と思いまして。でも、何だか最近の犬かごって夫婦みたくなってきてませんか?通といえばかーで、いぬと言えば、かご・・・。ちょっと意味、違いましたな。