あなたのためにできること 〜私は強くなる〜 霧の向こうには |
“いやあああああああーーーっ!!” 「!!」 かごめの叫び声聞こえた ・・・? 『白糸山』の頂上に着いた犬夜叉。 振り返るがかごめの姿はどこにもない。 「何だったんだ・・・。今のは・・・。それにしても・・・。一体何なんだよ・・・ここは・・・」 目の前は濃い霧で覆われ、どこに何があるか全く分からない。 「くそ・・・!かごめは・・・どこだよ・・・!!」 見失ってしまった焦りが犬夜叉を苛立たせる。 その時!背後に人の気配を感じた犬夜叉・・・。 「・・・誰だ!!でてきやがれ!!」 鉄砕牙に手をかける犬夜叉・・・。 だが・・・。犬夜叉の目の前に現れたのは・・・。 かごめが・・・倒れていた。 傷だらけで。 「かごめ・・・!」 「・・・」 返事がない。 犬夜叉はとっさにかごめの心臓の音を確認した。 トクン・・・。 大丈夫だ。かごめは生きている。 犬夜叉はホッと息をはく。 「よかった・・・。でもなんでこんなとこ・・・」 犬夜叉は我が目を疑った。かごめがもう一人いる・・・。 「かごめ・・・。お前・・・」 なんとも虚ろな瞳・・・。 哀しくもなく。寂しくもなく・・・。 雪のように白い肌・・・。それは“生き人”には思えないほどの・・・。 「かごめ・・・か・・・?」 「・・・。どうして・・・ついてきたの・・・?」 「ど・・・どうしてって・・・。お前が・・・心配だったからに決まってンだろう・・・?それよりその傷早く手当しねぇと・・・」 犬夜叉がかごめに近づこうとするとかごめはサッと後ろに下がった。 「かごめ・・・?」 「誰も心配してなんて頼んでない・・・。お願い・・・一人にして・・・」 「なっ・・・何言ってンだよ!お前が何考えてここへ来たのかはしらねぇけど・・・俺はお前がホントに心配で・・・」 「心配心配って・・・。あたしは結局桔梗の身代わりでしかないくせに・・・」 「ばっ・・・。バカ言ってンじゃねぇよ!!んなわけねーだろ・・・っ!!」 「・・・ふふっ・・・」 かごめの不気味な薄笑い・・・。 「な、何だよ・・・。何が可笑しいんだ・・・」 「相変わらず・・・かっこつけてばっかり・・・。『俺はかごめを守る・・・?』じゃあ桔梗はどうするの・・・?桔梗は見捨てるの?」 「ばっ・・・。俺は・・・。どっちも守る・・・!!」 「どっちも守る・・・??ふふ・・・。じゃあもし・・・奈落の両腕に・・・あたしと桔梗が捕まっていたら・・・あんたはどっちの救うの・・・?」 「なっ・・・」 いつか・・・そんな夢を見た・・・。その夢では・・・。桔梗を先に助けそしてかごめは・・・。 こっぱみじんに砕けた。恐ろしい夢。 「『どっちも救う』っていうの・・・?ヒーローにでもなったつもり?」 「なっ・・・」 「どちらも救えないわ・・・きっと・・・。無理だよ・・・。二人も守るなんて・・・」 哀しい目をするかごめ・・・。 その時、犬夜叉はかすかに妖気を感じた。 「・・・。お前・・・かごめじゃねぇな・・・!正体表せ!!」 犬夜叉は鉄砕牙を抜いた。しかし、目の前のかごめは無表情で犬夜叉を見つめている。 「あたしはかごめ・・・。かごめの心・・・。そして犬夜叉、あなたの中の『かごめ』でもある・・・」 「俺の中のって・・・何わけのわかんねぇこといってやがる!!おい!早く本当のかごめをだしな・・・さもねぇと・・・」 鉄砕牙で威嚇する犬夜叉。が・・・ 「・・・なっ・」 霧の中にかごめの涙が光る・・・。 「なっ・・・何で泣くんだ・・・」 「いいよ・・・。切っても・・・。あんたに切られるなら・・・こんな幸せなことはないもの・・・」 この澄んだ涙は・・・かごめの涙。かごめの優しい匂いがする涙・・・。 「かごめ・・・お前・・・一体・・・」 「あたしはかごめ。ちっちゃなちっちゃなかごめのココロのカケラ。アタシが消えれば・・・。今、あなたの腕の中のかごめも消える・・・」 「なっ・・・」 犬夜叉はハッとした。自分の腕の中のかごめが・・・。 消えかかってる。スウッと・・・。 「今・・・かごめは闘ってる・・・。自分と闘ってる・・・。でももう・・・」 「な、なにいってやがる!!さっさとかごめン中戻りやがれ!!かごめのココロなら・・・!!」 「でも・・・。かごめは疲れてる・・・。ココロも体も疲れてる・・・。だから楽になりたいの・・・」 そういうかごめは少しずつ後ろへ下がりはじめる。 「な・・・何するつもりだ・・・」 「犬夜叉・・・。解放してあげる・・・。あたしと桔梗の間で苦しまなくていいように・・・」 「ば・・・バカなことはやめろ・・・。こっちにこい・・・かごめ ・・・!!」 しかし、かごめはズル 、ズルと下がっていく・・・。 「犬夜叉・・・ごめんね・・・。苦しめてごめんね・・・」 「いいから・・・こっちにこい!!かごめ!!頼むから・・・!!」 「ごめんね・・・。出会って・・・。ごめんね・・・。そして・・・好きになって・・・」 「かごめっ!!」 「バイバイ・・・」 「かごっ・・・」
「・・・。か・・・ご・・・め・・・?」 腕の中の・・・かごめの体は・・・まるで煙のように静かに・・・ 消えた。 崖の奥底を呆然と覗く犬夜叉・・・。 「・・・。かごめぇええええええええええーーーーーっ!!」 犬夜叉の叫びは霧の中に響いた・・・。 ※ 「犬夜叉ああああああーーーーっ!!!」 叫び声と共に目覚めたかごめ。 「はあ・・・はあ・・・」 全身汗をびっしょりかいている。 「・・・。ここは・・・」 水の音がする。 うっすらと見えてきた。奥にあるのは・・・。 「滝だ・・・」 一本の糸の様に流れる滝。かごめの身長ほどしかない。 ぐっしょり汗をかき、喉が渇ききっていたかごめは自然に滝の水をごくりごくりと飲んだ。 「ふう・・・」 ふとかごめが流れる滝の水しぶきを見るとそこに・・・。 「!!」 もう一人の・・・。かごめ。 水しぶきに映っているのではない。 哀しそうな顔をして自分を見ている・・・。 「・・・。あ・・・あんたなの・・・?さっきの声は・・・」 “・・・どうして・・・” 「え?」 “どうして・・・。あたしは・・・ここにいるの・・・” 「どうしてって・・・」 “犬夜叉が言った・・・。桔梗とあたしを二人守るって・・・。そんなのは嫌・・・。ずるい・・・そんなのはずるい・・・” 「・・・」 不思議な気分。さっきはこの声を聞くのが怖かった・・・。自分の奥底の本当の気持ちが引きずり出されそうで・・・。 でも・・・。 自分に・・・応えなくちゃ・・・。自分の迷いに・・・。ココロに応えなくちゃ・・・。 「そうだね・・・。あたしはホントはいつも頭の片隅で・・・そう思ったのかも知れない・・・」 “どうせ報われない恋・・・。ならば、今、自分の世界にに戻って幸せな生活をした方が傷つかなくてすむ・・・。もうこれ以上・・・傷つくのは嫌・・・” 突き刺さる。言葉。分かっている現実。分かりすぎるこの恋の行く末・・・。 どうせ別れる運命ならば・・・。今、別れた方がまだ、傷は浅い。 楽しい思い出が少しでも少ない方が傷は浅い・・・。 分かってる。そんなこと。 「でも・・・。あいつと一緒にいられる限り・・・一緒にいたいの・・・。一分でも・・・1秒でも・・・」 “・・・。あたしは・・・結局桔梗の身代わり・・・。結局はそうなの・・・。犬夜叉がどれだけ違うっていっても・・・。あいつは・・・自分に優しくしてくれる人間なら誰でもよかったの・・・。桔梗が一番・・・” そう・・・。桔梗の影は消えない。犬夜叉以上にあたしのココロから消えない。 「だけど・・・。たまたま、あたしが好きになっちゃた奴に・・・。桔梗がいただけの話・・・。たまたまなんだよ。きっと。仕方ないじゃん。そういう奴を好きになったんから・・・」 “もういい・・・。四魂の玉なんてしらない・・・。もとの生活に戻りたい・・・。あたしはこの時代の人間じゃないから・・・” 四魂の玉・・・。この戦いの全ての元凶・・。全てはこれから始まった。 この玉一つでどれだけの人が死に、どれだけの人の運命の歯車が狂ったか・・・。 桔梗と犬夜叉の様に・・・。 でも・・・四魂の玉がなかったら・・・。 犬夜叉には出会えなかった。 この恋に・・・出会えなかった。 今の自分に・・・出会えなかった。 「あたしね・・・。今の自分嫌いじゃない・・・。ココロの奥じゃ、色々、落ち込んだりもうするけど・・・。弱音はいちゃう自分も、みんな“かごめ”だもん・・・。だからあたし・・・あなたの事も嫌いじゃない・・・」 “嫌・・・。嫌・・・!!何もかも嫌!!嫌ーーーーっ!!” 『もう一人』のかごめはおびえている。 「あたしも怖いよ・・・ホントは・・・。怖くて怖くてたまらない。傷つくのが。嫉妬するのが。そんな自分が・・・・でもね・・・。あたし、後悔してない。この時代にきたことも。珊瑚ちゃん、七宝ちゃん、弥勒様、みんなに会えたことも。そして・・・」 “犬夜叉に・・・会えたこと・・・も?” 「・・・。うん!!」 かごめは満面の笑顔で応えた。 “私も・・・。後悔・・・してない・・・” もう一人のかごめも笑顔。 霧が・・・。段々晴れていく・・・。 「後悔してない・・・。絶対に!」 “絶対に・・・!!” 『もう一人』のかごめもゆっくりと消えていく・・・。 「あたしは後悔なんてしない。だって・・・」 太陽の光が差し込む。 その向こうは・・・。 あたしの一番大切な人の姿。 三角の耳の先が見えてくる。 すぐすねて尖らせる広い背中。でも・・・。 何よりあったくって心地いい・・・。 「かごめ・・・っ!」 がっくりと肩を落とし、深く俯く犬夜叉。 「かごめ・・・っ!俺・・・お前の事・・・見守るって・・・見守るって思ってたのに・・・。結局また・・・俺は・・・っ!」 ドガッ! 犬夜叉は拳を地面にぶつける。 ポタ・・・。ポタ・・・。と丸い水滴が落ちた。 「かごめ・・・っ!」 ポンポン。 誰かが犬夜叉の肩を叩く。 「うるせえっ!ほっといてくれ!!」 再びポンポンと叩く。 「うるせっつってんだろ!!今は一人にしと・・・」 犬夜叉が振り返ると・・・。 「やっほ♪。犬夜叉!元気?」 「!!かご・・・かごめ!?」 犬夜叉、後ずさりをして驚く。 「何よ。あんた・・。人を勝手に殺さないでよね」 「な、な、何だよ!!てめえっ!!人がどんなに心配したかっ・・・!」 「あれ〜??あんた、もしかして・・・泣いてた??」 「ん、んなっ・・・んなわけねーだろ!!」 犬夜叉、あわてて目をこすって涙を隠す。 「ほんとかな〜。まあいいや・・・。ねぇ犬夜叉・・・」 「んだよっ!」 「犬夜叉!!」 「わっ」 かごめはがばっと犬夜叉の飛びついた。 「な、な、何だよ。いきなり・・・」 「ごめん・・・。でも急に犬夜叉が恋しくなって・・・。ごめん」 「・・・。ば・・・バカ野郎・・・」 抱きつかれ、どぎまぎ犬夜叉。しかし、つさかっず犬夜叉もかごめの肩に腕を伸ばした。 「・・・かごめ」 「なに・・・?」 「ケガは・・・もういいのかよ・・・?」 「うん・・・。犬夜叉がもってきてくれた薬草が効いたみたい・・・」 「そっ・・・そうか・・・」 「うん。ありがとね・・・。すごく嬉しかった・・・」 「・・・。けっ・・・」 犬夜叉、必死に照れを隠す。 「ねぇ・・・。犬夜叉」 「あ?」 「恥ずかしいんだけど・・・あの・・・あのね」 「なんだよ。はっきり言えよ」 「もっと・・・強く・・・抱きしめてもいい・・・?犬夜叉ともっともっと・・・くっついてたい・・・」 かごめの甘い声が犬夜叉の全身に伝わる。 「す・・・好きにしな・・・」 かごめはギュウッ全身をと犬夜叉の背中に密着させた。 かごめの息が・・・。犬夜叉の首にかかる。 柔らかいかごめの体を全身に感じる犬夜叉。 「離れたくない・・・。犬夜叉。離したくないよ・・・」 「・・・かごめ・・・」 かごめの甘い声に犬夜叉はゾクッとした。 「ねぇ・・・犬夜叉・・・」 「なんだよ・・・?」 「あたし・・・」 犬夜叉を抱きしめるかごめの腕がまた強くなった。 「いつか・・・。犬夜叉と一緒になれたらな・・・」 「!!!!!」 かごめの刺激的な発言に犬夜叉体がカッ熱くなり、興奮のあまり、犬夜叉、全身、固まる。 「な、なななな、何、何言って・・・」 「スー・・・」 可愛い寝息が聞こえる。 「ん・・・?かご・・・め・・・?」 かごめはしっかりと犬夜叉を抱きしめたまま・・・眠っていた。 犬夜叉、ホッとして、少し・・・残念がる。 「ったく・・・。何だよ・・・」 一人になりたいと言ったかごめ。強くなりたいと言ったかごめ・・・。 長い道を一人で歩き続けたかごめ・・・。 強い・・・。誰よりも強い・・・。 その魂。 「がんばったな・・・。かごめ・・・。お疲れさん・・・。帰ろうな・・・。俺たちの居場所に・・・」 犬夜叉はしっかりとかごめをおぶる。 背中でぐっすり眠るかごめ。 「・・・。離したたくねぇのは・・・俺も同じだ・・・」 犬夜叉はそうつぶやくと白糸の滝をあとにした。 その二人をあの子犬がじっと優しい目見つめている。やがて子犬は竜の姿になり、天へと昇る。 そして、その空に大きな虹が架かった。 まるで、二人を励ましているように・・・。 FIN ・・・。すんません・・・ラストの途中、暴走しかけた私は、妄想部屋行きな文章になりかけました・・・。それもこれもアニメのせい・・・。昨夜のアニメでキレまくった勢いで書いてしまいました・・・(爆)いや、アニメの話題はおいといて。攻め♪なかごめちゃん。いいですねぇ・・・。たまにゃ、攻めて刺激しておかないと鈍感犬は何もしませんからねぇ・・・。(何もってなんだよ)はあああ・・・。こんなベタラブな犬かごはどこぞのアニメ会社の様にキャラ逸脱してるかもしれませんが、 いいですよね・・・。だって妄想は自由ですから・・・。 |