第5話 命の花

犬夜叉が復活した!!

しかし、蛇骨との対決はこれからだ!

「一人で熱くなっちゃって・・・。でもそんな顔、俺は好きだねぇ〜♪でも、やっぱり苦しむ顔が一番さッ!!」

「なっ・・・」

なんと、落ちた蛇骨刀から2枚の歯がでて、いきなり犬夜叉を襲った!!

犬夜叉はそれをかわし、ジャンプして鉄砕牙で蛇骨に斬りかかった!!

カキーンッ!!

鉄砕牙の勢いで蛇骨刀は蛇骨の手から離れ、地面に刺さった!!

「あっ・・・俺の蛇骨刀・・・って!?」

ボカッ!!!犬夜叉はいきなり蛇骨の右頬を2発殴った!

「な・・・何すんだよ!いきなしは卑怯だろッ!?」

「うるせぇんだよ・・・今のはかごめの右手の分だ」

ドカッバキッ!!

犬夜叉は容赦なく2発、蛇骨の懐にお見舞いする!

「そしてかごめの右足と左足の分。そして・・・これがかごめの声の分だあああああッ!!!!」

犬夜叉の怒りの拳は蛇骨の懐に思い切り入った!!!

「う・・・ぐ・・・。きゅ・・・急に強くなっちゃって・・・」

さすがの蛇骨も応えたのかうずくまった。

しかし、蛇骨はスキをついて飛ばされた蛇骨刀を取ろうとした!

しかし、犬夜叉、蛇骨を腕をガッと踏み、阻止!

「まだたりねぇくらいだ・・・。かごめの痛みに比べりゃ・・・!!!」

「女の痛み・・・??そんなもん、どうでもいいじゃねぇかよ。何でそんなに熱くなるんだ?」

「どうでもいいだと・・・??ふざけんじゃねぇよ!!かごめの痛みは俺の痛みだ!!かごめを傷つける奴には俺は容赦しねぇッ!」

犬夜叉は鉄砕牙を蛇骨につきつけた!

「ぐっ・・・。格好いい台詞だこと・・。でも・・・気障やってる場合じゃねぇかもよ・・・?」

「何!?」

ゴゴゴゴ・・・。

突然、洞窟内が揺れだし、天上がみしみしと崩れだした!!

「かごめっ」

犬夜叉はかごめの元へ駆け寄った。

蛇骨、すきをついて、一人、逃げの体勢に。

「蛇骨・・・てめぇ・・・ッ」

「この洞窟もろくてさ、俺たち騒ぎすぎてこわれはじめちまったんな。逃げ道はこの穴しかねぇ。犬夜叉、お前も速く逃げなきゃおだぶつだぜ。んじゃなっ」

蛇骨は一人、ひょいひょいとその細い壁の穴で逃げていった。

その間にも洞窟の壁にひびが入って今にも崩れそうだ!

「かごめっ」

犬夜叉は急いで鉄砕牙でかごめを手かせ足かせを切った。そしてかごめを抱き起こす。

「かごめ・・・っ。すまねぇっ・・・。痛かっただろ・・・。俺がもっと早く来てれば・・・」

「だい・・・じょうぶ・・・。それより早くここから・・・にげ・・・。キャアアアアア!!」

「かごめええッ!!!」

ゴゴゴゴ・・・ガガガガッ!!!!

すごい音と共に地面が真っ二つに割れ、かごめと犬夜叉はその割れ目に落ちてしまった!!

「ぐっ・・・」

すんでの所で、犬夜叉はかごめを抱えて小岩のふちにい手をかけ、ふんばった。

「い・・・犬夜叉・・・」

「たく・・・。ついてないぜ・・・今日は・・・。かごめ、絶対俺から離れんじゃねぇぞっ・・・!」

「で・・・でも」

その時、落ちてきた岩が犬夜叉の手を直撃した!!!

「ぐあああああッ!!!」

「犬夜叉ぁッ!!」

犬夜叉の腕に血が流れる。

「ね・・・。お願い・・・!犬夜叉、あたしを離して・・・!犬夜叉の手が・・・」

「うるせえッ!!たとえ、この手がぶっつれだって俺はお前を離さねぇッ!!」

「犬夜叉・・・」

犬夜叉はギュッと抱えるかごめの体ををしっかりと掴んだ。

「う・・・」

せっかく犬夜叉が元に戻ったのに・・・。

犬夜叉の手から流れる血をみて、かごめの胸をねじ曲げられたくらいに締め付けられる。自分を守ってくれるためにいつも、傷だらけになる犬夜叉。それが辛い。辛い・・・。

犬夜叉の傷はあたしの傷だから・・・。

そんな想いが・・・かごめの瞳をじわりと濡らした。

「お願い・・・犬夜叉・・・。もういいから・・・。もういいから・・・」

かごめの声が震えている。

「バカ言ってンじゃねぇッ!!!お前が生きてなきゃ・・・。お前が生きてなきゃ・・・俺は生きてる意味がねぇんだよッ!!!」

「犬夜叉・・・ッ」

ゴゴゴゴ!!!ドガガガッ!!!

壁に亀裂が走り、壊れ、天上が一片にくずれてきた・・・!

そして、犬夜叉が掴んでいた小岩が今にも壊れそうだ!

「・・・すまねぇ・・・かごめもう・・・」

「犬夜叉・・・。大丈夫・・・。きっと・・・」

「!?」

柔らかい感触・・・。そして甘くて綿菓子の様な香りが犬夜叉の唇に広がる。

かごめは静かに両手を犬夜叉の首にまわすと、安心させるように優しく犬夜叉の唇を塞いだ。

(か・・・かごめ・・・)

犬夜叉の握っていた小岩がバキンという割れ・・・。

犬夜叉とかごめ・・・。ゆっくりと闇へと落ちていく・・・。

まるで・・・。スローモーションの様にゆっくりと底に吸い込まれていく・・・。

落ちていく間・・・。二人は絶対に離れまいと空気すら漏れないほどに激しく、強く、互いの唇を求め合った・・・。


“ねぇ、犬夜叉・・・。あたし達・・・。どこに行くのかな・・・”

“知るか・・・そんなもん・・・”

“そうだね・・・。でも・・・犬夜叉がいるから寂しくないよ・・・“

“かごめ・・・”

“犬夜叉と二人なら・・・何も怖くないから・・・”

“二人なら・・・な・・・”


そして二人は・・・闇の奥底へと消えていった・・・。



温かい・・・。

目が・・・眩しい・・・。

それに・・・頬が少しくすぐったい。

「え・・・?」

雲母が・・・かごめの頬を静かになめている。

「雲母・・・?」

かごめが目を覚ますとそこは・・・。

清魂草が生えている湖の淵だった。

「あっ・・・。犬夜叉!!犬夜叉はっ!?」

犬夜叉はかごめのすぐ側に・・・。かごめをしっかりと抱きしめている。

「犬夜叉!!犬夜叉!目を開けて・・・!犬夜叉!」

かごめは犬夜叉の体を揺さぶった。

「う・・・。かご・・・め・・・?。俺たち・・・」

「助かったみたい・・・」

「そうか・・・」

静かに起きあがる犬夜叉。

もうすっかり夜が明けていて明るい。

「かごめお前・・・。なんでそんなに濡れてんだ??」

「あんただって・・・。あ・・・もしかして・・・」

そう。二人が落ちた谷底は、この湖とつながっていた。

二人はここまで流れてきたのだった。

「なんだ・・・。あたし・・・正直ホントにもうだめかって思っちゃった・・・」

「けっ・・・。そんな簡単にくたばってたまるか。それに俺・・・はっ・・・」

二人に蘇る熱い口づけシーン・・・。

炎のごとくに照れが二人を襲った。

思わず互いに背を向け合って座る。

(や・・・やだ・・・。おもいだちゃった・・・)

(・・・。かごめの顔がまともに見れねぇ・・・ッ)

犬夜叉はチラッと後ろ目でかごめの方を見た。

するとかごめの手首にくっきり赤く残っている手かせの跡の傷。それに、足首も同じ・・・。

細い、いや、痩せたせいか前より細く見える足首。

犬夜叉はかごめを静かに抱き寄せた。

「犬夜叉・・・?」

「やっぱり・・・。お前・・・痩せた・・・。みんなの所に帰ったら・・・。たらふくなんかうまいもん・・・喰わねぇとな・・・」

「うん・・・」

かごめは深く犬夜叉の胸に顔をうずめる。

心臓の音が聞こえてくる。命の音が。

かごめは思う。

闇に落ちていくとき・・・。二人なら怖くないと思った。犬夜叉と二人なら・・・。

でも・・・。

でも・・・。

「犬夜叉・・・」

「何だよ・・・」

「助かってよかったね・・・。生きててよかったね・・・」

「・・・。おう・・・。生きてて・・・よかった・・・。お前と二人・・・。生きてて・・・。本当に・・・」

二人なら何も怖くないと思った。でも・・・。

やっぱり、生きていたい。

生きて欲しい・・・。

大切な人のために・・・。

湖の水面が優しくきらめく。

清魂草のがいっせいに花びらを広げ、森を、湖を薄紅に染める。

命が咲く、咲く、思い切り咲く。

清く澄んだ魂の花が、まるで生きてるよと二人に伝えるように・・・。

FIN