「ほお・・・。また、花嫁が・・・」
楓の村ではこの所、立て続けに祝い事が続いていた。
花嫁行列を犬夜叉達は、群衆の中で見物していた。
「きれーだねぇ・・・。珊瑚ちゃん。花嫁さん」
「そうだね・・・。やっぱり祝言の主役は女だから・・・」
うっとりとした表情で、かごめと珊瑚、女衆は白無垢の花嫁を見つめている。 が、約一名。つまらなそうな顔の男が。
「けっ。何がそんなにおもしれーんだか・・・。」
かごめと二人で散歩していた途中、花嫁行列があると聞いたかごめは散歩を中断して珊瑚を誘って見てきてしまった。
そのせいか、犬夜叉ご機嫌斜めの模様。
「ふ。ならば犬夜叉。あの花嫁がかごめ様だと想像してみなさい。お前、見たいとはおもないか?
「はー?」
かごめが花嫁衣装を・・・?
犬夜叉、想像してみる。
真っ白な白無垢を着たかごめ。赤い紅をさして、こちらを見ている。
(・・・)
“犬夜叉・・・”
犬夜叉に手を差し出すかごめ。犬夜叉も手をとろうとするが・・・。
“かごめは俺の嫁だ”
と、二人の間に鋼牙が突然現れた。
そしてかごめをお姫様抱っこした。
“もらってくぜ”
鋼牙はかごめを連れて消えていく・・・。
「まちやがれ!てめえ!かごめを連れてくんじゃねぇ!」
花嫁行列が犬夜叉の声で立ち止まってしまった。
一同、犬夜叉に注目。
「え・・・」
犬夜叉、かなり恥ずかしい。
「あたしが何?犬夜叉」
「あ、いや・・・。あの・・・」
あたふたする犬夜叉。
「な、なんでもねえっ!けっ。くだらねぇ。何が花嫁行列だ!ぞろぞろと歩いてるだけじゃねぇか!うざってぇだけだろーが」
犬夜叉、やけくそ。
ああ、やはりこの辺りで・・・。
「犬夜叉。おすわり」
「ぐえっ」
かごめ、暴言犬を鎮座させる。
「あ、すみません。もう静かにしましたから、続けてください」
かごめ、群衆に平謝り。
花嫁行列は再開され・・・。
犬夜叉一行はとりあえず楓の小屋に戻る。
そして犬夜叉はふて寝。
「犬夜叉!あんたはどーしてあんなことしかいえないの!」
「うるせー!!大体、奈落を追っかけてるっていうのにあんなもん見てるひまねーだろ!」
「あんなものとは何よ。あんなものとは!女の子にとっては一生に一度事なのよ!それをぶち壊して・・・」
「けっ・・・」
犬夜叉、そっぽをむく。
「あのね、前から思ってたけどその『けっ』っていうの、すっごく感じ悪い!」
「うるせーー!口癖でい!しかたねーだろ!」
「何よ!」
「何だよ!!」
二人、にらみ合う。
なぜだか、今日はいつもよりいがみあってしまう二人。
「ふんっ。!」
かごめは薬草をいれるかごをもって、かなり勢いよっく出て行ってしまった。
「けっ。ん?なんだお前ら何しみじみしてやがる」
二人のケンカの横で、弥勒達は何事もなかったような顔で、茶をすすってくつろいでいる。
「あ、終わりましたか。犬夜叉。お前も一服いかがです?」
「あ、あのな・・・」
「まぁともかく、ちょっとここへ座りなさい」
犬夜叉、ぶすっとして弥勒の言うとおり座る。
「犬夜叉、お前は本当に恋愛体質な男だな」
「はー?なんじゃそら」
弥勒が入れた茶をぐいっとのみほす犬夜叉。
「ちょっと優しくされた異性にすぐ熱くなって。嫉妬して。そういうのを恋愛体質というのだ」
「そうだよねぇ。犬夜叉はずっとかごめちゃんに『愛』っていうより『恋』をしている感じがするよ」
珊瑚がひざの上の雲母を撫でながら話す。
七宝は眠っている。
「だ、だれがこ・・・『恋』だ!!けッ!」
「じゃ、あんた、かごめちゃんの事、好きじゃないの?」
「なっ・・・」
珊瑚、実にストレート、直球の質問。
犬夜叉、うろたえる。
「そうですなぁ。かごめさまは犬夜叉に『恋』というより深い『愛』で包んでいる・・・。という感じですなぁ」
「て・・・。てめえら!そろってこっぱずかしい事いってんじゃねえ!!」
「あせってうろたえるお前の方がこっぱずかしいじゃろが」
七宝、余計な一言を・・・。
バキ!
「うわん・・・」
七宝、犬夜叉のれ隠しの一発をくらう。
「ならば、犬夜叉お前、かごめ様に直接聞いてみるとよかろう。“お前は俺に恋をしているのか愛なのか”」
「ばっ。バカいうな!!くそ!みんなしてオレをからかいやがって!七宝、ちょっと来い!」
怒ったはずなのになぜか犬夜叉、七宝を連れて出ていった。
「多分・・・。そうなんだろうね」
「ですなぁ。七宝も大変だ・・・」
弥勒と珊瑚は犬夜叉が七宝を連れて行った理由をどうやらわかっているらしい。
その理由は、この後、すぐわかることになるが・・・。
かごめは野原で薬草を摘んでいる。
さっき、けんか分かれしたせいかちょっとふくれ顔で。
「まったくもう!犬夜叉ってば、ああいう所は大人になってないんだから!」
怒りながら草をブチッと少々乱暴に抜く。
その後ろからきつねの小さな足がかごめに近づく・・・。
「か・ご・め★」
「何よ!」
ギロリと振り向くと、かごめの顔にちょっとひきつった七宝がいた。
「なんだ。七宝ちゃんか。脅かさないでよ」
「オラの方が驚いたぞ。それよりかごめ・・・。ちょっと聞きたいことがるのじゃが・・・」
「なあに??」
「あの・・・。その・・・」
「??」
もじもじしている七宝を、草陰のこの男はじれったくてしょうがない思いで見ていた。
やはり・・・。耳の先だけが突出している。
「あの・・・。かごめは犬夜叉に“恋”をしておるのかそれとも“愛”なのか?」
「ええ!?」
「あの・・・。み、弥勒達が話ていたものじゃから・・・」
それを間に受けて、七宝に直接かごめに聞いてこいと言った男は草陰に。
「そ、そんな事急に言われたって・・・」
(な・・・なんだ。なんですぐに応えねぇんだ!)
と、草陰の男はちょっとショックを受けております。
「弥勒達はかごめは犬夜叉を深い“愛”で包んでおるといっておったぞ?」
「や・・・。やだ!もおっ。七宝ちゃんたら!」
かごめ、七宝を抱きしめて照れております。
「なぁ、かごめ」
「なあに?」
「“恋”と“愛”はどう違うんじゃ?」
「え?」
「おら、不思議なんじゃ。恋と愛・・・オラには同じ思えるんじゃが・・・」
七宝は本当に不思議そうな目で言った。
恋と愛の違いなんて・・・。
小さな子の質問。
さて、かごめはどう答えるのか・・・。
かごめはどう答えようか考えていると、草がガサガサッとと動いた。
「・・・」
草陰の男、ばれたかとあせる。
「あのね。“恋”っていうのはね。気になる相手に聞きたいことがあっても子供に代理をたのんだり、すぐ嫉妬したりする様な奴がすることよ。特に草の中に隠れてる奴とか」
(・・・)
犬夜叉、すでにばればれです。
「じゃあ、かごめはオラのこと、すきか?」
「あたしは七宝ちゃんの事すきよ♪」
「おらもじゃ♪」
「うふふ。じゃあ、両思いね★」
「そうじゃな★」
と、七宝を愛らしそうに抱きしめる。
(こらーー!!誰がお前の事聞けつったんだ!) と、やはり草陰の男はくやしがっております。
「どこかの誰かさんとは違って七宝ちゃんは二股かけないし、いざとなったら頼りになるしなにより、このふわ
ふわのしっぽが可愛いーしー♪」
かごめ、これみよがしに思い切り七宝のしっぽをに頬をすりすりさせた。
ぴく ぴく ぴく
それに草から出た耳のさきっぽが敏感に反応。
「こらーーー!!てめーー!しっぽがなんでいッ!俺の耳の方が絶対・・・。はっ!」
我慢できず、犬夜叉、自らご登場。
かごめと七宝はくすくす笑っている。
「な・・・なんだよ!」
「怒ってないで。こっちに座ったら?」
「けっ・・・」
犬夜叉、やっぱり一回拗ねてからかごめの横に座る。
「もう。犬夜叉。あたしに聞きたいことがあるなら、直接聞いてよ。七宝ちゃんが困っちゃうじゃないの」
「な・・・。俺は何もしらねぇ!」
「はいはい」
「何がはいはいだ!こら!」
「ふふふ・・・」
ばればれでも、自供しない犬夜叉。
それが可笑しくてくすぐったくてかごめはたまらない。
「で・・・」
「で?」
「で・・・。だから・・・」
犬夜叉、顔に思い切りさっきの七宝の質問の応えを話欲しいと書いてある。
「・・・。愛と恋かぁ・・・。難しいね・・・」
かごめは採った薬草をかごに入れながら話す。
「恋は・・・。ドキドキしたり、相手のちょっとした事がすごく知りたかったり気になったり・・・かな。でもやっぱりむずかしい・・・」
七宝、犬夜叉をチラッと見る。
「なんでい。七宝」
「いや別に・・・」
(思い切り犬夜叉の事じゃな)
と思ったがまた一発くらいそうなので、やめた。
「犬夜叉。ちょっとこっち見て」
「なんだよ」
かごめは突然、犬夜叉の手を握り、真正面に犬夜叉を見て向かい合った。
「・・・」
犬夜叉、ちょっと大胆なかごめの行動にドキっとする。
でも嬉しい。
「私、日暮かごめは犬夜叉を生涯永遠に愛し抜くことをここに誓います」
「え・・・」
犬夜叉、かごめの告白に緊張のあまり固まって思わず正座。
(な・・・。何突然かごめ・・・)
犬夜叉が固まっているとそっと手を離した。
(あれ・・・?)
「ッていうふうにね。あたしの国で、結婚する二人が神様の前で誓い合うのよ」
「そ・・・それがどうかしたのかよ」
(ま・・・まさか俺にもそれをしろってんじゃねぇだろうな・・・)
「すごくロマンチックで・・・。あたしも憧れちゃうんだけどね・・・。でも“永遠”なんてさ・・・。難しすぎると思わない?」
かごめは少し寂しそうな顔で言った。
「何が言いたいんだ」
「だから・・・。どれだけ“恋”していてもずっと一緒にいられないことだってあるってこと・・・」
「・・・」
なんとなく・・・。いや、確実にかごめは自分達の事を言っている気がした犬夜叉。
自分は今、恋だの愛だのとそんな事で大騒ぎしていたが、かごめは遙かに今の現実を見据えようとしている。
切ない現実を。ちょっとした事ですぐムキになってしまう自分の幼さを感じた犬夜叉だった。
「でも。“愛”は違う。離れていても想い合うことはできるもの。絶対に切れない“絆”があるみたいにずっと色あせないでいる・・・」
あえてかごめはそれ以上は言わない。
今、ここにいるのは自分と犬夜叉二人だから。
でも犬夜叉の隣は・・・“断ち切れない絆の誰か”が・・・。
「でもね。あたしはどっちも難しくてもずっと感じてたいな。だって・・・恋も愛もね。すごく力をくれるんだよ。誰かのために何かしたいとか、誰かをまもりたいとか・・・。そんな力をくれるの。だから・・・」
「だから・・・なんだよ」
かごめはすっと立ち上がって犬夜叉からすこし離れた。
「離れてもね・・・。元気でいられる。相手のことを想ったらチカラがわいてくるの」
「・・・」
犬夜叉とかごめ。
その間は、1メートルぐらいしか離れていないのに。
その言葉に犬夜叉は、かごめをひどく遠くに感じさせた。
「けっ・・・。何だよ。さっきから・・・。くさい台詞ばっかりはきやがって・・・」
「何よー。もう。質問したのはあんたの方でしょ」
「何が“離れていてもチカラがわく”だ・・・。そんなもん・・・」
「え!?」
犬夜叉はかごめの腕をぐいっとぴっぱり、自分の横に強引に引き寄せた。
その勢いで地面に薬草のカゴが落ちた。
「・・・そんなもん、しらねぇ・・・。一緒に、そばに居て欲しいもんはいてほしい・・・。我慢できねぇ・・・。俺は・・・そう思う・・・」
「・・・。うん・・・」
かごめは静かに頷いて犬夜叉の胸に顔を寄せた。
理屈は充分すぎるくらいに分かっている。
分かっていても、やっぱり、どうしても、どうしても、温もりを優しい匂いを、求められずには居られない。心を求め合うことを抑えられない。
「ねぇ。犬夜叉」
「何だよ」
「あのね。あたしはね・・・」
かごめはちょっと頬を赤らめてぼそっと耳元でつぶやいた。
犬夜叉も赤くなり。
犬夜叉もぼそぼそっと応えた。
「・・・。お世辞でも嬉しいな」
「けっ・・・」
「ふふ。そのけっていうの、やっぱり犬夜叉らしくていいね」
「そ、そうか・・・」
「うん」
ちょっと今はすごくくっついていたい気分。
一緒にいたい気分。ふわふわして・・・。
これの気持ちが“恋”なのか“愛”なのか。考えると難しすぎるけど。素直になりたい。
自分の気持ちに。
素直に・・・。
「ふん。すっかりオラのこと忘れておるな。あーあ・・・オラも“恋”がしたいなぁ・・・」
七宝、野良猫相手に空を見上げます。
ちなみにさっき、かごめが犬夜叉に言ったのは・・・。
“あたしはね、犬夜叉にずっと“恋も”“愛”もしてるよ。だから恋愛っていうんだね・・・”
“けっ・・・”
“ねえ、じゃあ、犬夜叉は・・・?犬夜叉はどうなの?”
“な・・・。お、俺は・・・。め、めんどくせーからお前と同じにでいいやい!”
さっき、耳元できこえた声はくすずったくて。
でもすごく嬉しくて、空に浮かぶ雲みたいにふわふわして柔らかい気持ちになる。
それが二人のチカラになって・・・。
犬夜叉とかごめ。
青い青い空をずっとずっと優しい風に吹かれて見つめ続けていたのだった。
FIN
私は「オフコース」時代から好きでしたが、全く声が変わらないのあすごいです!
あの声を聞くと青空を思い浮かびます。どことなく犬かごソングっぽくて♪ちなみに「恋のチカラ」かなりはまってました★深津絵里さん可愛い★最終回のラストはすごく萌えましたーーー!!ドアごしにチューーー!!た、たまらん!! やっぱり、王道っていいですね!!