これが恋かよ
オレの学校の教師と
オレのライバルの生徒が駆け落ちした。
通称・「犬夜叉」
鋼牙の陸上部のライバルでもあった・・・
「・・・かごめ」
陸上部の暗い部室・・・
マネージャーのかごめが犬夜叉のロッカーの前でうつむいていた。
「鋼牙くん・・・。あ、まだ帰ってなかったんだ・・・」
「お前こそ」
「あ・・・あたしはほら。マネージャーだし・・・。色々仕事があって・・・」
嘘だ。
かごめの目元は赤く腫れている・・・
「泣いてたのか・・・」
「ち・・・違うわよ・・・。目にゴミが入っただけ・・・」
わざとらしくジャージの袖口で涙をふくかごめ・・・
手がふるえている・・・
鋼牙にはわかる
かごめの涙がどんな涙か
どんな切ない涙か
・・・報われない恋の涙・・・
誰より
自分が知っている・・・
「泣いていたんだろ・・・?」
「・・・違うわ・・・」
「泣いてたんだろ・・・?泣けよ・・・」
「違うわ・・・っ。私は・・・」
「なけよ」
「泣いてないわ泣いてなんか・・・泣いてなんか・・・っ」
首を振って否定するかごめ・・・
鋼牙は少し強引に腕をつかみ引き寄せた・・・
「俺の前でぐらい、泣けよ・・・っ」
「鋼牙くん・・・」
「哀しいんだろ・・・?辛いんだろ・・・?オレじゃアイツの代わりにゃ
なれねぇけど・・・。せめてオレの前でぐらい・・・。強がるな・・・」
「鋼牙くん・・・」
かごめの涙は・・・
きっと自分のために流されることは永遠にないかもしれない
それでも・・・
「犬っころを忘れろなんていわねぇ・・・。忘れるわけねぇよな・・・
あんな仕打ちされたんじゃ・・・でも・・・。でも・・・オレは・・・」
「鋼牙くん・・・あたし・・・」
「オレは・・・。お前の側にいる・・・。お前のそばに・・・いるんだ・・・」
「鋼牙クン・・・」
「オレのことも・・・。少しでいいから・・・。ほんの少しでいいから・・・
見てくれよ・・・」
男が女にこんな台詞をはくなんて情けないかもしれない・・・
だけど・・・
聞いて欲しい
ずっと秘めてきた想い
ずっと我慢してきた・・・願望・・・
「かごめ・・・。オレを見てくれ・・・」
パサ・・・
鋼牙はかごめをそっと長いすに寝かせた・・・
「・・・鋼牙くん・・・」
「かごめ・・・。キスだけ・・・して・・・いいか・・・?」
「・・・あたし・・・」
「オレはずっと・・・ずっと・・・ずっと・・・」
この部室で
かごめと犬夜叉のキスをドア越しに何度見てきたことか・・・
誰も居ないグラウンドを何週も走った
走って走って走って・・・
狂おしい嫉妬を打ち消した・・・
消そうとした・・・
「鋼牙クン・・・」
「・・・オレはずっとお前を見てた・・・。お前が泣くときはオレも
泣くから・・・。だからオレを見てくれ・・・」
かごめの唇をそっとなぞる・・・
震わせながら・・・
こんなに柔らかい唇・・・
この唇から少しでも自分の想いを伝えたい・・・
「かごめ・・・」
ずっとこうしたかった
ずっと自分だけをみてほしかった・・・
鋼牙はかごめの頬にそっと手を添え唇を近づける・・・
「・・・!」
涙
かごめの頬をつたう
涙・・・
鋼牙を見つめる瞳は
申し訳なそうな・・・
”ごめんなさい・・・”
そう訴えている・・・
「・・・。ごめ・・・ごめんな・・・さい・・・。鋼牙く・・・。
私・・・わた・・・」
「かごめ・・・」
受け入れてもらえない
自分を見てもらえない・・・
「・・・」
鋼牙は静かにかごめを起き上がらせた・・・
「鋼牙くん・・・」
「・・・。切ねぇよ・・・。痛てぇよ・・・。辛れぇよ・・・。
胸ンとこが・・・。これが・・・”恋”ってやつなのか・・・?なぁ・・・
かごめ・・・」
かごめははっとした・・・。
(鋼牙くんが・・・泣いてる・・・)
「きっとお前も・・・。こんなに痛かったんだろうな・・・。
オレは・・・わかるよ・・・。死ぬほど・・・わかるんだ・・・」
相手に伝わらないもどかしさ
苛立ち・・・
受け止めてもらえない
切なさ・・・
ついこの間味わった
”すまねぇ・・・かごめ・・・オレは・・・桔梗と・・・行く・・・”
あの苦しみ・・・
「泣かないで・・・。鋼牙くん・・・。私・・・。今はまだ・・・
気持ちの整理がつかないけど・・・。鋼牙くんの気持ち・・・
私もわかるから・・・。わかるから・・・」
傷の舐めあいかもしれない。
同じ痛みをもつ
でも
一人でいたら・・・
自分が壊れてしまう・・・
かごめは鋼牙の背中にそっと寄り添い背中をつつんだ・・・
「・・・。きっといつか・・・。私達・・・。また・・・笑えるようになるよね・・・?」
「・・・そうだな・・・」
「私・・・。鋼牙くんのためだけに笑えるような女の子になるから・・・」
「・・・かごめ・・・」
今のかごめの精一杯の言葉・・・
鋼牙は思った。
(今は・・・。これでいい・・・。きっといつか・・・。オレの恋は・・・)
”陽が差すほうへいく・・・”
かごめと鋼牙は手をずっとにぎりあっていた・・・
・・・中途半端な終わり方ですんません(汗)でもなにげに
自分の中で鋼牙君のキャラがなんだか大きくなってきているような
気がします。だって一途だもの!!一途で報われないかもしれない
恋でも一直線なんだもの。・・・やっぱり見ていて格好いい。
最近はアニメでも原作でも鋼牙君の出番があまりなく注目されにくく
なってて寂しい限りです。
なので、また鋼牙くんものは書いてみたいと思いますv